さて今回お送りする戦争漫画作品は、あの「ガールズ&パンツァー」のキャラクター原案などを務め、ミリタリーと美少女のジャンルを確立した漫画家・野上武志先生の代表作である「鋼鉄の少女たち」を紹介したいと思います。
この物語は、現代なのか異世界なのかと時代考証は無く、航空機の実用化がまだ満たない時代でもあった世界から始まります・・・
戦火の止まない大陸西部の辺境位置に存在する王国は、隣国である旧ラニア公国との併合を巡り、ラニア公国の国境に接した連合諸国と熾烈な戦争を続け、それは長期に渡る総力戦となってしまい、王国は次第に国力低下させるまでに疲弊していました。
やがて徴兵制は男女年齢の性別区別など度外視し、貧民層からの出征者を出す程の低迷力を見せ、国内情勢は混乱期に差し掛かり、兵士は低年齢の少年と少女で構成される部隊が主力となっていきます。
その中でも王国陸軍の陸上兵器である狼型戦車は、搭乗要員を小柄である女児兵で構成され、屑鉄と称される彼女達は、王国陸軍・第99装甲騎兵中隊として編成されました。
通称・鋼鉄中隊と呼ばれる彼女達。
でも戦火を止める事は出来ず、来るべき時代の流れの中で彼女達は決断を迫られ、それぞれに道を見出していく事となります・・・
・・・あらすじの通りに、この作品は、実にシリアスな雰囲気で進んでいきます。
戦火の止まない時代へと生まれてしまい、自分の進みたい道を選べない少女達を主役に添え、やがて来るだろう時代の決着の中で生きる彼女達の中で、主人公の一人であるリナ・レタ先任軍曹の生き様が筆者の心を打ちました。
気丈に振る舞っていてもその心内は優しく、かつては獣医を志していた動物好きな優しい少女だった彼女ですが、部隊を率いて戦場を進まなければいけないが為に戦友を失い、また戦友を死なせてしまう作戦へと従事させてしまうと、年端も行かない少女が下さなければいけない決断と、レタは選択を幾つも迫られていきます。
その中で自身が虜囚となるも、部下を救う為にかつての自分を捨て、味方であった仲間と戦わなければいけないと、時代の畝に巻き込まれていく彼女と物語は大きく動いていきます。
この作品では戦争をテーマに描かれ、ぼかした雰囲気は無く、残酷さがある戦争の現実感が演出され、血生臭く、また人の心の闇などが描かれてもおり、読者だった筆者は鮮烈な印象を覚えております。
戦火の中に行き、その中で青春を過ごし己の道を見つけていくと少女達の強さが見どころとなりますが、諸般の事情により連載が停止、単行本4巻まで刊行していますが続巻刊行が無期限延期となります。
(C) 鋼鉄の少女たち 手塚一佳/アイラ・ラボラトリ 月刊少年エース/角川書店
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