「アイ・アイ・サー」と「イエッサー」の外国での使い分けを考察

戦争物のアクション映画やドラマで良く耳にする言葉が、兵士が上官に対して直立不動の姿勢で発する「アイ・アイ・サー」や「イエッサー」の返答でカッコいいですよね?
比較するならば頻度的には「イエッサー」の方が「アイ・アイ・サー」よリも多いような感覚もあるが、いずれにしても命令に服従する際に発せられるケースが多いようです。

そうした描写からは上官からの命令は絶対的であると言う軍隊においての、ある種条件反射的な用語のようにも思えるが、どちらにしても似たような場面で使用されているように聞こえます。
今回はそうした「アイ・アイ・サー」と「イエッサー」について、その言葉としての起源や由来、意味合いについて若干の考察をしてみます。

目次

歴史から見た「アイ・アイ・サー」と「イエッサー」

まず「アイ・アイ・サー」は綴りでは「Aye,Aye,Sir」であり、同様に「イエッサー」は「Yes,Sir」と表記され、語尾の「サー(Sir)」の部分は共通であります。
この「サー(Sir)」とは、元はイギリスの騎士を表わす称号だったが、現在の英語圏では男性一般の尊称として使用されており、基本的に目下の者が目上の人物に用いる用語。

但し軍隊においては少尉より上の士官に対して「サー(Sir)」の呼び方は行われるものであり、下士官に対しては原則使用されるものでは無い事が概ねの了解事項としてあるようです。
さて「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」だが、起こりは船乗りの用語に端を発しているとされており、それ故に現代でも海軍などの海にゆかりのある組織で使用されています。
「アイ(Aye)」とは「イエス(Yes)」と同様の意味を持つスコットランド由来の言葉であり、アイルランドやイングランド北部でも使われ次第にイングランド全土に広まった。

しかし今日では海軍や議会と言った狭い組織内で用いられるのみとなっており、「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」とは「上官に指示された内容を理解し実行する」意味の返事であります。
これに対し海軍以外の軍隊で広く使われる「イエッサー(Yes,Sir)」は、設問へ同意する場合の返答であり、例えば「今日は寒いな」と言う問いに同意を示すような形で用いられます。

海軍と陸軍の中間に位置しているような海兵隊では?

前述の様に「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」は伝統的に主として海軍で用いられており、逆に「イエッサー(Yes,Sir)」はそれ以外の軍隊で用いられるケースが多いと述べます。
では海軍と陸軍のちょうど中間に位置しているような海兵隊ではどちらを使用しているのかと言えば、この場合、両方の表現共に用いられていると言うのが実情に近いようです。

しかし個人的には海軍の中に陸戦部隊・兵員を組織したと言う成り立ちを考慮すれば、「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」が先で後に「イエッサー(Yes,Sir)」が入ってきたとも思えます。
近年の「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」と「イエッサー(Yes,Sir)」とでは、後者が広汎に軍隊内で使用されている事もあり、前者の方がより相手に敬意を示すニュアンスもあるとされます。

しかし日本で言うところの兵隊の「あります」言葉に象徴されるように、丁寧過ぎてある種の慇懃さを内包する側面もあるため、協調し過ぎる場合には揶揄する表現に用いられている事もあります。

映画における「アイ・アイ・サー」と「イエッサー」の使用例

アメリカの映画でこうした「アイ・アイ・サー」や「イエッサー」の言葉を数え切れないほど耳にする作品のひとつに、1987年製作の「フルメタル・ジャケット」を挙げない訳にはいきません。
ベトナム戦争を題材にしたこのスタンリー・キューブリック監督作の「フルメタル・ジャケット」では、アメリカ海兵隊の新兵達が極限のしごきを受ける訓練所での様子が描写されています。

主人公達海兵隊の新兵の訓練を担当する教官は歴戦の強者の一等軍曹であり、聞くに堪えない悪口雑言で彼等を罵倒し、新兵達を否が応でも命令に忠実な道具として鍛錬していく。
ここからもアメリカ海兵隊員が「イエッサー」を使う状況を多々耳にするが、部隊がアメリカ海兵隊である事、教官は軍曹に過ぎず士官では無い事など、一見すると定義外にも思えてしまいます。

但し軍曹と言う下士官と言えども訓練中の兵から見た場合は配属済の一般兵士と違い、教官に対しては「イエッサー」と返答を行う事が通例である事などを知ると、尚奥深く見る事が出来ますね。

「アイ・アイ・サー」と「イエッサー」の違いのまとめ

「アイ・アイ・サー」は「Aye,Aye,Sir」で「イエッサー」は「Yes,Sir」であり、語尾の「サー(Sir)」は英語圏では目下の者が目上の人物に用いる尊称。「アイ(Aye)」は「イエス(Yes)」と同義のスコットランド由来の言葉で、「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」とは「指示された命令を理解し実行する」意味で主として海軍で使用されている。

逆に「イエッサー(Yes,Sir)」は海軍以外の軍隊で主に使用されているが、海軍と陸軍の中間とも言える海兵隊では、「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」、「イエッサー(Yes,Sir)」とも使用される。
基本的には「アイ・アイ・サー(Aye,Aye,Sir)」の方が丁寧な言い回しだが、協調し過ぎる場合にはあえて揶揄する表現として用いられる事もあるという事です。

eyecatch source:Joan GreenmanによるPixabayからの画像
※画像はイメージです。

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コメント一覧 (1件)

  • 海軍でアイが使われるようになったのは大声で発話しやすいから(イエスでは口が開かない)。暴風の甲板でも相手に声が届く必要がありますからね。パイレーツオブカリビアンでもアイなので大航海時代から甲板員は使っていたのでしょう。

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