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噛みしめる幸せ

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第一志望の高校に合格して喜びもつかの間、住んでいた家から高校までが遠く、時間的な事はともかく交通費も馬鹿にならいので通学するのは厳しい。
かといって学生寮や下宿先がないので、女の子の一人暮らしは私も家族も不安。
仕方なく私達家族は引っ越すことに決めました。

目次

学校のそばに引っ越しをする

母から物件サイトを見て候補を絞るように言いつけられていたのですが、住んでいる家を離れることに消極的だったので気乗りせず、どの物件も良いと思えません。
そんな気持ちで不動産サイトを見ているとき、あるマンションに惹かれるものがあったんです。
なぜその物件がよいと思ったか全く覚えていませんが、何となくこの家が良いなと思ったので、母に伝えるとすぐ見学に行くことになりました。

内見当日はとても晴れていて、4月の下旬なのに夏のように暑かったことを覚えています。
午前中は学校があったので、午後から母と合流しました。

不動産会社の方と会うと、その人は制服姿の私を見て少し怪訝そうな顔をしましたが、家族は全く気付いていなようです。一通り説明が終わったあと、不動産会社の人は私のほうを向いて、「高校生ですよね、何年生なんですか?」と聞いてきました。
高校一年生であり進学を機に引っ越しことを伝えると、学年を知ったときに不動産会社の方の顔が、またすこしひきっつたように感じましたが、誰も気づいておらずそのまま物件へと向かいます。

お部屋の違和感

その物件は2LDKのファミリー向けマンションで、はじめの印象はなんだか暗いなという感じでした。
周りに竹藪があり陰になっているかもしれないし、玄関は北側だったためこんなものかな?

でもリビングルーム、両親の寝室になる部屋は広くて明るめで快適そう。
そのあと私の部屋になる予定の六畳を見学したのですが、両親の寝室になる部屋とお風呂とトイレを挟んだ、外の共用廊下に面していて、なんとなく独立したような位置にあります。
部屋に入った瞬間、鉄格子のついた窓が目に入ると、なんとなく嫌な感じがしました。
北向きの部屋なのでうす暗いのは仕方がないのですが寒気がして、なぜかクローゼットが怖くて仕方なかったのです。

最後にお風呂を見学すると、入った瞬間泣きたいほどの恐怖感が全身を襲いました。
幽霊などが怖いというより、もっと切羽詰まっているような、他人の恐怖感が自分に流れ込んでくるような感覚に襲われ、外の気温からは考えられないほど寒くて、暗くて、変な汗が止まらない。

私の様子に気づいた母に手を引かれ、外に出たまでは覚えているのですが、それからあとの事はあやふやで、はっきりと覚えているのは、家で母に抱きついて泣いていたこと。

あの物件の訳

思春期で反抗期気味、引っ越しのこともあり不安定とはいえ、私のありえない行動。
内見での様子を不審に思った母は、インターネットの某事故物件サイトで検索をかけてみると・・・結果、やはり事故物件でした。

亡くなったのは、当時、園児だった女の子で、私と同じ年の生まれで生きていれば高校一年生。
両親に虐待され、真冬に水をはった浴室に放置されて溺死。
知った瞬間、あの恐怖感はこの子のものだと納得がいきました。もしかした私は呼び寄せられたのかもしれません。
同じ年のそれなりに幸せに生きている私に、自分の体験した恐怖と孤独を体験してほしかったのだと思います。

それから別のマンションに引っ越しましたが、この出来事があってから、以前よりも当たり前も幸せをかみしめるようになりました。
あの子が自分の苦しみを共有したことで、少しでも報われてくれたことを祈っています。

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