MENU

「ガンダム開発計画」から、モビルスーツ進化論を考察

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

戦争の渦中でその姿を千変万化させるモビルスーツの在り方、そこには失われた進化の方向性もあった?
そんなモビルスーツの有り様について、今回は「ガンダム開発計画」を軸に、モビルスーツの進化が何を起こすのかを見てみます!

目次

ガンダムとモビルスーツ・バリエーション(MSV)の概念

特化型、現地改修、局地仕様にカスタム機、マイナーチェンジから次世代型、これらはいずれもモビルスーツにおける「改造」や「開発」といった言葉につきまとう概念。
兵器というものが様々な要求によって姿を変え、性能を「適応」させていくものである事を物語るものだと言えます。

「機動戦士ガンダム」の後年シリーズ展開や幾つもの派生作品を作り上げた原動力の一つと言えるのが、モビルスーツを始めとする兵器群にもこうした「背景となる物語」。ストーリーを与える事で、柔軟性を持って物語の世界へ組み込まれ、またその物語を拡げていく働きを得た事でしょう。

この「モビルスーツ・バリエーション(MSV)」の概念が「機動戦士ガンダム」の世界を一段深く掘り下げたと言える…かもしれない「機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー」より「ガンダム」と呼ばれた機体の可能性を探究したとされる「ガンダム開発計画(別称ガンダム・プロジェクト)」の機体を軸にモビルスーツの「進化」にまつわる物語を俯瞰してみたいと思います。

「戦争屋」誕生の契機

「機動戦士ガンダム」で描かれた宇宙世紀0079~0080に掛けて地球連邦政府とジオン公国の間で繰り広げられた戦争は、後に「一年戦争」と称される事になりました。

この戦争は、ミノフスキー粒子によって激変した環境から「モビルスーツ」という全く新しい兵器が主力の座を勝ち取った戦争という意味でも「歴史的」なものとして受け止められたのです。
加えて1年という短いようで長い期間の中、地球圏全土から「サイド3」と呼ばれる地球から遠く離れた宇宙の一角にまで及ぶ広大な領域を戦火に巻き込んだ。
結果として、軍需産業が人間社会の経済構造に深く根差してしまい、モビルスーツの研究開発が政治的にも経済的にも「虎の子」のような扱いを受けてしまう状況が形成されてしまったという側面もあるとされます。

宇宙世紀の世界において悪名高き軍産複合体「アナハイム・エレクトロニクス(AE)」はその筆頭と言える存在であり「一年戦争」を契機として、軍需品の供給を支える事で軍との関係を深くし、戦後解体されたジオン系のモビルスーツ産業を吸収するなどして独占的な立場を獲得、その後数十年に渡る「戦争屋」としての立ち位置を強固なものにしたとされます。

宇宙世紀0080年代~0090年代後半にかけて、作品の年代順として「機動戦士ガンダムZ」「~ZZ」「~逆襲のシャア」と続く中、主力となる量産機からフラッグシップとなる高性能機まで「幅広い」需要に応えてあらゆる兵器を送り出す事となり、正に「モビルスーツ・バリエーション」を作中にあって顕現させた存在だったと言えるかもしれません。

「ガンダム開発計画」の行く末

「アナハイム・エレクトロニクス」が「戦争屋」としての立ち位置を確立させる事になった契機が「ガンダム開発計画」別称「ガンダム・プロジェクト(GP)」であり、そこで作られながら全ての記録が闇に葬られた「4機の試作機」でした。

この計画は「一年戦争」での戦争環境の大転換から軍事ドクトリンの再構築を目論んだ連邦軍が、戦後という軍備の増強が嫌われる環境の中で「高性能モビルスーツを軸とする」戦略を実現すべく、軍の技術力とデータを「アナハイム・エレクトロニクス」という「民間企業」に嘱託する形を取った。
更に計画を秘匿すべく独立採算の子会社を設立させ、表向き植物の研究と自然環境回遊を目的とした複合遊園施設の開発を装った偽装まで施す情報統制が敷かれたとされます。

