学生時代に友人ら四人で旅行に行きました。
宿泊はバンガロー、両サイドに二段ベッドがある簡素な部屋で、真ん中には天井から蝿取り紙が4つほど下がっています。
夜になり用意してきた酒を出して宴会をはじめ、気の合う仲間四人でのおしゃべりなので楽しく盛り上がりました。
夜中になって外のトイレに行って、用を足して戻ってくると私は部屋のある異変に気づきました。
「あれ、おかしくないか?」
わたしは指を指します。
私の声掛けで3人は上を見上げると気づいた模様です。
ぶら下がっていた蝿取り紙が、全て天井に貼り付いていたのです。
「どうしてこうなったんだろう?」
みんな、思い思いにしゃべります。
「風が吹いてひっついんたんじゃない?」と一人が言いました。
しかし紙が天井に引っ付くほど強い風は誰も感じてませんし、何より四本の蝿取り紙が、全てバラバラの方向に引っ付いているのはおかしいです。
誰もが正解が思い付かない状況になり、いつしか重苦しいムードでみんな黙ってしまいました。
「もう、寝ようか?」
一人が声掛けするとみんなは同意して、変な気分が残ったまま就寝しました。
翌朝まで何事もなく眠れ、目が覚めると全員で支度をして、バンガローを出て家路につきました。
休み明けに学食で四人が集まりました。
「写真、焼いてきたよ」
使い捨てカメラを持っていった一人が、旅行の写真を持ってきたのです。
みんなで写真を見ながら、思い出話に花を咲かせて盛り上がりました。
「あ、この写真、すごくよくないか?」
と出してきたその写真は、みんながカメラを気にする事なく自然な感じで談笑している・・・とてもいい感じの写真でした。
「本当だ」と私達も同意して、「何の話してた時だった?」など盛り上がります。
その時、写真を見るなり、表情を強ばらせていた一人がポツリと呟きました。
「でもこの写真、誰が撮ったの?」
写真には四人全員が写っています。
使い捨てカメラなので、タイマー機能などは当然ありません。
私達はみんな、声を失いました。
蝿取り紙といい、写真といい不可思議な事が起きた旅行でした。
※画像はイメージです。
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