国産プラモメーカーに先駆けて、精力的に帝国陸軍の爆撃機をモデル化していたレベル。
レベルというメーカー
今のモデラー諸氏には馴染みが薄いかもしれませんが、1960年代から70年代にかけて「レベル」というアメリカのプラモデルメーカーが幅を利かせておりました。
兎に角ラインナップが豊富で、色々な事を教えてくれたメーカーでしたね。
パッケージには横文字が並び、異国情緒を漂わせていた上、箱絵のイラストがどこか芸術的でした。
模型店のショーウィンドーにレベル社製の帆船や客船、タグボートなどの大きなパッケージの高価そうなプラモデルが並んでいて、豪華で華やかな雰囲気を演出していたのがとても懐かしいです。
そんな高嶺の花のような商品を10歳前後の私が羨望の眼差しでいつも見上げていたのでした。
思い出深いのが、大戦中の列強の戦闘機をほぼ網羅した1/72ファイターシリーズです。
百円という手ごろな価格で、第一次世界大戦に登場した複葉、三葉の戦闘機までシリーズに加わっておりました。
帝国陸軍に「飛竜」「呑竜」という大型爆撃機があったのを教えてくれたのもレベルでした。
1/72ですから、モデルは結構迫力があり、定価は500円でした。
忘れられない「九七重爆」
忘れられないのが、帝国陸軍の主力重爆撃機「九七重爆」。
それまでの陸軍の爆撃機とは一線を画して近代的なフォルムを備えたと言われているのですが、私個人としてはいささかアクの強いスタイルとの感を拭いきれませんでした。
とりわけ機体上部中央付近にナメクジの様に長く伸びた風防に、強い違和感をおぼえましたね。
機体の全長及び主翼のスパンが短く、しかも主翼は中央部から翼端にかけて急激に細くなっていくという、ややずんぐりとしたスタイル。
海軍のスマートな九六陸攻と比べると非常に対照的で、同じ三菱が手掛けた飛行機とはとても思えません。それでいて陸軍の主力重爆に相応しい貫録を備えており、とても印象的な飛行機でした。
レベルは、そんな特徴のある九七重爆のプロポーションを見事に捉えていたと記憶しております。
日本機をなぜ?
それにしても不思議です。日本の代表的なプラモデルメーカーが未だに発売していない九七重爆の1/72モデルを、半世紀前に外国のプラモデルメーカーが手掛けていたわけですから。
最近のプラモデルについては余り詳しくはないのですが、ひょっとして飛竜、呑竜の1/72モデルも、まだ国産メーカーは手掛けてはいないのではないでしょうか?
仮に手掛けていたとしても21世紀になってからであるのは確かだと思います。
当時のレベルの旺盛な商品開発力が偲ばれてやみません。

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