おばあちゃんの家は、線路と道を挟んで向こう側にありました。
なぜか「線路は霊道だから、むやみに近づいちゃいけないよ」と、小さい頃よく言われていたのを覚えています。
おばあちゃん家の側へ引っ越す
私が小学生三年生のころ、おばあちゃんの近くの家に引っ越しました。
家は線路のすぐ脇の家で、一日十本程度の電車の音が騒々しい場所。
母は猫好きで数匹の猫と暮らしていて、前の家から飼っていた猫を連れてきたのですが、二匹の猫が新しい家になかなか慣れません。よく家から脱走していましたが、私が学校から帰るころには玄関の前で寝ていることが多く、一緒に家に帰っていました。
ある日のこと
ある日、いつも通りに学校から帰り一人でおやつを食べていると、どこからかガタガタと大きな音して驚いた。
どうせ猫が遊んで何か落としたのだろうと思い放っておくと、しばらくして、また大きな音がしたのです。
今度はガタガタという音の他、何かをひっかくような嫌な音、それと猫の鳴き声のような音。
どうやらお風呂場からしているようで、音の方へ向かうと扉が少しだけ開いていて、やっぱり猫が何か悪さをしているのでしょう。
お風呂場の扉を開けてみても猫が見当たりませんが、嫌な予感が。
少しだけ開いているお風呂のふたを外すと、風呂釜の底で猫がうずくまっています。急いで猫を抱き上げても、まるで作り物のように固まってピクリとも動きません。
水が入っていれば溺れたのでしょうがそうでもなく、原因は全く解りませんが既に事切れていたのでした。
なんの声?
それから一週間もしないうちに、猫の鳴き声が聞こえるようになりました。
はじめは亡くなった猫の魂がまだいて、声が聞こえるんだと思っていましたが、日に日にはっきりと聞こえるようになってきて・・・。
よくよく聞いていると、これは猫の声じゃない間違いなく赤ちゃんの泣き声。
生まれて間もない頃の赤ちゃんが泣く声、それも毎日毎日聞こえてきます。
ほとほと困って、近所の人に聞いてみても誰も「そんな声は聞こえていない」というのがとても不思議。
遊びに来ていたおばあちゃんに相談してみると・・・。
昔、家の前あたりで、生まれて間もない赤ちゃんを道連れに、電車へ飛び込み自殺を母親がいた。もしかしたらその赤ちゃんの声なのかも。
猫たちありがとう
いったいどうすれば止むのだろうかと、家族全員が悩んでいたある日。
またお風呂場の方でガタガタと音がして、猫の猫の悲鳴のような声がしました。慌ててお風呂場に行くと、今度は風呂場のマット上で猫が亡くなっていたのです。
前の件があったので、お風呂の蓋や扉には気をつけていたはずなのに、同じように亡くなっていたのです。
そしてその日の夜から、赤ちゃんのなく声はピタッと止まりました。
ペットが飼い主や家を守るために命を差し出すことがあるそうですが、二匹の猫は私たち家族を守ろうとしてくれたのかもしれません。
その後、すぐに引っ越しましたが、時々家の前を通ると思い出します。
※画像はイメージです。
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