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亡くなったあの子より怖いモノ

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私が幼い頃に住んでいたのは、住んでいる住民は皆顔見知り、小学校の児童の数は全学年合わせても数十人ほどの僻地の小さな漁村でした。
これは私が6年生のときに体験した、静かな村がちょっと騒ぎになった怖い話です。

目次

亡くなったA君

夏が近くなれば遊ぶ場所は海岸が定番、学校の生徒が友達なので、学年の隔たりなく皆で遊んでいた時。
突然、1年生のA君の姿が見えなくなりました。
A君はとても大人しい子供だったので、その時はなにかの用を思い出して帰ったのだとばかり思っていたのですが・・・。

夜になってご飯を食べていると「まだ帰っていないけれど、そちらにお邪魔してないか?」とA君のお母さんから電話がありましたが、そんな事はありません。
母が不審がって事情を聞いてきたので昼間の事を話すと、村の皆で探すような大事となったのです。

次の日の朝、A君は亡骸となって見つかりました。
どうやら防波堤で遊んでいて足を滑らせてしまい、抜け出せずにいたまま潮が満ちで溺死だったようです。
お葬式で泣き崩れるA君のお母さんは本当に見ていられませんでした。

成仏できないA君

それからというもの、村では次々に奇怪な事が起きていったのです。

学校の用務員の仕事をしている、私のお祖父ちゃんが話では。
夜間の見回りをしていると、1年生の教室で自分の席に座って勉強しているようなA君をみかけるらしく、1年生なったばかりのA君を怖いというより悲く感じたそうです。

明け方には、自宅から学校への道でA君らしい子供みかけたという村民が続出し、声をかけたらニッコリと微笑んだなんて話もありました。
皆、成仏できないA君を憐れむようにそっとしてあげていたのですが、話はだんだんと思わぬ方向に向かっていったのです。

A君の呪い?

学校ではA君が亡くなってからも、給食の時にA君の席に彼の分を用意していたのですが、ある時、先生が「もういいかな」と思って止める事にしました。
その日、A君の隣の席の子供がパンを口にした時、異常な腹痛をうったえ、その場に突っ伏してしまったのです。
それからというもの、「僕の給食がないーー!!」ってなったのでしょうか?
A君の席に近い子供がパンを食べようとすると腹痛がおきるようになったのでした。

その頃、漁船がテトラポットに座礁し、他の船が接触して転覆するという、普通ではありえない大事故が発生したのです。漁船に乗っていたおじさんの話だと、防波堤の上に立って手招きをしているようなA君を見かけ、まるで吸い込まれるようだったと。

他にもいくつか不幸な出来事が起き、A君の呪いという噂がたちました。

このままでは

このままではなんともならんと、村にあるお寺に相談をしたのですがなんともなりません。
ついにはお寺の紹介で有名な高僧がやってきて、ようやく成仏したようで収まったのですが・・・凄まじい費用を請求されたのです。

村の皆でカンパしあってなんとか返済したのですが、A君の家族はほぼ村八分にされ、気がつけば夜逃げ同然に居なくなっていたようなのです。

実はここまで詳しい話を子供の頃には知りませんでした。
大人になって村を出て、お盆休みで帰郷した際に地元に残った友人から聞いた話で、私はA君の幽霊や呪いよりも、村人の方が怖いように思えます。

※画像はイメージです。

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