子どものころ、もしかすると大人になってからでも、夜の部屋で少しだけ開いた扉の隙間やベッド下の空間に恐怖を感じた人は多いのではないでしょうか?
暗くて詳細ははっきり分からない、けれども、何かがいるように感じる空間がある。
有名な都市伝説に「隙間女」というものがあり、妖怪とも幽霊ともとれる存在で、新しいものかと思いきや、歴史もあるこの怪異。
隙間女の本質について、探っていきたいと思います。
隙間女とは
隙間女とは単純に言えば、「人がいるはずもないの間にいる女」です。
ネットが普及した頃の創作だと思われがちですが、江戸時代に書かれた随筆「耳嚢」にその類話を見ることができることや、江戸時代には怪異として知られていたことから、もっと古くから語られてきたと考えても良いでしょう。
近年では、コメディアンであり怪談の語り手また、として知られる桜金造の持ちネタ「1mmの女」で知られるようになりました。
隙間女の話型
隙間女の主な話型は主に以下のようなもの。
1人暮らしをしている女性が、誰もいないはずの部屋で視線を感じた。最初は気のせいとやり過ごしたものの、毎日、誰かの視線を感じるようになっていった。家中を探したが誰も見つからず、外から覗かれている可能性も考えにくい。
そんなある日、彼女は見つけてしまった。タンスと壁の細い隙間に女が立ち、こちらを見つめ続けているのを⋯
桜金造が語るバージョンでは、主人公は会社員の男性になっており、無断欠勤を繰り返す彼の自宅をたずねた同僚が、タンスと壁の隙間にいる赤い服の女性を発見する。
同僚は逃げ帰ったものの、主人公の男性の行方は分からないという流れになっています。
隙間女が見つめていた相手をどうするか、この点に関して書かれているエピソードは多くありませんが、異界に連れて行かれたり、襲ってきたりするものがあるのです。
「耳嚢」房斎新宅怪談
代表的であり資料的に初出とされる、先にも取り上げた「耳嚢」に収録されている「房斎新宅怪談」を解説します。
以下に、大まかに内容をまとめてみました。
数寄屋橋に人気の菓子屋 房斎が引っ越してきたが、2階の戸が固く、強くたたいても半分しか開かない。
別の日のこと、召使が扉を開けようと強く押し込んだところ、戸袋の隙間から女が現れて組み付いてきたので、驚いて突き飛ばすと女は消えた。
また、翌日まで女の着物が軒口に残っていたが、それを取り除こうとすると無くなってしまった。
戸袋という、到底人が入れないであろうスペースから飛び出してくる女。
まさに隙間女の性質を強く持つ怪異譚です。
隙間女の本質とは
隙間女の本質とは、いったい何なのでしょう。
隙間女の特徴は、その名の通り「隙間」に潜む存在であることです。それも、家具と壁の間であったり、「房斎新宅怪談の事」のように戸袋であったり、非常に細い隙間です。
通常人が入れる場所ではなく、分から覗かなければ中が見えず、光が届きにくく薄暗い。
かといって何もいないとは言い切れない雰囲気があり、その奥で、何かが起こっていても気づきにくい場所。
そこにいる、隙間女の「見つめ続ける」という行為。
人間の目は、周囲を見るための体の部位というだけではとどまらない、力が秘められています。
人は目で相手の感情を推し量り、目くばせをすることで意図を伝えることができ、言葉に頼らずに心が通じ合った経験がある人も多いでしょう。
視線に対する鋭い感覚も持っていて、例えば、「なんだかムズムズするな」と感じて振り向くと、誰かに見つめられていた。漫画などでよく登場するシーンですが、現実でもありがちな状況です。
他にも目(眼)や視線に呪術的、魔術的な意味を見出す文化も少なくありません。
代表的なものは、悪意を持った視線が不幸を呼ぶという「邪視」というもの。悪意のある視線は、たとえ呪いを信じていなくとも、できる限り向けられたくないものですよね。
隙間女が向ける視線の意図は分かりませんが、好意的なものでない事は確かです。
人は薄暗い場所を好まない、その上、日常から少し隔絶された感のある隙間。
隙間女は、こうした場所に感じる不気味さと、視線に対する忌避感から生まれた都市伝説なのかもしれません。
まとめ・「隙間」に感じる不穏な感覚
隙間女という都市伝説について本質を探ってみました。
押し入れの中や天井裏の空間、ライトの光が届きにくい部屋の角。
家のあちこちに、「異界」とでもいえる場所が広がっており、隙間女やそれに類する怪異が住み着いているかもしれません。
家の中で視線を感じても、迂闊に視線の元を探さない方が良いかもしれませんよ。
※画像はイメージです。


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