『魔法少女まどか☆マギカ』の例を挙げるまでもなく、いまやあるあるとなった大人向けの魔法少女作品。ホラーやバイオレンスの要素をふんだんに盛り込んだこれらの作品は、現在でも安定した人気がある。
今回ご紹介するアニメ『魔法少女特殊戦あすか』は、そんなシリアス系魔法少女の中でもかなりガチな作品。魔法少女のキラキラはそのままに、ハードな特殊部隊もののエッセンスをふんだんに盛り込んだこの作品。今回はその魅力に迫ってみよう。
魔法少女×ミリタリーを「ガチ」でやる!渾身の魔法少女バトル『魔法少女特殊戦あすか』
今回取り上げる『魔法少女特殊戦あすか』の舞台は、異世界からの脅威を「魔法少女」の力で退けた世界。大きな脅威は去ったものの、異世界から持ち込まれた魔術はテロや犯罪に利用され、世界にあらたな混乱をまき散らしていた。そんな新たな混沌が生まれた世界で、かつて異世界からの脅威を退け、英雄と呼ばれた主人公あすかが新たな戦いに身を投じていくというもの。ざっくり言えば、魔法少女とミリタリー色が強いサスペンスアクションを掛け合わせた作品というわけ。
こう書くとキャッチーな要素とキャッチーな要素を掛け合わせたネタアニメと思われるかもしれないが、本作はなかなかに「ガチ」だ。まず、アニメの元となったコミックの原作を担当しているのは、アクションものの著作に定評がある深見真氏。また軍事考証設定に田村尚也氏がクレジットされてもいる。
つまり元々アクションものやミリタリーをホームグラウンドとするクリエイターが作っている魔法少女ものというわけだ。それもあって魔法少女や魔法の存在はそのままに、作中登場する武器やアクションの描写は迫力満点。また作中のメインキャラクターの言動もかわいいというよりかっこいい。ハリウッドアクションやサスペンスを観ているような気分が味わえる。と言っても魔法少女ものとしての要素がおざなりになっているわけではない。
あすかたちの魔法少女としての設定や演出は秀逸。特にあすかたち魔法少女のデザインは、少し昔ふうでありつつ魔法少女の基本を押さえたかわいいデザインとなっている。
『魔法少女特殊戦あすか』は、魔法少女とミリタリーというキャッチーなテーマを盛り込みつつ、キャッチーさをうまく活かした作品なのだ。
魔法少女の戦いは終わらない!主人公あすかが選ぶハードすぎる選択とは
キラキラ魔法少女とミリタリーサスペンスアクションの融合作品『魔法少女特殊戦』あすか。そんな本作の主人公大鳥居あすかもまたキラキラした魔法少女でありながら、ハードな戦いに身を投じていくキャラクターだ。あすかは伝説の魔法少女「マジカルファイブ」のリーダーであり、異世界との戦いを終結させたいわば英雄的なキャラクター。だが、作品スタート時点では度重なる戦いで疲れはて、ごく普通の高校生として隠遁生活を送っている。
そんなあすかが新たな戦いに不可抗力で巻き込まれる本作は、いわば「伝説の戦士が帰ってくる系」アクションものの系譜と言えるだろう。このベタな流れがパズルのピースがハマるような感じがして、観ているとなかなか楽しい。だがその一方であすかを苦しめる戦いの傷の描写は結構シリアスかつハード。「伝説の魔法少女」の戦いぶりにテンションをあげつつ、あすかのハードな過去や心の傷を知ると「静かに暮らさせてあげてほしい……」という複雑な気持ちも芽生える。しかし、そうは言っても「最強の魔法少女」であるあすかを戦いが放っておいてくれるはずもなく、あすかは否応なしに戦いに巻き込まれていく。
このあたりの襲い掛かるハードな戦いと、それを目の前にして揺れ動くあすかの葛藤の描写がある意味この作品の一番の見どころと言えるかもしれない。魔法少女のキラキラ感とアクションものとしてのカタルシスを盛り込みつつ、その裏にあるハードな現実や主人公の心の傷を描いた『魔法少女特殊戦あすか』は、正しく大人向けの作品と言えそうだ。
魔法少女とミリタリーアクション
さて、こちらのように『魔法少女特殊戦あすか』は魔法少女とミリタリーアクションというキャッチーな要素をピックアップしつつ、キャッチーさに逃げないしっかりした土台と、戦いで傷ついた主人公の影をしっかり描いた大人向けのアニメだ。
そのためかなりハードな描写も続くが、見ごたえは抜群。少し気分を変えて、独特のスタイルのアニメを観たい人はぜひ試してみてほしい。
(C) 深見真・刻夜セイゴ/SQUARE ENIX・「魔法少女特殊戦あすか」製作委員会
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