実戦的な拳銃射撃手法 C.A.Rシステムとは?

特にアメリカの映画やテレビドラマでよく描かれるシーンとして、警察や軍隊の特殊部隊隊員達が敵のアジトに強行突入する場面は誰でも1度は観たことあると思います。こうした突入シーンではヘルメットを着用しボディ・アーマーを着込み、サブマシンガンやM4カービンなどの比較的コンパクトな小火器を使用する隊員達の姿が多いものです。

しかし今回取り上げるのは主兵装として拳銃を用いた場合の近接戦闘に特化した射撃手法である「C.A.Rシステム」についてです。
この「C.A.Rシステム」、「センター・アクシス・リロック」の頭文字から略して呼称されているもので、アメリカの法執行機関でも実際に用いられている手法となっています。

ウィーバースタンスに代わる射撃姿勢として考案され、2014年公開の映画「ジョン・ウィック」により日本でも知られるようになりました。

C.A.Rシステムは腕を伸ばさない

「C.A.Rシステム」はアメリカで軍事コンサルタントを生業とする人物が考案・提唱しているだけあって、閉所における拳銃使用の有効性を極限まで高めることを目的としています。通常の拳銃の射撃と言えば利き腕で拳銃を持ち、引き金に指をかけ、その腕を標的に向けて一直線に伸ばし、もう片方の腕も同様に伸ばして利き腕に添える形式が一般的でしょう。

これは映画やドラマでも見覚えのあるもので、例えば射撃場などのある程度標的までの距離がある場合などに、仮に普段拳銃を手にする機会がまったくない人でも無意気に行う姿勢です。「C.A.Rシステム」が実戦的な拳銃射撃手法と言われる所以は正にこの点にあり、拳銃を持った利き腕や添える腕も決して伸ばさない点がポイントになっています。

C.A.Rシステムは敵との近接戦闘を想定

では何故「C.A.Rシステム」では拳銃を持った腕を決して伸ばさないのかと言えば、その腕に敵が攻撃を仕掛けてくるほどの接近戦を想定しているからです。「C.A.Rシステム」は腕を伸ばすことにより拳銃そのものを奪われたり、腕を負傷させられる事のリスクを極力低下させる目的で、自身の体に近い位置に拳銃を保持する姿勢となります。

このため建物内への突入時などにおいてその有用性を高く評価されており、アメリカの各種法執行機関でも取り入れられた射撃姿勢になっていると言えます。「C.A.Rシステム」が特徴的なのは拳銃を持つ利き腕とは逆の肩を前に出し、相対する前面に向けた体の面積を出来るだけ狭くし、敵からの攻撃を最小限に抑えることを企図しています。

これは敵の武器が何も銃だけに限らず、近接戦闘に適した刃物などであることも視野に入れ、それに拳銃で対抗する場合の最も合理的な姿勢と言えるでしょう。通常フル装備の特殊部隊の場合、所持する銃器には照準用のレーザーポインター等が装備されていますが、「C.A.Rシステム」はそうした機器がなくとも有効な状況を目指したものです。

C.A.Rシステムにおける構え方

さて「C.A.Rシステム」は構え方に「High(ハイ)」と「Extend(エクステンド)」の大きく2つがあり、更にその中で各々2つに分けられるため、厳密には「High(ハイ)」「Combat High(コンバット ハイ)」「Extended(エクステンド)」「Apogee」と4種類の構え方に分類されています。

フォーム「High」

基本の1つである「High」は、概ね自身の胸の高さあたりに拳銃を持つ利き腕を置き、もう一方の腕もこれに添えて構えます。
この姿勢では拳銃の照準は自身の体の向きでコントロールすることになります。

このため拳銃本体の照準器などを直接目視することはなく、標的を視認した場合にはその方向に向けて制圧射撃のような形で発砲する、ある種細かな射撃精度は犠牲にした姿勢と言えます。
あくまで前述したように銃を持つ腕への敵の攻撃リスクを抑えながら、狭い室内などに侵入する場合に有効な構え方と言えるでしょう。

フォーム「Extended」

「C.A.Rシステム」のもう一つの基本の構え方が「Extended」であり、これは「High」よりも若干高い位置に拳銃を構える姿勢となります。
そのため「High」よりも腕は若干伸ばすことになり、ここでは照準も拳銃本体の照準器を覗くことも可能な姿勢となります。
これにより「High」よりも命中精度を意識した構えとも言えますが、腕を完全には伸ばさないので、現在の主流である自動拳銃の場合、スライドが自身の顔に当たらないよう注意が必要です。

相手側から銃口を見た場合、拳銃そのものと握る腕は体の中心に向かって45度ほど傾かせた格好で、よくギャングなどが拳銃を真横にして発砲する姿勢を半分にし腕を曲げた形となります。
「Extended」は拳銃のみならずサブマシンガンなどの使用にも応用可能な姿勢であり、厳密にはPDWですが殊に小型のH&K P7などとの親和性も高いと思われます。

フォーム「Combat High」

「Combat High」は待機姿勢となります。
「Extended」保持した構えから、肘を下げることで銃が視線からやや下に外れるので視界が広くなります。
しかし射撃姿勢を取った状態のままなので、瞬時に射撃対応する事ができます。

フォーム「Apogee」

「Apogee」は「Extended」の状態から、銃を前方に押し出すような姿勢です。
ウィーバースタンスにより近い射撃姿勢と言えます。

サバイバルゲームでも使えるか?

この射撃手法がサバイバルゲームでつかえるか?といえば、あまり向いているとはいえません。
なぜなら銃をやや斜めに構えますので、ホップの構造から弾道が歪んでしまいます。

それでも使いたいのであれば、ホップ0の状態で使うしかないと思います。
そもそも超近接射撃を想定した射撃姿勢なので、ホップ無しでも十分な距離感と言えるのではないでしょうか?

サイドアームをホップ無しにして切り替えるか、規模が小さめのインドアフィールドに限れば、威力を発揮するかもしれません。
いずれにしましても、サバゲではスタイル重視のロマン手法だと思います。

ジョン・ウィック Motion Picture Artwork (C)2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. (C) David Lee

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