仕事がなかなか終わらず遅くなり、ついには終電を見逃し帰宅できませんでした。
急遽、会社のそばに住んでいる先輩の家に泊めてもらうことになったのですが・・・40年ほど前の恐ろしい体験をお伝えしましょう。
先輩の家に泊めてもらったのですが・・・
その先輩の家は長屋のようなアパート、その当時でも驚くほどボロく隙間風が吹き込んでくる始末。
深夜、寝ていると冬で乾燥していた事もあったのでしょう、喉がカラカラになり何度か目が覚めました。
そのほかにもボロくて寒い部屋なのに、なぜか猛烈な熱さを感じて目が冷めてしまうのです。
そんな事を繰り返しながら、うつらうつらとしていると時刻は午前7時前。
うつ伏せで寝ている私に、すでに起きていた先輩が「そろそろ起きろ」と後をかけて背中を叩いてきたのですが、次の瞬間、後ろから押さえつけられたのです。
私は先輩がふざけているのだろうと思い「やめてくださいよ」と声を出そうとしましたが、何故か声が出ません。
たぶん1分も経っていないと思うのですが、1時間は抑えられているように感じます。
なんとかできないかともがいていると、トイレが流れる音が聞こえます・・・先輩がふざけているのではない。
驚きながらも「えっ?金縛り?こんなに明るいのに?」と思いながらも動けない。
悲劇を忘れない
するとその時、先輩がトイレから出てくる音が聞こえたと同時に、突然、その圧迫感から解放されました。
やはり・・・いたずらではないようです。
驚いて先輩にこの出来事を話すと、彼は驚いたような表情もせずに「お祓いはしてもらってんけどな」と冷静に答えたのでした。
後で聞いた話では、太平洋戦争の空襲の際、焼夷弾によってこの辺りの一帯が焼け野原になり、人々は熱さから逃れる為に貯水池に飛び込んだらしい。そして戦後になり池は埋め立てられ、先輩のアパートはその上に建てられたというのです。
金縛りもともかく、喉の渇きや猛烈な熱さは、戦争の犠牲者たちが体験したものが伝わったのでしょうか?
この話を聞いた跡、私は怖さよりも哀れさを強く感じました。
あれから月日は流れ、アパートは取り壊され、現在では15階建てのマンションになっています。しかし、この場所にはかつての悲劇が息づいていたことを、私は決して忘れることはありません。
※画像はイメージです。
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