2020年10月にロシアの銃器製造企業、カラシニコフ・コンツェルンの現社長タラソフ氏が、インスタグラムの投稿によって新型のアサルト・ライフルの情報を直々に公開した。
これが旧ソ連・元ロシアで開発されたAKアサルト・ライフルの最新型であり、5.45mm×39mmの小口径高速弾を使用する「AK-521」とされており、その型番から500シリーズと呼称される。
AKアサルト・ライフルとしては2012年に開発され2015年にロシア国防省が採用たAK-12が、最も近年のモデルとして知られているが、これに続く新型が「AK-521」となる模様だ。
以後は500シリーズと呼称され、現在ロシアが正式採用している5.45mm×39mm弾以外にもこれまでのAKシリーズと同様に各種口径や形状のモデルが追加されるのだろう。
AK-512の特徴とは?
前述のカラシニコフ・コンツェルン社のタラソフ社長によるインスタグラムの映像などを見ると、「AK-521」は全体的なデザインは従来のAKシリーズを踏襲している事が窺える。
これは初代の「AK-47」や近年の「AK-12」に至るまで一環したAKシリーズ特有の無骨さと堅牢さを備えたものと言え、「M-16・AR-15」系と同様に20世紀を代表するアサルト・ライフルの完成形だろう。
そんな中で「AK-521」は従来のAKシリーズと大きく異なる点が2点あり、ひとつは「M-16・AR-15」系と同様の機関部を中折れ式で解放できる方式へと変更されている部分だ。
そしてもう1点が銃身にフリーフローティングバレルを採用している点であり、外観上と異なり内部機構においてはこれまでのAKシリーズから大幅な見直しが行われていると言えよう。
またこれはどちらかと言えばデザインと操作面に関わる部分だが、従来のAKシリーズの特徴でもあった大型のセレクターレバーが、アンビ対応の「M-16・AR-15」系に近いものに置き換えられている。
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AK-512の耐久性について
「AK-521」はライバルである「M-16・AR-15」系と同様の中折れ方式へと変更されているが、このとき薬室を含む主要な機関部は上部にあたる部分の中に凝縮されている。
故にこの機関部の中身が銃としての物理的な可動部分となっている訳だが、これらは全て金属製のパーツで構成されており、従来のAKシリーズの特徴である堅牢さを保持しているようだ。
逆に銃本体に付属する非可動のパーツには強度を確保しつつも、軽量化を目的としたポリマー樹脂の導入が行われており、近代的な銃火器の特性も取り入れている仕上がりだ。
反面、ボルトやそのスプリング、ピストンやハンマーなどは定評の高い従来のAKシリーズのものと同じ構造が採用されており、信頼性の面からもこれまでの伝統も受け継いでいる。
ロシアは非常に低い気温の地域が多数あるため、そうした状況下での作動も念頭におかれ、テストでは銃本体と弾丸をマイナス50度で冷凍した後の実射も行ったと言う。
その結果からも「AK-521」は問題なく使用することが可能だったとされており、こちらも従来のAKシリーズ譲りの高い実用性を持たせている事を窺わせる点となっている。
AK-512の評価・総評
実際のところ「AK-521」は未だ開発途中のアサルト・ライフルであり、仕様上のスペック等も不明であるため、多分にインスタグラム等の映像で受けた感覚での印象評価となる。
最も従来のAKシリーズから変更された点、銃身にフリーフローティングバレルを採用している事からは、射撃精度の向上が図られているのだと思われる。
これは精密射撃が求められるスナイパー・ライフルでも多く用いられる方式であり、構造上余分な可動部品等の干渉が減少していることで得られる恩恵だと言えるだろう。
「AK-521」は2021年に開催予定の銃火器・兵器展示会の「アルミヤ」において世界に向けて公表されると見られ、そこでは西側諸国の標準である5.56mm×45mmNATO弾仕様の登場も予想される。
ここにおいては前述のように「AK-521」のセレクターレバーがアンビ対応の「M-16・AR-15」風に改められている点が、従来の西側諸国にとっても非常に馴染み易い可能性もある。
公開されているセミオートの射撃を見ても、反動も非常に少ないことが見て取れるものであるが、一面製造には従来型よりも手間がかかり、コスト増にはなるのかも知れない。
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