今回御紹介したい作品は、1989年に制作された『ガンダムシリーズ』のOVA作品である全6話構成のアニメ作品「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」です。富野由悠季監督が携わっていない作品と不安もありましたが、『WXIII 機動警察パトレイバー』に『ラーゼフォン』などの作品を手掛ける事となる、高山文彦監督の初監督作品としても有名な作品でもあります。
この物語の中心となる舞台は、宇宙世紀となり、一年戦争末期の時代。
地球連邦政府とジオン公国との戦争に関与しない中立コロニー・サイド6のコロニー「リボー」にて、戦時中にも関わらず、平穏な生活を送っていた主人公の少年・アルフレッド・イズルハことアルは、いつもと変わらない日常を送っていました。
でも小学校は面白くなく、成績が悪いと怒る先生や母親などに辟易し、こんな日常が変わればと思っていた矢先に、彼の住むコロニーに事件が起きてしまいます。
それはジオン公国軍のザク数機が侵入し、連邦軍と交戦すると、いつもと違う日常の変化に胸を躍らせていくアルは、被弾したザクを追いかけて、森の奥へと入っていきます。
そして墜落したザクを手持ちのカメラで撮影していると、パイロットであるバーニィと出逢ってしまいます。
一悶着の末に、カメラに映る連邦軍のシャトルを見つけたバーニィは、その映像と引き換えに階級証を貰い、喜ぶアルですが、それが大きな波乱を呼んでしまう事になってしまいます。
アルが偶然に撮影してしまったそれは、北極の連邦軍の秘密工場で製造された新型モビルスーツである「ガンダムNT-1」だったのです。
それを知ったジオン軍上層部は秘密工作任務を請け負うサイクロプス隊を派遣し、新型もモビルスーツ奪取もしくは破壊を行うべく「ルビコン計画」を計画し、その映像を持ち帰ったバーニィは、サイクロプス隊へと編入され、再びアルと出逢う事になってしまいます。
偶然にバーニィを見つけ、後を追うアル。
サイクロプス隊のメンバーとして配属され、バーニィと一緒に連邦の新型を追い詰めていくと、スパイごっこの気分で戦争に関わってしまうアルの前に、壮絶な現実が露わになっていくと、彼の運命を大きく変わってしまう事になってしまいます……
この作品の中で描かれているのは、ニュータイプではない者達。
特別な存在ではなく、戦争という時代に翻弄されていく人々の一部でしかない人々が関わってしまった戦争の物語であり、その中でもバーニィの存在が、この物語の主軸とも言えるぐらいに、大きく表れています。
特別な才能を何ら持ち合わせているわけでもなく、エースパイロットと強がりを言い、アルの前で嘘をついてしまった事に後ろめたさを持ち、仲間が死んだ後も逃げる事をせず、戦う事を決め自分が乗っていた中破したザクを修理し、ガンダムNT-1へと挑む、彼の決断と行動に筆者は熱いものを感じました。
彼の死は無駄死にだったと言う人もいますが、嘘をつき通し、逃げ出す事無くに、己と向き合おうとしたバーニィ。
彼がアルに送ったビデオレターの件は、思わず泣いてしまいました……
英雄でなくとも、その行動に迷いもなく、自分を信じて歩んだバーニィの姿は、英雄と言える程に筆者の胸を熱くしてくれたキャラクターでもあります。
(C) 1989 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 創通・サンライズ
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