この厳重な機密の中で研究対象とされたのが、先の戦争において圧倒的な性能に見合う絶大な戦果を挙げた「ガンダム」でした。
如何に高性能であろうとモビルスーツ単独で果たせるのは局地的勝利に留まるはずが、かの「名機」は重要な局地を次々と転戦しては大きな戦果を挙げる事で、戦略規模にまで存在を高めてしまったという結果がこの「高性能機を軸にする」発想に結びついたと考えられます。

「一年戦争」の最終的な勝敗を決する大きな要因になったのが「地球連邦」の大量物量と動員力である事を考えると、皮肉な逆説だと言える部分かもしれません。
こうした数々の欺瞞や欲望、時に自己否定すら飲下しながら「ガンダム開発計画」の深い闇が形作られて行ったという事になります。

劇的な進化を遂げるMS


宇宙世紀0081年から開始したとされるこの計画が、あまりにも皮肉な形でその「成果」を示した宇宙世紀0083年の事件が「デラーズ紛争」であり、その顛末を描いたのが「機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー」です。

「ガンダム開発計画」は、1991年公開となった作品によってその存在が初めて語られたものですが、物語が描くのは宇宙世紀0083年。
「機動戦士ガンダム」シリーズの第2作目となった「機動戦士ガンダムZ」より4年前が描かれています。

これは「一年戦争」から「グリプス戦役」の7年間で大きな戦争が無かったにも関わらず、兵器であるモビルスーツが劇的な進化を遂げていた謎、いわゆる「ミッシングリンク」を埋めるという位置づけによって「語られた」物語であるという事が示唆されています。

その「劇的な進化」を表わす代表的な技術が「全天周囲モニター」と「ムーバブル・フレーム」の2つ。
前者はコックピットに搭載される機能であり、パイロットシートを中心とする全周囲にカメラから取得した映像を投影し、あたかもモビルスーツの「視覚」をパイロットが共有する仕様とされます。
後者の「ムーバブル・フレーム」は「一年戦争」期のモビルスーツがモノコック構造…各部のパーツと装甲が一体化した構造で製造されていたのに対し、端的に言えば内部骨格構造に装甲部位を後乗せしていく方式を指します。

これによって複雑な内部構造を一部共通化しつつ、装甲や搭載装備を変更する事で、例えば量産機の外部構造を取り替える事で多様な環境に適応させるといった多環境適性を擬似的に与える事が可能になる等の利点がありました。

また「ガンダム」の製造において大きな問題であった「ガンダリウム合金の加工が極めて困難」という問題も、ものこっく構造から解放される事で加工が少なくて済む装甲部へ集中させるという利点もあったと考えられます。
この「ムーバブル・フレーム」の先駆となったのが「ガンダム開発計画」における「四機の試作機」であり「RX-78-2ガンダム」という共通のモデルを持ちながら、4つのコンセプトを実現出来る「進化」を遂げる拡張性を得たという事が言えるでしょう。

闇に葬られた「徒花」達が描き出した「進化」

かくしてこの「4つのコンセプト」は、表向きの計画に準じて植物の名前をコードネームとして開発が進められる事となりました。

1つは「正統進化型」を目指す実験機である「GP01ゼフィランサス」…汎用性と量産性を目指し、モデルとなった「ガンダム」の性能向上を図った機体です。
シンプルな目標故に搭載容量などに限界も多かったか調整に難航しながらも、突発した「事件」によってその性能を発揮し完成へと導かれていく事になります。
その「拡張性による汎用性」を表わしたと言えるのが、当初地上での活動のみを目的としていた為、宇宙での活動が実質的に不可能となっていた同機が、複雑な機体である事を踏まえれば異常と言える修理と並行して行われた調整によって宇宙用高機動機「~フルバーニアン」として「新生」したケースです。

