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身代金が空に消えたハイジャック?D.B.クーパー事件!死傷者ゼロの完全犯罪!

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70年代にアメリカで起きた驚きのハイジャック事件。
男はハイジャックを乗客に気づかせず、誰一人傷つけることなく20万ドルを手にした。そして世にも大胆な方法で脱出に成功し、それきり行方をくらませた。
まるで完全犯罪のお手本のようなD.B.クーパー事件。犯人は今も逃亡中だ。生きていればの話だが・・・。

目次

その男、ハイジャッカーにつき

1971年11月24日、感謝祭の前日。太平洋標準時間14時50分、ノースウエスト・オリエント航空305便はシアトルへ向けてポートランド国際空港を離陸した。
まもなく機内では、一人の男がバーボンソーダを注文し、煙草に火をつける。

年のころは40代、黒いスーツにワイシャツ、黒のネクタイ、靴はローファーといういでたちで、いかにもダンディーな紳士という風貌だ。
乗客名簿によると、男は「ダン・クーパー」という名前で片道航空券を購入していた。

しばらくすると、クーパーは客室乗務員のフローレンス・シャフナーに1枚のメモを渡した。

「やだ、またナンパ? どうせ電話番号でしょ」
フローレンスは営業用の微笑みを浮かべ、目を通さずにしまいこんだ。するとクーパーが小声でささやく。
「お嬢さん。それを読んだほうがいい。わたしは爆弾をもってる」
彼女はひるまなかった。乗客のなかには、この手のタイプがたまにいる。
「あら、そう。じゃあ確認させていただけます?」

黒いアタッシェケースの中にフローレンスが見たものは、赤い円筒が数本、絶縁材でくるまれたケーブル、バッテリー。
「ばばば爆弾! この人、本物だ!」
メモには三つの要求が書かれていた。

クーパーさんの三つのお願い

  • 現金20万ドルを交換可能なアメリカ通貨で用意しろ。
  • あとパラシュート四つね。
  • 行きたいところがあるんで、シアトルの空港で給油よろしく。

夕刻、305便はシアトルのタコマ国際空港に着陸した。

クーパー、人質いらないってよ

この少し前、ハイジャック発生を知ったコックピットが管制塔と交わしたなんやかんやは省略するが、空港にはすでにFBIとシアトル警察が大挙していた。
状況によっては射殺せよとの指令が下り、狙撃班もスタンバイ。

「われわれが指揮をとる。きみたちシアトル警察はパラシュートの用意を頼む。大仕事だが、できるかね?」
「威張ってんじゃねーぞ、コラ」
FBIと地元警察のなんやかんやも飛ばします。

ところがクーパーは身代金とパラシュートのチェックをすませると、あっさり乗客全員と客室乗務員2名を解放してしまった。
「へ? もう?」
出鼻をくじかれる捜査員たち。乗客はハイジャックにまったく気づいておらず、空港の物々しい光景を目にして初めて事態を知った。

客室乗務員の証言によると、クーパーは感じのよい穏やかな人物で、不快な言動をすることもなく、ハイジャック犯のイメージからはかけ離れていたという。
シアトルではクルーのために食事を頼むという気配りの達人だった。

19時40分ごろ、給油を終えた305便は、クーパー、スコット機長、ラタクザク副操縦士、アンダーソン航空機関士、客室乗務員のマックロウを乗せてシアトルを飛び立つ。この瞬間、ハイジャック計画はほぼ成功したといえるだろう。

クーパーはパラシュートを堂々と要求していた。突入のタイミングはシアトルでの給油中しかなかったのだ。犯人との直接交渉を試みたのは、その好機をつくるためと思われる。しかしクーパーはこれを拒否した。

強風とともに去りぬ

遠ざかる305便を見つめる捜査員たち。
同時刻、マコード空軍基地では2機のF-106がスクランブル発進。彼らはクーパーの視覚範囲に入らないよう、305便の上方と下方に分かれてぴったりと追跡する。

しばらくすると、クーパーは全員をコックピットに集合させ、外に出ないように命じた。20時ごろ、乗務員は気圧の変化に気づく。
これは機体後部のドアが開いたことを意味した。
すると突然、機体の尾部がガクンと上へ持ち上がり、大きく揺れた。暴風が吹きこんだのだろう。

この時、305便はクーパーの指示により失速すれすれの低速で飛行していたと思われる。機長たちは懸命に機体を水平に立て直す。
「あいつ、いったい何やってんだよ! バカだろう、あいつ!」
「バカはあなたです。パラシュートは何のため? とりあえず、あたしたちは助かったみたいね」

22時15分、彼らは指示通りネバダ州のリノ空港に着陸。
FBIと州警察が305便を取り囲んだ時、機内にクーパーの姿はなかった。
ジェット旅客機の時速が生みだす猛烈な風の中、雨風が吹き荒れる闇夜にダイブしたとしか考えられない。

戦闘機のパイロットたちは降下の瞬間をとらえていたのだろうか。
「見てないよ。レーダーにも映ってないし。な?」
「うん。本当に飛び降りたの? トイレとか、ちゃんと捜した?」
クーパーは全身黒ずくめだった。

クーパーと身代金の神隠し

広範囲におよぶ徹底的な捜索が45年行われ、1000人を超える被疑者が誕生したが、犯人の決定打となる証拠は発見されなかった。
身代金の紙幣が使われた形跡も世界中のどこにもない。ダン・クーパーという男の身元さえ、今もって判明していない。

1980年、コロンビア川にキャンプに来ていた少年が地中に埋もれた身代金の一部を発見した。しかし、真相に関してはよけいに謎が深まっただけだった。
2016年、FBIは調査チームの解散を発表。捜査の完全な打ち切りを意味するものではないとはいえ、事実上のコールドケース認定の印象は否めない。
一方で、クーパーはダイビングにより死亡したという見解も当初からあった。しかし遺体は発見されていない。

早い時点での人質解放、紳士的な振る舞い、ほとんど指紋を残さなかったこと、華麗な逃亡劇。
これらが反響を呼び、いつしかヒーローに祭り上げられたダン・クーパー。

彼の正体は何者だったのか。存命であれば、どこにいるのか。
共犯者がいた可能性は捨てきれないが、単独によるハイジャック成功、そして未解決のケースは、知りうるかぎりほかに例をみない。

※画像はイメージです。
※会話文につきまして、クーパー以外は想像によるものです。

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