MENU

露カラシニコフ社の自動小銃 AK203とは?

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

ロシアの軍人であったミハイル・カラシニコフ氏が設計し、1949年旧ソ連軍が採用、その頑強さからその衛星国や第三国にまで普及したアサルト・ライフルが「AK-47」である。
アメリカの「AR-15/M-16」系のアサルト・ライフルと、正に東西両陣営の双璧を成したこの銃は、今も細かな部分の改良を施されながらロシアはもちろん、第三国でも多数使用され続けている。
そんな「AK-47」アサルト・ライフルの系譜に連なる新型銃が、今回インド軍が正式採用を決定した「AK-203」であり、その決断には大きな注目が投げかけられていると言えよう。

目次

従来のインド軍の正式採用アサルト・ライフルは「INSAS」

これまでインド軍の正式小銃だったのは1998年後頃から配備が始められた「INSAS」で、作動方式・デザインなどは「AK-47」を参考にし、国内のティルチラーパッリ兵器廠で製造された。
「INSAS」は全長960mm、重量4.15kg、銃身長464mm、発射速度600~650発/分、使用する弾薬は5.56x45mm NATO弾と、AKをベースとしながらも弾薬は西側に準拠していた点が特徴である。
この当時のアサルト・ライフルのためか「INSAS」には3点バースト機構も搭載されており、またこれをベースとして分隊支援火器や狙撃銃も生産されている。
「INSAS」はインドだけで無く、ネパールやブータンと言った近隣国や、オマーン・エスワティ二と言った国外にも輸出されるなど、インドにとっては一定の成果を収めたと言えよう。

INSAS

■INSASCrista Yazzie, U.S. Army, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由

因みに「INSAS」の前のインド軍の正式小銃は、FN-FAL社の7.62mm×51mmNATO弾を使用する「L1A1」を国内でライセンス生産したもので、インド軍では「1A1」小銃と呼称されていた。
つまり第二次世界大戦後に独立を果たしたインドは、先ず7.62mm×51mmNATO弾の「1A1」を採用、その後、5.56x45mm NATO弾の「INSAS」に移行した謂わば西側と同様の路線を歩んできた。
しかし「INSAS」は運用を行うインド陸軍から、連射時の銃身膨張や弾倉破損の不具合、そして今また中国軍と対峙するヒマラヤ高地等の悪環境での動作不良が指摘され代替が検討されていった。

インド軍の新正式採用アサルト・ライフル「AK-203」と使用弾薬

前述の様な「INSAS」の運用面からの不備・不満の声を集約し、インド軍が新正式アサルト・ライフルに選定したのはロシア・カラシニコフ社の「AK-203」であった。
「AK-203」は全長705~940mm(折りたたみストック)、重量3.8kg、銃身長415mm、発射速度約650発/分、そしてここが最大のポイントだが使用する弾薬は7.62x39mm弾となっている。
7.62x39mm弾はAKシリーズの初代「AK-47」等で使用されてきた弾薬ではあるが、1974年から登場した「AK-74」からは5.45mm×39mm弾へと変更され、旧ソ連でも小口径高速弾化が進んでいた。
今回の「AK-203」で敢えてインドは謂わば旧式の7.62x39mm弾を使用する決断を下したと言え、「INSAS」の5.56x45mm NATO弾と比べてもこれまでのアサルト・ライフルの潮流に逆行したものだ。

西側諸国では第二次世界大戦後、一旦は7.62mm×51mmNATO弾を使用するバトル・ライフルを採用するも、アメリカが「AR-15/M-16」で5.56x45mm NATO弾を導入して以降、それに倣っていった経緯がある。
この小口径高速弾の採用は、従来の7.62mm×51mmNATO弾に比べフルオートなど連射時の反動が少ない点や、弾薬そのものが小型・軽量化された事から1人あたりの携行量が増加出来た事が大きい。
当初「AR-15/M-16」が投入されたベトナム戦争では「AK-47」を相手に威力不足や作動不良が指摘されたが、メンテナンス方法の周知や本体、弾薬自体の改良でそうした指摘は過去のものとなっていった。

しかし今回インド軍が「AK-203」に7.62x39mm弾の使用を復活させたことで、過酷な高山地域での戦闘向けと言うだけでなく、ともすれば世界的に旧式弾薬が再評価される可能性もある。
インド軍は「INSAS」の5.56x45mm NATO弾の有効射程は約500メートル前後、「AK-203」の7.62x39mm弾の有効射程は約800メートル前後と判断している模様だとも伝えられている。
現状インドは「AK-203」を約770,000丁程調達すると見られており、初期の約100,000丁をロシアから輸入、残りを自国内でのライセンス生産とする計画のようだ。

「AK-203」のベースとなったロシアの「AK-100」と「AK-12」

今回インド軍が採用した「AK-203」には、ベースとなったロシア製カラシニコフ社のアサルト・ライフル、「AK-100」と「AK-12」という2種類のモデルが存在している。
「AK-100」シリーズはロシアでのオリジナルである「AK-74」の5.45mm×39mm弾の仕様を、輸出様に西側諸国の標準である5.56x45mm NATO弾に変更したり、7.62x39mm弾仕様でカービン化したものだ。
「AK-12」は、4世代目の「AK-74」・「AK-100」より更に新しい、系譜上5世代目に相当するモデルであり、2011年にロシアで開発され、5.45mm×39mm弾モデルを2015年にロシア軍が採用している。

AK-12

■AK12Nickel nitride (photo)Sumek101 (photo editing), CC0, via Wikimedia Commons

「AK-12」はこの5.45mm×39mm弾以外にも、5.56x45mm NATO弾、6.5mm Grende、7.62x39mm弾、7.62x51mm NATO弾と様々な口径・弾薬のバージョンが存在している。
「AK-12」は全長725~945mm(折りたたみストック)、重量3.3kg、銃身長415mm、発射速度約650発/分のスペックを備えており、「AK-203」よりも約500g程重量が軽い事がわかる。
これはインドが採用した「AK-203」が、軽量化よりもコスト低減の面を重要視したためと考えられ、材質変更や部品点数の省力化など、耐久性に影響の出ない範囲で妥協したものだと考えられる。

※アイキャッチはイメージです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

どんな事でも感想を書いて!ネガティブも可!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次