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ロシアの軍事同盟国を考察

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2022年2月にウクライナへの軍事侵攻をロシアが実行に移した事によって、かつて1991年に旧ソ連邦が崩壊して以降は、冷戦時期の軍事的な緊張状態が緩和された雰囲気のあったヨーロッパ諸国が考えを改め始めている。殊にこれまでロシアに対し徒な刺激を与える事を懸念して、アメリカが主導するNATOへの加盟は見合わせていた北欧のフィンランドとスウェーデンがそれまでの政策を転換、加盟申請を行った事は記憶に新しい。

こうして結果的にはロシアの思惑とは真逆にNATO加盟への道を選択したフィンランドとスウェーデンだが、旧ソ連邦の崩壊まではその対抗馬としてワルシャワ条約機構が冷戦期を通じて存在していた。ロシアが旧ソ連邦の崩壊後はその後継国家となり、かつてのワルシャワ条約機構の主要な加盟国であったポーランドやハンガリー等も今ではNATO加盟国へと鞍替えをしているが、その残滓もまだ残されている。

それがロシアと同じく旧ソ連邦の構成国であったアルメニア・ベラルーシ・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの合計6ケ国の間で結ばれている軍事同盟 CSTO(集団安全保障条約機構)である。

目次

現ロシアを盟主とする軍事同盟 CSTO(集団安全保障条約機構)

かつての旧ソ連邦時代のワルシャワ条約機構は、前述したようにポーランドを始めとして共産主義の衛星国を含む組織体だったが、CSTO(集団安全保障条約機構)は旧ソ連邦の構成国のみで成立している。

CSTO(集団安全保障条約機構)は1992年にロシア以下、アルメニア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの6ケ国で発足し、翌1993年にアゼルバイジャン・グルジア(現ジョージア)・ベラルーシが加わった。
しかし後にウズベキスタン・アゼルバイジャン・グルジアが離脱して、ロシア・アルメニア・ベラルーシ・カザフスタン・キルギス・タジキスタンの6ケ国に落ち着き2022年の今を迎えている状況にある。

現在のCSTO(集団安全保障条約機構)を人口・GDP世界ランクで見た場合、ロシアが約1.42億人・11位、アルメニアが約300万人・130位、ベラルーシが約950万人・78位、約カザフスタンが1,877万人・53位である。
続けるとキルギスが約600万人・146位、タジキスタンが約911万人・144位となっており、人口1,000万人以上・GDP世界ランク100位内であるのはロシアとカザフスタンのみで後は軒並み小規模な国である事が窺える。

因みにロシアが軍事侵攻を行ったウクライナであれば約4,373万人・57位であり、ポーランドならば3,784万人・22位となっており、如何にロシア以外の加盟国が小国であるのかは一目瞭然と言えそうだ。
厳密には1992年当時は11の条文からなる「集団安全保障条約」として発足したが、2002年より末尾に機構をつけた「集団安全保障条約機構」に改編され現在に続く軍事同盟として存在している。

CSTO(集団安全保障条約機構)は大きくは3つの方面から構成されており、これは東ヨーロッパ方面、カフカス方面、中央アジア方面であり、軍事同盟以外でもテロ・麻薬等の組織犯罪への対処も包括している。

正式に明文化された条約等は取り交わしていないが、事実上ロシアの同盟国と見做されている国々

これまで述べて来たような国際社会の中で正式な条約として成立しているロシア中心の軍事同盟・CSTO(集団安全保障条約機構)の加盟国ではないものの、ロシア擁護の姿勢を取る事実上の同盟国と見做される存在もある。
例えばロシア・ウクライナ戦争の渦中であるにも関わらず、2022年8月31日から9月7日まで極東地域を中心としてロシアが主催した大規模軍事演習・ボストーク2022には、同国以下14ケ国が参加を行った。

ここにはCSTO(集団安全保障条約機構)には未加盟である中国・インド・アルジェリア・アゼルバイジャン・モンゴル等が参加して、確かに今の世界情勢下においてもロシアと行動を共にする国は少なくは無かった。
日本にとっては故・安倍元首相が提唱した、日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4ケ国によるクアッドと言う枠組みの構想から、今回のインドの動きを以外に感じる層も見受けられたが、驚くにはあたらないだろう。

如何なる国とも軍事同盟を締結しない非同盟主義を標榜しているインドではあるが、今でこそ西側諸国からの兵器購入も見られるものの、その大半は旧ソ連邦・現ロシアからの調達が多く、両国の軍事的関係は深い。
また中国やインド程の大国ではないが、シリアのアサド政権は2015年からロシアによる軍事介入を仰いで国内での権力基盤を維持しており、旧ソ連邦時代から引き続きその影響力を利用し続けている。

そうしたシリアのアサド政権を支援するアラブの国家にはイランがあり、イランもまた反米の立場から1980年代のイラン・イラク戦争以後、旧ソ連邦・現ロシアとの軍事的な結びつきを強めている。
イランは現在でも核兵器の保有は確認さえれてはいないものの、1990年代からロシアによる核開発の技術的な支援を受けており、アジアにおいて北朝鮮がその方式で核兵器を有するに至った事と同様な動きが懸念されている。

最もイランの核保有を警戒している国のひとつにイスラエルがあるが、自国は非公式とは言え核武装を行っている同国がそれを妨害しようとする様は、中東の火種が尽きない事を象徴するものとも言えそうだ。

ロシア擁護の姿勢を崩さないとは言え、決して一枚岩ではない中国とロシア

日本の立ち位置から2022年現在の周辺の安全保障環境を俯瞰して見れば、ロシア、北朝鮮、中国と3つの核兵器を保有する仮想敵国に面しており、海を隔てている事が幸いではあるものの危険性は今も増加し続けている。
前述したように北朝鮮が近年核弾頭を搭載可能な新型の大陸間弾道弾や巡航ミサイルの開発を加速させている背景には、ロシアからの核技術の入手が大きく影響を与えており、かつ中国も北朝鮮の存続を支援している。

今日のこうした情勢を鑑みればロシアと中国とは蜜月な関係にも見えなくもないが、この関係が以前から継続されてきたものかと言えば否であり、凡そは1990年代以降に今のような形に落ち着いたと言えよう。
旧ソ連邦は世界初の共産主義国家として1922年に誕生した後、共産主義と言うイデオロギーを輸出して今の中国共産党による中華人民共和国の1949年の成立を支援したが、1950年代に輌億は武力衝突に至ってしまう。

この中ソ対立によって両国は長い国境線を挟んで陸上兵力で対峙する関係となり、この対立は1991年に旧ソ連邦が崩壊するまで続き、今のような状態となったのは後継国家のロシアが東欧での影響力を失った結果である。

ロシア・ウクライナ戦争で不安定化しているロシアの立場

過去にCSTO(集団安全保障条約機構)に加盟していたグルジア(現ジョージア)は、NATO加盟を標榜した政となった為に2008年にロシアによる軍事侵攻を受け、南オセチア地方を今もロシアに占領されている。
興味深いのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が行われた後、2022年5月に現CSTO(集団安全保障条約機構)加盟国による会議がモスクワで行われたものの、ベラルーシ以外の国からは賛同の声は上がらなかった点だ。

これは先の2008年にロシアによるグルジア(現ジョージア)への軍事侵攻に際しては、全ての加盟国が賛同した事とは明らかに異なる動きであり、ロシアの政治的な求心力が低下しているようにも感じられる。

※画像はイメージです。

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