このような拡張性によって多用途に対応出来る機体を目指すという方向性は、現実を見ると最新の戦闘機であるF-35などが「マルチロールファイター」として設計され、同型機であっても使用環境や目的に応じて幾つかのバリエーションをラインナップしている事と似た事象であると言えるかもしれません。
1つは「絶対的な破壊力」を目指した「GP02サイサリス」…重武装・重装甲による強襲型を目指しながら、究極にして禁忌の破壊力である「核攻撃」を採用し、単機のモビルスーツに戦略級の破壊力を持たせるという非道を行く事になりました。

劇中においてはその非道を咎められ、究極の「破壊力」を逆用されてしまうという事で以て、その凶悪さを印象付ける事となりました。
本来重装甲の優位性を活かして敵陣へ切り込む機体として設計された事から、その出で立ちは「ガンダム」とは似ても似つかない重厚な姿となっていますが、共通化されたフレームが採用されている「兄弟機」であるという事に、その「バリエーション」の広さをうかがう事が出来ます。

最強の機動兵器

1つは「最強の機動兵器」を目指した複合兵器と言える「GP03デンドロビウム」。
モビルアーマーと呼ばれた大型兵器への対抗と、モビルアーマー自体の弱点となった接近戦への対策という矛盾を「モビルスーツとモビルアーマーの分離・合体仕様」という離れ業で解決を模索した機体です。
コアとなるモビルスーツとして「GP03デンドロビウム・ステイメン」と称される機体が存在し、単独での機動戦闘も可能となる上で、巨大な武器庫である「オーキス」を誘導・合体する事で、搭載された圧倒的な武装による攻撃も可能となります。

その凄まじさたるや「高速で戦場を駆け回る戦艦」とでもいうような存在であり、戦闘兵器が見る一つの「夢」と言える存在かもしれません。
そしてもう1つが…実は連邦軍が本来求めたコンセプトは「3つ」であった所、AE社が今後のモビルスーツ開発を進める上での実験を目論む理由等から開発された「4機目」であったとされます。

コンセプトとしては「遠距離から突貫、強襲での最強性」という、言うなれば「1号機と2号機の折衷」とも言える思想が展開されました。
この機体は後に「ガーベラ・テトラ」と名を変え、AE社幹部の手に拠ってフリーランスの傭兵団へと譲渡される事になります。

この際出所を秘匿する目的で外装をジオン製モビルスーツを彷彿とするものに大改装される事となりますが、皮肉な事にこれこそ後に「ムーバブル・フレーム」と呼ばれる事になる技術の面目躍如と言わんばかりの完璧な改装を経て、とてもそれが「試作四号機」であった事など分からないものになりました。
かくしてこの四機は「デラーズ紛争」を経て、こうした様々に錯綜した思惑の結果、闇に葬られる事とはなったものの、残った技術が次世代の機体を作り上げて行く事で、モビルスーツのバリエーションは大きく広がっていったという事になりました。

「ガンダム開発計画」に関わる物語

今回紹介させて頂いた「ガンダム開発計画」に関わる物語は、1991年公開のOVA作品「機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー」が初出となります。
この作品は基本的に連邦軍とジオン残党による武力紛争へ焦点を当てた作品となっていますが、物語の影で暗躍する「アナハイム・エレクトロニクス」の存在へかなり迫った構成にもなっており、中編ながらメカニカル・テクニカルな観点からも楽しめる作品になっています。
ガンプラのラインナップにおいて「Ver.Ka」と称される独特のデザイニングで知られる「カトキハジメ」氏の出世作でもある本作。
「機動戦士ガンダム」シリーズが辿り着いた一つの到達点にして新たな出発点となった作品を「色々な楽しみ方」で楽しんで頂きたいと思う次第です。

大塚明夫氏の声で「ソロモンよ!私は帰ってきた!」って叫んだあの人が、今日の人々に言わせると跳ねっ返りのテロリストなんだとか。時代の移り変わりと、それでも評価があまり変わらない「カノジョ」には驚かされます。

(C) 創通・サンライズ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

どんな事でも感想を書いて!ネガティブも可!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次