さて今回紹介するミリタリーなゲーム作品は、1990年にデータイーストから発売したファミコンソフト「大怪獣デブラス」を紹介したいと思います。
ジャンルはシミュレーションゲーム。ファミコンのシミュレーションゲームと言えば、大抵が「ファミコンウォーズ」や「大戦略」などのメジャーを上げますが、今回は知る人ぞ知る名作でもあり、あまり知られていない名作でもある、少しマニアックなシミュレーションゲームを紹介したいと思います。
このファミコンソフトは、平たく言えば和製特撮映画でお馴染みの地球防衛隊を組織し、宇宙人の地球侵略の手先である怪獣から地球を守る事を目的としてシミュレーションゲームです。
往年の東宝系の特撮怪獣映画などのパロディやオマージュが込められた、特撮好きな人には堪らないネタや設定など特徴として挙げられる、そんなシミュレーションゲームでもある「大怪獣デブラス」は、ゴジラやガメラなどのネタが満載な作品でもあります。
大まかなあらすじは以下の様になっています。
時は199X年。
東京湾南方にて突如として巨大隕石が落下し、また大型の巨大台風が発生するなどの天災に見舞われてしまいます。
でもそれはまだほんの始まりでしかなく、真の厄災は、まだ始まってもいなかったのです。巨大台風の通過後。東京沿岸部の海岸にて、巨大鳥の卵が打ちあげられました。
古代生物の権威でもある、やまね博士の調査により、この卵が古代で栄えた鳥獣である「ヤセギュルウス」であると判明し、これを孵化させる計画が立案されました。
でもその時、隕石の落下した海中から、M87星雲から訪れたひまん星人によって投下された大怪獣「デブラス」が出現し、「ヤセギュルウス」の卵を追うようにして首都へと上陸してきたのです。
地球防衛隊は異星人の侵略兵器である大怪獣の侵攻を阻止し、卵を守る為に部隊を出動させる事を決定します。
はたして人類に勝機はあるのでしょうか?
と、和製特撮のテイストで物語が進んでいきます。
この「大怪獣デブラス」はシミュレーションゲームであり、大怪獣の侵攻を止める為に地球防衛隊の兵器を使い、都市を進む怪獣を食い止めるシミュレーションゲームとなっています。
この時代のシミュレーションゲームでは珍しく、敵を撃破するのではなく、あくまでも進行を遅らせる為に攻撃をしていくという、実にゴジラやガメラに出てくる自衛隊の攻防が味わえるようになった仕様となっており、当時においても画期的なゲームとしても評価されていました。
またこのゲームの独特な面白さは決められたユニットの運用方法にありました。
当時のシミュレーションゲームでは、資金を使い、ユニットを生産する事が当たり前でもありましたが、この作品では決められたユニットしか使えず、また生産できなと言う枷が存在していました。
それにこのゲームでは、大怪獣デブラスの侵攻を遅らせ、たまごを守る事が目的となっており、迫りくる怪獣を止める為にユニットを配置する事がこのゲームの最大の戦略とも言われています。
怪獣に攻撃を加えても怪獣を倒すことは出来ず、あくまでも移動速度を落とす事しかできないと、実に特撮を題材にしたシミュレーションゲームでもあり、通常のシミュレーションゲームとは一線を置く作品として扱われていました。
しかもこのゲームは、最大の不確定要素もあったりするのです。
それはすごろくでたまご輸送の速度が決まってしまうという、運に左右されてしまうシステムがあったりします。
しかもそのサイコロも出目が少なく1や2などが乱発するなど、サイコロの運も要求されてしまうと実に緊張感のあるゲームでもありました。
その為に、サイコロの運に任せるよりは、ユニット配置の戦略に力を入れなければいけないと、戦略に気合が入ってしまうも、ユニットがあまりにも貧弱なために、運悪く配置してしまえば、たった一回の配置で全滅してしまう可能性もあると、実に鬼の様な仕様なゲームでもあったのです。
街の地形を生かしビルや家屋に建物の中にユニットを配置し、また怪獣が通る前に犠牲覚悟の特攻用にユニットを配置し、怪獣を食い止めなければいけないと、実に特撮の防衛隊の指揮官の気持ちが解ってしまう内容は子ども時代の筆者においては苦いものでもありました。
なにせ怪獣があまりにも強すぎるので、上手くユニットを配置し、また傷ついたユニットを戻し工場で修復させなければいけないと、ヒット&ウェイを使い分けなければいけないゲーム性は、単純なゲームに慣れていた子どもには辛いものがありました。
でもゲームを進めている内に、自衛隊の秘密兵器などが使えるようになり「ハイパーX」と「スーパーX」をオマージュした兵器などが登場するなど、特撮好きのネタをしっかりと押さえ、また登場人物のコミカルさなど笑える要素など満載でもあり、夢中になってプレイした記憶があります。
ファミコンウォーズや大戦略とは違った、シミュレーションゲームを楽しみたい人や和製特撮をこよなく愛する人ならば、心底楽しみたい、そんな作品です。
(C) 1990 大怪獣デブラス DATA EAST CORP.
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