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意欲作?!PS1黎明期、時代を先取りしすぎた「フロントミッション オルタナティヴ」

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重金属と硝煙の臭いに混ざって、利権を貪る大国の陰謀が瓦礫の影を跳梁する、かつては街や名も無き街道だったかもしれない・・・そこも今では「戦場」という呼び名で一括り。

近現代史をベースに人型兵器を「歩行する戦車=ヴァンツァー」としてカテゴライズした近未来戦史をひっさげ一時代を築いた、スクウェア(現スクウェア・エニックス)謹製のストラテジータイトルの金字塔「フロントミッション」シリーズ。

軍事、政治、機械工学、化学等・・・設定段階から多彩なアプローチより重厚に組上げられた世界観は、多くのミリタリーファンを魅了し、コアなファン層を確立した看板タイトルとして、同社のメインストリームとは全く異なる雰囲気を持ちながら今なお語り継がれるシリーズとされています。

本作「~オルタナティヴ」はそのナンバリングタイトルから外れたスピンオフの内、最もアグレッシブに「攻めた」異色作として知る人ぞ知るカルトタイトルとされる一本です。
近未来(なんと設定的にはもう15年もすれば現実に…)のアフリカを舞台に繰り広げられる「戦争商売」な世界にドップリと浸って頂ける事でしょう。

目次

一見さんお断り?上級者向け特濃ミリタリーな世界へようこそ

「フロントミッション オルタナティヴ」は、2035年・・・「フロントミッション」シリーズ他作品のベースラインよりおよそ3~50年程度遡る、前史のアフリカにおける戦役が舞台となります。

「フロントミッション」シリーズの世界では、いわゆる大国が統廃合を積極的に行った結果、欧州、南北アメリカ大陸、太平洋・オセアニア海洋国家群の三巨頭が群を抜いた政治・経済力を発揮する世界となり、残る各地での政治経済バランスを巡って紛争地域へ有形無形の介入を繰り返しては覇権を争うという状況が前提となっています。

舞台となるアフリカにおいては、欧州を後ろ盾とした安定政権を敷く事でアフリカ全体への主導権を狙う北部、アフリカ大陸の自治独立を掲げながら軍部の強権的専横によって政権が脅かされる中西部、軍事政権の台頭を許しつつある南部という不安定な情勢にあって、地中海を挟んだ地続きである欧州と海洋ルートによる利権拡大を狙う海洋国家群のにらみ合いが常態化していた…という情勢から物語が始まります。

プレイヤーは南部の軍事政権に対抗する勢力へ協力すべく、海洋国家群から送り込まれる手勢として参戦する事となる…のですが、いざ始まってしまえば任務に従い、目の前の敵を排除して生き残る以外に道は無いという如何にもミリタリーな展開が始まるのです。
支給されるわずかな物資と、残りは現地で知恵と資材を絞って切り抜ける、そうここは住めば都な地獄の番外地…そんな前線気分を雰囲気たっぷりに味わえる世界観となっているのです。

軍人会話と下ネタ隠語が跋扈する!?

戦車が地上を闊歩し、戦闘ヘリが空を舞い、装甲車を駆って兵士が地点を制圧する…そんな「現代的」な戦場に突如、既存の軍事バランスをぶち壊しにすべく現われるのがWAW…「歩行する車両」という意味のドイツ語で呼ばれる乗り物であり、後に「ヴァンツァー」と呼ばれる事になる兵器の試験部隊…プレイヤーが「指揮」し「育てる」愛すべきポンコツ共、という具合です。

この一癖も二癖も・・・と言うより癖しか無いような世界観の中にあって、登場人物達も当然のように軍人として有能ながら人間として問題しか無い・・・という具合のキャラクター達ばかり。
特にプレイヤーとして一番長く接する事となる、解説役兼査定役の上官サンゴール大佐。
見るからに頑固で厳つい軍人然としたおじさまですが、何とこの人物、ゲームを通じてどれだけ好成績を収めようがプレイヤーを一切褒めません。

任務を達成すると怒られ、失敗すると怒鳴られます。
何とこれ、セリフの文脈を良く読んで「行間にある意味」を理解するとどういう評定であるか「察する」事が出来るようになるという恐るべき仕様なのです。

そしてこの「文脈を察する」という遊び方に気付いた時、本作はその背後に真の姿を隠している事が明らかとなるのです…。
詳しく言うと本稿自体が18禁(!?)となりかねないので直接的には触れませんが「ちっこいアレ」「デッカい棒」「たくましいソレ」「ビッグなナニ」というコードネームが、ガッチリ設定を詰め込まれ、見た目武骨で頼りになる武装の数々に付けられているという事実に気付く事となるのです。

如何にも死地で日常的に命のやり取りを平然とこなしている兵士達が、ちょっとしたスラングで茶化してすり減るばかりの人間性を保とうとしている・・・そんな姿を想像しつつ、やり過ぎじゃないのかと悩んだりもする、前線での葛藤(?)を味わう事が出来るものとなっています。

革新を通り越して実験的だったゲーム性

ブリーフィングで地形に見合った迷彩カラーを選定し、作戦に応じてWAWの挙動をカスタマイズ、適切な武装を選定、作戦前に渡される何とか手に入った粗悪な地形データを手に進軍ルートを見定め、迅速に戦線を突破するという、複雑精緻なバックグラウンドを背負いながら求められるのは前線指揮官としてやるべき仕事の最小限にまで煮詰めきった、剥き出しのストラテジーがゲームとして提案された姿になっています。

プレイステーションへの過渡期にあって、AIのように半自動化されたゲーム性から来る容量の限界ゆえか、インターフェースの部分までギリギリに削られたデザイニングが施されているものの、それもまた前線のギリギリな環境で何とか人間が扱えるコンピューティングをどうにか整えたという雰囲気を醸し出すものとなっており、味わいを増すものとなって本作の魅力として取り込まれているのです。

総じて「合わない人には徹底的に合わない」ストレスフルなゲームとなってしまっている本作ですが、現実を風刺しているのかとすら思える世界観と、徹底して「人型兵器」というフィクションを現実的な路線へ落とし込もうとしているミリタリー色、アーティスティックですらある「前線の空気感」という要素において、同シリーズ内でも他に類を見ない「フロントミッション オルタナティヴ」という特異な作品。

そして何より・・・PS1黎明期の作品・・・今のグラフィックでは考えられない程の角張ったモデルなのに、軋み唸りを上げるWAW達の姿が何とも魅力的なのです。
是非、一人でも多くの人に知り置いて頂き、語り継ぎたい一作として紹介するものです。

スクウェア
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フロントミッション オルタナティヴ(C)1997 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. 

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