創作作品や或いは専門分野の論説のなかで見聞きしたことがあるかもしれない『パラレルワールド』。
実在するかもと考えるだけでも浪漫を感じられるパラレルワールドという概念を、限られた紙面に摘んでまとめていく。
現実世界と別世界を認識する
パラレルワールドに触れるために前提として、まず我々が存在する世界を認識する。そしてそこを現実世界とした際に、別次元や別空間と呼ばれる場所にも『世界』が存在していると考える。
以前別紙で取り上げたものでいえば、転生ものの創作作品に見られる異世界や某掲示板で知名度を上げたきさらぎ駅で降りた先の世界、各宗教で説かれる天国や地獄なども当てはまるか。
パラレルワールドもこの別空間に存在する世界の内の一つといえるが、次章で詳しく見ていく。
パラレルワールドとは
先述の通りパラレルワールドとは現実世界と別空間に存在している複数世界を指す。他の世界と比べパラレルワールドは『現実世界と並行して存在している』という特徴がある。これだけ聞くと異世界などと一緒ではないかともなるが、特徴を…中でも『並行して存在』という点を中心にイメージしていく。
我々がこの現実世界に存在し生きていくうえで、全て数えるのは不可能なほどの『選択』をしている。
例えば読者諸君が今日起きて、朝飯を食べるor食べないを考え結果食べたとする。すると現実世界は諸君にとって、
『朝飯を食べることを選択した世界』
となる。そして同時に別空間には、
『朝飯を食べないことを選択した世界』
が生まれる。その世界には『朝食を抜きそのまま出勤する諸君』が存在し、現実世界にいる『朝食を食べた諸君』とは別個体である。
この『朝食を抜きそのまま出勤する諸君』は次に通勤手段バスor電車を考え選択し、その先には『バス通を選択した世界』と『電車通を選択した世界』が存在する。そしてその先にも自販機で飲み物を買うかの選択をした世界が…というように、選択ごとに枝分かれするように存在していく。
今我々がいる現実世界を主軸に据えた時、パラレルワールドとは、選択の連続を重ねて形成された現実世界から枝分かれした『選ばなかった選択肢を選んでいたら存在していたもしもの世界』である。
パラレルワールドの特徴
パラレルワールドは選択肢が直近かつ影響力が小さいほど、現実世界と比較的相違ない文化形成や技術発展をしている場合が多い。ただ影響力の大きい選択肢の先の世界…例えば大戦開戦を宣誓する権力を持った要人が宣誓を行わず、『歴史的戦争が勃発しない選択をした世界』では、その後に結ばれる条約や法も変化し世界情勢が全く違う世界になっているかもしれないという風に、現実世界とは違う「もしも」の姿がより顕著に見られる場合もある。
また選択肢を同時に複数選ぶことはできない(朝飯を食べる選択肢と食べない選択肢を同時には選べない)という特性から数は無限に近いほどありながら現実世界とは決して交わらない、ゆえに『並行して存在』すると表現され、『転生』『きさらぎ駅で電車から降りる』『死』などの条件で行けるとされる異世界・きさらぎ駅・天国地獄などとは少し異なる性質を持つ。
この性質はタイムトラベル発生時のパラドックス(歴史に干渉した際の現実世界への影響。例えば過去に戻り両親が出会わないようにした際、元の現実世界の自分は「生まれなかった」ことになり存在が消えるのか)も、「過去に戻る際、元の世界とは別空間のパラレルワールドに干渉するため現実世界には影響がない」という具合に説明できるという。
パラレルワールドに対するアプローチ
一見フィクションのような、創作の中の概念のように感じるパラレルワールドだが、様々な界隈ではあながち不可能ではないとその存在に対するアプローチが進んでいる。
論理学や哲学の方面では『世界とはどのような姿であるべきか』を考えた時に思いつく数だけ存在する『可能世界』があり、現実世界はその可能世界の内の一つであるという『可能世界論』がある。
前章でまとめた『選択肢の数だけ生じるもしもの世界』という考え方はこの可能世界論に近いかもしれない。
また物理学の分野では『こことは違う場所にもう一つ或いは複数世界は物理的に存在し得るか』という観点からアプローチをしている。
量子力学という物質単位で、宇宙が創生される過程から考える
『宇宙を構築しているのが正物質として、ビッグバン後に正物質で宇宙が生まれた際に反物質(正物質とは反対の特性を持った物質)を主要分とした宇宙が複数の泡のように生まれ、正物質の宇宙とは別に反物質のみで構築された宇宙が存在している』
という説である。
物理的な世界の所在という論点はタイムパラドックスを考える際に参考にしやすいかと思う。
このようにパラレルワールドは概念や物理といった多方からその存在の可能性を探られている。
少々理論を噛み砕くのに苦労する節もあるが、あらゆる分野の専門家がこぞって模索するほど興味深い題材ではあるので、この浅層解説でパラレルワールドという存在に興味が湧いたならぜひ諸君の得意分野から調べてみてほしい。
※画像はイメージです。


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