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父の時計

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僕の父は63歳の時「ガン」で入院しました。
少しずつ容態が悪化していき半年ほど経つと、医師から「余命1か月ほどだから、覚悟はしておいて下さい。」と言われたのです。

目次

父の知らせ?

ある夜、居間でテレビを見ていた僕は、テレビの上に置かれた古い時計が「22時25分」で止まっていたのに気が付きました。電池が切れたと思って戸棚から新しい電池を取り出だそうと立ち上がると、何故か目覚まし時計が再び動き始めます。
時計が故障したとおもいましたが、別にスマホもあるし良いかな?と思って特に気にせずそのままにしました。

次の日の夜の事、「22時25分」で時計が大きく音を立て始め、それと同時に手に持っていたスマホがフリーズしてしまった。
ああこれはよく聞く、父が寿命を知らせているのだろうか?と思い、次の日、心配になり病院へお見舞いに行ったのですが父の容体は安定しているようで、いったい何が原因なのだろう?

いったいなんだろう?

それからも時計は頻繁に「22時25分」に止まり、お見舞いに行った時に父にその話をすると、父も気になるようで時計店に持っていくようにといわれました。
あくる日、僕は店を調べてを持っていくと原因はギアが錆びていたらしく、修理すると「22時25分」には止まらなくなったのです。それからというもの不思議なことに、父の様態はみるみる良くなり、なんとガンが完治したのです。

時計を修理したら父が治った。時計が壊れかけていたいたから父がガンになった。ギアのサビはガン細胞。
家族の皆が喜びながらも時計との関係について疑問に思い、いわれない不気味さを感じたのでした。

ジリ―ンジリーン

「ジリ―ンジリーン」
しばらく経過していたので存在すら忘れてしまっていた、あの時計の目覚まし音が鳴り響きます。
居間で寛いでいた僕は驚いて、なんとなく縁起が悪いとクローゼットに押し込めた時計を引っ張り出すと途端に音が鳴り止み・・・「22時25分」・・・例の時間で針がとまっていたのでした。

「ジリ―ンジリーン」
瞬間、固定電話が鳴り響く。受話器をとってみると警察からで、今日、出かけていた母が事故にあったとつたえられた。僕と父は急いで病院へ向かったのですが、到着した時には時既に遅く、母親は亡くなっていたのです。

看護婦から「22時25分に亡くなりました。」と言われ、僕たちは呆然と立ち尽くしてしまった。

安心した

突然の出来事に面くらい、お通夜、お葬式とあっと言う間に時間が流れていき、葬儀にやってきた親戚たちも帰っていき、僕と父は取り残されたように居間でうなだれています。

父はすこし腹が減ったようでテーブルの上に置いてある仕出し弁当に手を伸ばしました。そこには誰かがうごかしたのか、例の時計が置いてあってチクタクと時を刻んでいます。
時計をまじまじと見つけた父は、おもむろに持ち上げて床に叩きつけたのでした。

僕は父の行動に驚きましたが、時計がなにか関係していると思っていたので、跡形もなく壊れたことに安心したような気分になったのでした。

後日談

葬儀の後すぐ、母を追うように父が亡くなった。
治ったと思ったガンが見つかりにくいすい臓に転移していたのが原因だった。
時計を壊した事に理由があるのだろうか?

「ジリ―ンジリーン」
どこからか聞き慣れた、目覚ましの音がしたのです。

※画像はイメージです。

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