バンドデシネの魂を受け継ぐ巨弾SF「星喰い殺しのイグナロ」

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突然だが、みなさんは『バンドデシネ』をご存知だろうか?
バンドデシネは主にフランス語圏で発達した漫画カルチャー。その影響力は大きく、日本の漫画、アメリカのアメコミとともに世界3大漫画産業に数えられるほど。精緻で抑制が効いたタッチと、そこからは考えられないほど摩訶不思議なセンスが散りばめられたバンドデシネ作品は世界中のクリエイターを魅了し、様々な作品に影響を与えてきた。

今回ご紹介する漫画『星喰い殺しのイグナロ』(著: 山路新)もそんなバンドデシネの香りが濃厚にただよう日本式バンドデシネ、いわば「マカロニウエスタン」ならぬ「スキヤキバンドデシネ」のような作品。
日本の漫画とフランスのバンドデシネ、出会うとどんな化学反応が生まれるのか。今回はその魅力に迫ってみよう。

目次

日仏コミックの不思議な融合「星喰い殺しのイグナロ」って?

本作はフランスのマンガカルチャー「バンドデシネ」の影響を色濃く受けている。
が、私たち日本人がまず思うのはやはり「すごい……ナウシカじゃね?」という感想だろう。

大気汚染され滅びに向かう荒廃した世界、生物的な兵器やナノマシン、異形のごときマスクや兜をつけた人々・・・など、『イグナロ』で描かれる世界は宮崎駿監督作品『風の谷のナウシカ』の影響を多大に受けているように見える。
だが、それもそのはず、作者がイメージソースとして挙げているフランスのバンドデシネ作家、メビウスことジャン・ジローこそ、宮崎監督がナウシカ制作時に大きな影響を受けた作家の一人である。
メビウス本人もまた宮崎監督の作品に惚れ込んで後年共同展示会を開くなど、互いに深い繋がりがあったアーティストなのだ。

いわば『イグナロ』とバンドデシネ、そして『ナウシカ』は日本とフランス、全く異なるルーツを持つように見えて実は先祖が同じご近所さんのような関係というわけ。
バンドデシネと言われると、「よくわからない」「なんだか難しそう」と思ってしまいがちだが、こう聞くとなんだかバンドデシネが身近に感じられはしないだろうか。

そして『イグナロ』のすごいところは、こうした偉大なご先祖さまたちの影響を受け継ぎつつ、独自の世界観をつくりあげ、現代の作品として昇華しているところだろう。
そんな日仏二つのマンガカルチャーが影響しあって生まれた『星喰い殺しのイグナロ』。
つづいてはそのさらなる魅力を深堀りしてみよう。

メカ!神話!バトル!因習!気になる中身を深堀り!

さて、ここからは作品そのものの中身について深堀りしていこう。
舞台となるのは、巨大な地層の裂け目によって陸地がズタズタに分断され荒廃した世界。人々は地面や洞窟から発掘される遺物によって細々と命を繋いでいる。

そんな世界のある貧しい村にふらりと現れたひとりの旅人。
彼女は機神と呼ばれる兵器を探していると言い、また暴走する機神を見つけると、あっという間に鎮めてしまう。なんと彼女は機神を操れる特殊な人間「王族」だったのだ。
機神と王族の到来に湧く村人たちだったが、そこにイグナロを追って、教会から騎士が派遣がやって来る。
彼らはイグナロが神ごろしを企む背教者だと言うのだが……。

というのが、『星喰い殺しのイグナロ』のざっくりとしたあらすじだ。
「なんのことかわからない!」と思った方には申し訳ない。本作は説明が少なく「絵とセリフで魅せる」タイプの作品であるため、どうしても要約が難しくなってしまうのだ。
だが、そのぶん作中のキャラクターデザインや有機的なメカデザイン。そして白と黒の緻密なタッチで描かれる絵画的な紙面はみどころたっぷり。

機神、創造蟲、星力などの説明なしにガンガンぶち込まれる作中独自のワードは、浴びせられるほどに酔いが回るかのように頭がクラクラし、いい意味で物語に振り回される感覚を味わえる。
またネタバレになるため多くは言えないが、機神同士のバトルが始まるといわゆる日本の「マンガ」や「アニメ」的な面白さも格段にアップ。

そこからイグナロの過去編に突入するころには、だんだん独特な作品世界にも馴染んできて、続きが気になってくるはずだ。白黒の精緻な画風に、マスクを取らない機械じみた見た目の登場人物、複雑な作中用語などややとっつきにくい要素が盛りだくさんの本作。
だが、そのわからなさこそがたまらなくなる瞬間が読んでいると確かにある。今風のわかりやすくサクッと楽しめる漫画ではないが、それゆえに読みどころの多いマンガだと言えるのではないだろうか。

星喰い殺しのイグナロ

『星喰い殺しのイグナロ』は、日本の漫画とフランスのバンドデシネという二つのカルチャーが長年にわたって影響を与えあってきた末の結晶ともいうべき作品だ。
こう言うと、なんだか小難しい高尚な漫画なのかな?と思われる方もいるかもしれないが、いわば本作は日本とフランスのコミック文化の「いいとこどり」。

けしてわかりやすく華がある作品とは言えないが、読めば必ず脳が痺れる経験が味わえる。気になった方はぜひチャレンジして、二つの漫画世界にシェイクされる体験をしてみてほしい。

(C) 山路 新 KADOKAWA

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