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その車の持ち主に災いが降りかかる

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その車の持ち主は必ず事故に遭う・・・・この話は私自身が体験したもので、登場人物の名前は偽名を使っております。

数年前の冬、私の住むマンションに友人のA子が泊まりに来た。
大学進学を機に上京した私は、高校卒業後に地元で進学した彼女とは年々遊ぶ回数が少なくなっていったのだが、その頃には友情が復活していた。A子の就職先が東京になったからである。

彼女が上京してから、私たちはおよそ二週間に一回くらいのペースで会っていた。
その日も陽気に飲み明かしていたのだが、途中から愛梨の様子がおかしいことに私は気づいたのだ。

「なんかあったの?元気ないじゃん」
「あたしになんかあったわけじゃないんだけどさぁ」
「じゃあ、友達か家族か彼氏のどれかで悩み事?」
「うーん、悩んでいるわけでもなくて・・・」

しばしの沈黙の後、A子が切り出した。

「Y助って覚えている?あたしの元カレの・・・」
「あんたとめっちゃ仲悪かったやつ。ほら、ビーバーとか悪口言ってたじゃん?」
「ああ、いたね。そんなの」

顔をはっきり思い出すのと同時に、そのビーバーもといY助との確執の数々も思い出す。
大人になった今でも、私は彼が心底不快な存在であった。

「で、あれが何だってのよ」
「交通事故に遭ったって」
「へー」
「もうまともに歩けないらしいの」
「大変だね」

さして同情もしなかったし、興味もわかなかったので流したのだが、A子の独り言めいた一言に私は思わず顔を上げた。

「呪われた車なんか買うから・・・」
「え、どういうこと?」
「あんた車興味無いから知らないかもしれないけど・・・うちの地域に呪われた中古車が出回っているって聞いたことない?」
「知らない!初耳!」

まさか地元にこんなベタベタな怪談が転がっていたとは・・・。

目を輝かせ、私はA子にその中古車についてあれこれ質問した。
どんな色なのか、どこのメーカーの物なのか、そしてどんないわくがついているのか。
車については無知であるが、知ろうとした。
しかし、もともと興味のなかったジャンルであったことと、しこたま酒を飲んでいたことから、翌朝にほとんど忘れてしまった。

唯一覚えているのは、白い軽自動車という、どこにでもある特徴だけである。

A子と会った一ヶ月後、私は正月を実家で過ごし、今でも仲の良い中学時代の先輩が友人宅に遊びに来たのだ。
先輩と友人はしょっちゅう会っていたようだが、私が先輩と会うのは久しぶりであり、近況報告に花を咲かせのだった。

「先輩、今は何のお仕事をされているんですか?」
「あたし?中古車販売だよ。もう二年目!大学院行くんだよね?インスタの投稿見たよ!」
「そうなんですよ!あ、そういえば、呪われた中古車って知ってますか?うちの地域に出回っているって噂の」

私としては軽い雑談のつもり。
しかし、その話をした瞬間、友人も先輩も表情を凍りつかせる。

「あんた何でそれ知ってるの。車、興味なかったよね?免許だって持っていないし・・・」
「友達の元カレが最近事故に遭って、その時乗っていた車がいわくつきだったって聞いたんです。あの、もしかしてこの話題ってタブーでしたか?」
「いや、地元の人間ならみんな知ってるしタブーってわけでは・・・・・・あんたが知ってるとは思わなかっただけ」

何秒か沈黙が続いて、重苦しい空気の中、先輩が低い声で呟く。

「あたしは止めたんだよ。その車だけはやめなさいって。過去その車を買った人は、全員最後は交通事故に遭っているんだ。」
「なるべく人の目につかないよう、店長に直談判して店頭に置くのもやめてもらったし、電話で問い合わせがあっても隠してきた」
「その車、先輩の職場で取り扱っていたんですね」
「うん。Y助のやつ、どっかから、うちにその車があるって嗅ぎ付けてきてさ。あたしが休みの日に買っちゃったんだ。バカだよねえ。俺はそんなの信じねえなんて言ってさ」

いかにもあの男の言いそうなことである。

「買ってから一ヶ月くらいした頃かな、中古だからかしょっちゅう故障する、なんて言い出して。今まであの車の持ち主だった人たちも、みんなそう言ってたんだよ。だんだん何もないところでいきなりハンドル切ったり、急ブレーキかけたりし始めて、そのうち買った車に乗らなくなって・・・・」

そして、交通事故に遭う。
それは不可解な行動で、車が行き交う通りや、赤信号なのに飛び出たりなどして、車に飛び込んでいくように。

「最初の事故の後、住職さんを呼んでお祓いをしてもらった。でも、二回目からはやっても意味がない、なるべくこの車には関わるなって言われて終わり。あの車には何が憑いているのか、どういう経緯で呪われたのかはあたしもわからない」
「この話はこの地域でしたらダメだからね。Y助の事故の後、車は処分したってことにしているんだ。もうこれ以上呪われる人は見たくないし」

それからは東京に戻ってから聞いた噂話では、他の地域の業者が買い取っていったらしい。
今でもどこかで災いを起こしているのだろう。

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