今では公務員ということもあり安定職として注目される軍隊ですが、人が集まらない事も少なくなく、そうした場合は「資格が取れる」といった「将来」に関するメリットを挙げての勧誘がなされる場合も多いですね。しかし、そうした実務的な部分に関しては、多くのミリタリーゲームでは語られることは少ない現実がありました。しかし、勉強と資格に重きを置く斬新な軍事ギャルゲーが存在したのです。
その名も「だいすき(ハートマーク)」。セガサターンでリリースされたゲームです。タイトルだけを見たらミリタリーの要素が一ミリも感じられませんが、今からずっと後の世界の士官学校を舞台に、一人前の士官になるための勉強と彼女作りに励んでいくというゲームです。本作の特徴はミリタリーとギャルゲー的な「萌え」が融合した世界観で、これだけですと当節では珍しくもありませんが、「ちょっとした部分のこだわり」が強烈過ぎて伝説と化しています。
特に主人公のステータスを決める画面からして、膨大な数の趣味や特技をチョイスすることができ、中には「肉質」を選択する部分もあります。このあたりの選択肢の膨大さは過去に書籍に大々的に取り上げられるほどの尖った部分ですが、実は本作のウリは別のところにもあるのです。
前述したように、軍隊で勉強していく中では色々な機器を扱う必要性があり、その過程で資格が取れていったりするものですが、軍隊には一定の訓練を修了した人に与えるライセンスが存在します。軍隊内でのみ通用する、言わば「隊内資格」なのですが、そう考えると軍の訓練の多くの部分は広い意味での「試験勉強」であるとも言えるわけです。本作は自由に授業を選択していく中で、今まで創作の世界ではあまり取り上げられてこなかった軍の「側面」を体感することができるわけです。
もっとも、「どの授業を何時間取れば何の資格が取れる」といった最重要ポイントがゲーム内ではほとんど明らかになっていなかったり、リセット&リスタートが難しい部分が用意されていたりと、美少女ゲームとしての難易度はかなりのものですし、攻略しにくいキャラも少なくありません。また、「士官学校にも関わらず(男性不足などの理由で)周りが女性ばかり」、「極めて厳しいはずの士官学校だけど男性の主人公には基準は甘め、しかしヘタをするといくらでも替えが効きそうな整備舞台に配属」といった、語られないもののうっすらと、闇を感じられる状況などのインパクトには事欠きません。
しかし、勉強する、資格を取る、楽しい、といった、単に試験をクリアする以外での学びの成果や面白さがかつてないほどに描写されていたりと、彼女ができる以外の「ご褒美」がとても画期的で楽しい作品でもあります。なかなか自主的な勉強のモチベーションが上がらない時などにプレイをオススメできる一作ですね。
(C) 1997 だいすき(ハートマーク)GAGA communications inc
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