初めての一人暮らしで体験した後味の悪い話

子供の頃から保育士になるのが夢で、資格を取得できる短大に入学したのですが、実家からは遠いので人暮らしをすることにした時に体験した不思議な話です。

私は人見知りが酷いので短大でやっていけるか心配でしたが、コースのみんなが気さくで本当に毎日が楽しかった。
夏が終わって学校祭の時期でした、あるウワサが流れ始めたのです。

女性の幽霊が現れる

それは私たちが住んでいる学生寮の前を通ると「女性の幽霊が現れる」というウワサ。
ですが住んでいる、私を含めた全員が幽霊を見たこなんてなくて単なるウワサだと思っていました。

しかし日に日に目撃したという話が増え、それは誰も住んでいない部屋の窓の摺りガラスに女性の影がうつり、それを見た人のなかには、「たすけて・・・たすけて・・・」と助けを求めるか細い声が聞こえ人もいたという事なのです。
学生寮は短大用で生徒以外は入れず、普通に考えたら誰かのイタズラだろうと思っていましたが、私の真下の部屋なのでなんだか気持ち悪い。

同時期に私の部屋には何とも言えない表現しづらい匂いが漂い初め、狭い箱に閉じ込められて苦しむ夢を何度も見るようになります。この事を友人に話すと「匂いに憑かれてるんじゃない」とか、「もしかして、霊視的なやつ」なんて、誰も真面目に受け止めてくれず笑い話にされる日々が続きました。

思わぬ原因

理不尽なストレスを感じていたある日、学校から帰宅すると寮の前にパトカーが止まっていて、警察と管理のおじさんがなにやら話し込んでいます。
管理のおじさんはとてもいい加減な人と知られていて、よっぽどの事があっても限り寮まで来ません・・・それが来ている。それに警察もいるし関わらない方がいい、早々に横を抜けて行こうと思ったとき・・・
「○○ちゃん、ちょっと良いかな」と呼び止められた。

話によると・・・私の下の部屋は空き部屋なのですが、今年の春まで、学生寮なのに男女の学生が同棲していたらしい。卒業と同時に男性は故郷に帰ると同時に幼馴染の女性と結婚・・・女性はそれだけの存在だったのです。
ですが女性は納得する訳がなく、なにで知ったか男性を呪い殺す為、一番効果があるという二人の思い出（思念）の残る部屋で儀式を行っていた。
その呪いに必要な生贄として小動物を片っ端から殺害し、キッチン下の収納スペースに押し込んでいたそうなのです。

匂いは何人かの寮生にも抗議されて、渋々調べに来た所で部屋から出てくる女性と鉢合わせ、部屋の中がとても口では言えない状況に慌てて警察を呼んで、女性に事情を聞き・・・今に至った。

何故か私も警察に事情聴取されて、ヘトヘトになって自室へ。
匂いの原因は大量の小動物の死骸、幽霊の正体は部屋で儀式をしている女性だった・・・。

その後の話

あまりに気持ちの悪い話なので、すぐに他のアパートに移ったのですが、それがウワサになり、私の住んでいたアパートは心霊スポットとして有名になっています。下の階は事故物件扱いで格安の家賃で貸し出しているのですが、借り手がいないようなのです。

ちなみにですが、その後の彼女は後を追って彼氏の故郷に向かいひと悶着起こし、挙げ句の果に自殺してしまってそうなのです。この話はこの事件がきっかけで知り合った、彼氏と同郷で友人という人に聞いたので間違いは無いとおもいますが、なんとも後味が悪い。

そういえば、「たすけて」の声の主は誰だったんでしょう・・・彼女ではないと思います？

※画像はイメージです。