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ばあばあが拾った布団

これは、今は亡き祖母の姉(ばあばあと呼んでました)から聞いた話です。

ばあばあは、いわゆる子供の頃から霊感があったらしく、不思議な体験をいくつもしてきました。
私は、子供の頃、ばあばあが話してくれる不思議な体験談が大好きで、よく話を聴きにばあばあのところに遊びに行っていました。その中でも特に好きで、何度も聴いた話です。

昭和の初め、まだ日本全体が貧しい頃、ばあばあは、福岡県の飯塚に住んでいました。
ある時、ばあばあは、道端に捨ててあった布団を見つけました。布団は、そのままにしておくには、あまりに綺麗で新しく、とても立派なものに見え、何かに使えないかと、ばあばあは、それを家まで持って帰りました。
その夜、普段使っている布団だけでは耐えられない位の寒さとなり、何気に拾ってきたその布団を上にかけて寝たそうです。
 
その晩、とても息苦しく「温かいかい…?」と誰かに話しかけられているような感覚がばあばあを襲い、何度か目を覚ましました。そして、寝不足の状態で次の日の朝を迎えました。
さらにその晩も寒さは続き、昨晩と同様に拾ってきた布団をいつもの布団の上にかけ寝たそうですが、前日と同じように、息苦しい感覚に襲われたそうです。

布団に気味悪さを感じたばあばあは、それを近所の駐在所に持っていきました。そして、布団をかけて寝た時の不思議な気味悪さを駐在所の方に話したそうです。
すると、駐在所の方は、その話をたいそう面白がり、今晩、自分がその布団をかけて寝ると言い出しました。ばあばあは、気になりながらも、駐在所を後にしたそうです。

翌朝、駐在所の方が息を切らせながらばあばあの所にやってきました。そして、「確かに人の声が聞こえた。とても、気味の悪い悲しい声だった。温かいかい…?と聞かれたと思う。」と言ったそうです。
ばあばあは、知り合いのお寺さんにこの話をしたら、お寺さんは、供養した上で、燃やした方がいいと言いました。そして、駐在所の方と布団をお寺に持って行き、供養をした後に、布団を火の中に入れました。

その時です。
あたりに異臭が立ち込めました。
そして、布団に目をやった瞬間、そこにいた皆が声を出して驚いたそうです。
表面が焼けた布団の中から現れたのは、女性のものと思われる長い髪の毛でした。
綿などは一切入っておらず、真っ黒な髪で、布団は満たされていました。
このような布団がなぜ作られたのか、誰が作ったのかなど、結局わからなかったとのことです。

ただ、その髪の長さと量から、「かなり多くの女性が長い時間をかけてその布団を作り上げ、誰かのために何らかの想いで作ったんではないか」と想像したそうです。
そして、「その想いはかなわないまま、その誰かは亡くなったのではないか」、「その方に使われずに捨てられた布団をばあばあや駐在所の方が使ったため、作った目的を達せされなかった女性達の無念が、不気味な寝苦しさや真夜中の声として現れたんではないか」など想像しながら、焼けて真っ黒になった布団の周りで1時間ほど、皆で話していたそうです。

子供の頃、ばあばあが話してくれた中で、一番、印象に残っている話が、この話です。

ペンネーム:おぞつ
怖い話公募コンペ参加作品です。もしよければ、評価や感想をお願いします。

※画像はイメージです。

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