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少女の呪いが異世界を蹂躙!みつばものがたり 呪いの少女と死の輪舞《ロンド》

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災厄をもたらす悪魔の子が恐怖を撒き散らすーーといえばホラー映画の古典『オーメン666』。ファンタジー作品ながら、そんな『オーメン』を彷彿とさせるダークな一作が、今回紹介する漫画『みつばものがたり 呪いの少女と死の輪舞《ロンド》』(漫画: 堤りん 原作: 七沢またり キャラクター原案: EURA)だ。
流行の異世界転生要素を取り入れながら、古典ホラーをうまく換骨奪胎するかもしれないこちらの作品。今回は異世界転生ダークファンタジー、その魅力に迫っていきたい。

目次

「空っぽ」な少女が目覚めた先はー少女に秘められた呪いとは?!

今回紹介する漫画、『みつばものがたり』。ラノベが原作のこちらの作品、ゴシックな装丁と、繊細で透明感溢れる少女のイラストがまず目を引く。表紙の少女ミツバが本作の主人公。

「前世」の記憶が曖昧に残る状態で、数年にわたる植物状態にあった彼女が目覚めるところから物語がスタートする。目覚めた場所は古いヨーロッパ風の異世界。そして彼女は貴族令嬢のようなのだが……。と、ここまでは普通の異世界転生もののお約束。

彼女に人の生命力?を吸う、呪いの力が宿っていることもお約束の「チート」だろう。だが、本作は他の転生ものとは一味違う。その一端を担っている最大の要素が、主人公ミツバのキャラ設定だ。まず、他の異世界転生作品と違って、ミツバには「前世」の記憶が曖昧にしかない。通常ならば、「前世」でプレイしたゲームや読んだ小説などの記憶や、「前世」で主人公が就いていた職業が、異世界を生き抜くスキルになるのだが、ほとんど記憶がないミツバにはそれは難しい。ストーリーは概ねミツバ視点で進むので、読者はミツバとともに何もわからない異世界を生き抜くことになる。
そして、目覚めたばかりのミツバは「空っぽ」の状態で、自我が薄く、ただ退屈を嫌う存在として描かれる。

内面描写が本作最大の見どころ!!

このミツバの内面描写が、本作最大の見どころであり、特徴だ。
「自我や意志が弱く、ヒトとしての常識や知識が曖昧で、退屈が嫌いーー」そんな性質を持つミツバは、異世界転生ファンタジーのヒロインというより、正しくホラー映画の悪魔のよう。事実、作中での彼女の描写は、繊細で美麗なキャラデザに反して不気味に演出されており、コミカルに描かれている箇所もどこかダークで皮肉が効いている。

ファンタジーでありながら、どこかホラーを読んでいるような気分になるのもこのあたりが原因だろう。
そしてそんな「空っぽ」なミツバにはあろうことか、膨大な魔力と人の「生命力」を吸う力が宿っている。ミツバ自体にその意志はなくても、この世界を掻き乱す存在となっていくのは想像に難くない。

現在刊行中の一巻の中盤で、ミツバは彼女を疎ましく思う継母によって士官学校に入学させられる。士官学校と言えば未来の軍人を養成する機関。近世ヨーロッパをモチーフとした作品の舞台では、ミツバが軍人として出世すればおのずと国を動かす立場にもなるだろう。軍人となったミツバの存在が、この世界にとって吉となるか凶となるか。今後の展開を読者としては見守っていきたいところだ。

物語のカギは「魔銃」?!悪魔の子、ミツバが進む道に注目

薄い自我と曖昧な目的。そして退屈を厭う心と、呪いの力を持って、異世界で目覚めた少女、ミツバ。彼女は物語の序盤で士官学校に入学することになる。

11年間眠り続け、いきなり世界に放り出された彼女は、そこで様々なものに出会うことになるのだが、その最たるものが、「戦友」と「魔法銃」だ。その空っぽさと「チート能力」の呪力ゆえに、作中どこか不気味に描かれ、実際家族や奉公人からも恐れられているミツバにとって、それは希望となるはずなのだが、このふたつがどうも曲者。

まず、「戦友」。「呪い人形」と怖れられクラスでやや浮いているミツバに声をかけてくれたクローネ。快活で型にハマらない彼女はミツバにも気さくに接してくれる貴重な存在だ。だが、その一方で没落貴族でもある彼女は、上昇志向が強く、夢は軍で大成して成り上がること。
そのためには手段を選ばないきらいがあり、時に残酷な顔を覗かせることも。ミツバに興味を示したのも、名家を追放された身でありながら、物おじしない(単に何も考えていないだけなのだが)彼女の性質が利用できると捉えたところも大きそうだ。
明るく豪放磊落な彼女は得難い友であるとともに、ボタンの掛け違いが起これば、ミツバを脅かす存在になるかもしれない。まだどう転ぶかわからないものの、油断できない存在と言えそうだ。

油断できない存在といえば、ミツバのもう一人の友人、サンドラもまた相当な曲者。
一見真面目な優等生キャラの彼女だが、実は庶民出身で、ミツバたちが暮らす王国のあり方に強い憤りを抱いている。性格も苛烈で、出会ったばかりのミツバに突然演説をぶち、仲間なれと迫るほど。国の改革を望む彼女は、クローネとは別の意味で強い意志と目的を持った存在と言える。

そんな彼女がミツバの力に気づけば、よくも悪くも自分の目的のためにミツバを「使おう」とするだろう。その時ミツバがどう振る舞うのか、そして、その判断がどんな結果をもたらすのか、彼女の存在はミツバにとっても世界にとっても予想できない展開をもたらすトリガーになるだろう。

現在発売中の一巻では順風満帆?

さて、とはいえ現在発売中の一巻では、まだミツバの学校生活は順風満帆。
読者にとってはホラーな展開も多々あるものの、ミツバ自身は初めての学校生活をエンジョイしている模様。
そんかミツバが出会う、人生に変革をもたらすかもしれないもうひとつの重要アイテム、それが魔法銃だ。
外見は私たちが知っているライフルに近いが、この世界の銃は、弾の代わりに魔力を込めて射撃する、異世界ならではのもの。

どうやら戦場に革命をもたらすほど威力が高い武器だったと説明されているが、まだ作中でその真価を見せるシーンは出てきていない。ミツバ(と読者である私たち)とっては謎のベールに包まれた兵器だ。だが、ミツバは初めてこの兵器にであった演習で、魔銃を暴走させてしまう。
これはミツバの有り余る魔力(?)呪力(?)のせいであり、どうも魔銃とミツバの相性は悪くない様子。またミツバの所属は砲兵科。彼女の魔力と大砲が出会うとどうなるのか。作品を追う上で見逃せない要素となりそうだ。

異世界転生ものが溢れる中の別ベクトル!

「空っぽの悪魔の子」ミツバの物語を今回はざっくり追ってみた。
とはいえ作品自体はまだはじまったばかり。またミツバの呪力や前世についても謎が多い。今はまだ退屈を嫌う自我の弱いミツバがどう変わっていくか気になる。どうあれ本作は異世界転生ものが溢れる中、展開が気になる作品のひとつ。気になった方はぜひ、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

著:堤 りん, 原著:七沢 またり, デザイン:EURA
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みつばものがたり 呪いの少女と死の輪舞《ロンド》(C) Rin Tsutsumi (C) Matari Nanasawa・EURA (C) KADOKAWA CORPORATION

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