旧ソ連で起きた不可解な迷宮入り事件。はたして真相は明らかになるのか。
ディアトロフ・ミステリー
調査が進み、情報が増えれば増えるほど、謎が深まる事件がある。有能な捜査員を捜査から外し、そそくさと幕を引き、事件のファイルを機密文書保管庫行きにしたりすれば、なおさら「それって、実は解決したらまずい事件なんじゃないの?」と疑われる。はい、わたしもこの事件についてはそう思う一人です。ディアトロフ峠事件は、スノートレッキング中の男女9人が雪山で集団怪死をとげた旧ソ連の未解決事件。
現場は地元民から「死の山」と呼ばれていた。その夜、テントにいた9人に何かが起こり、彼らはテントを「ナイフで切り裂いて」脱出した。雪原で発見された遺体は、頭蓋骨や肋骨の骨折、舌や眼球の喪失など凄惨をきわめた。検死により、生きながら舌を失ったことも判明した。近くの樹木には焦げた痕があり、何人かの着衣から高い線量の放射能が検出された。

当局はなぜ放射能測定をしたの?
放射性物質に汚染されていたという揺るぎない事実が、事件をいっそう不可解にする。雪崩説や野生動物の襲撃説、内輪もめ説を一蹴する破壊力だ。事件の夜、50㎞離れた地点にいたハイカーが、夜空にオレンジ色の球体を見たと証言した。テントに残されたカメラにも光体らしきものが撮影されていた。UFO説支持者が俄然勢いづく。
さらに、このエリアでは以前から秘密裏に軍事実験が行われていたとの噂があり、雪山にそぐわない金属片も少なからず発見されていた。
兵器実験の巻き添えになったという説には、見てはならないものを目撃したため口封じされたという別バージョンも生まれた。ソ連軍による弾道ミサイル実験が行われた事実は後日証明されたが、その件と9人の死が結びつかないまま長い年月が流れた。
そもそも当局はなぜ放射能測定をしたのか。アマチュアの主観にすぎないが、彼らの遺体の写真を見る限り、自然の脅威によって死に至ったとは思えない。

迷宮入りか
生還者のいない事件。彼らは冬山を熟知したエキスパートだった。
氷点下30度の雪山でテントを切り裂く行為が何を意味するか知らなかったはすがない。今も健在の遺族はいるだろう。9人の冥福と60年前の謎が明らかになるのをただ祈るばかりだ。
※写真はイメージです。
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