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私達を助けてくれたオッサンは??

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その日は熱帯夜・・・ 大学1年生の時、免許取りたての私たちが、涼しさを求めて行った心霊スポットで起きたお話です。

目次

ある熱帯夜

あの日、私たちはあまりの暑さに苦しんでいました。
大学に入学してから付き合い始めたA子、A子の友人のB子、B子の彼氏のC男の4人は、俺のアパートで「アツい、アツい」と言いながら過ごしていると、いつものようにA子が「ドライブに行こうー」と言い出しました。
当時の俺たちは暑くてどうしようもなくなると、車のエアコンを全開にしてドライブに行くのが定番になっていのです。その日の夜も、本当に暑かったので満場一致でドライブに行く事にしました。

いつもは当てもなくただブラブラとドライブするだけだったのですが、この日は何故か行き先を決める事にしました。
A子、B子は「海に行きたい」とはしゃいでいましたが、C男だけは「先輩に聞いた心霊スポット行こうぜ」と言い出したのです。
最初は全員反対していたのですが、C男に「お前、ビビってんだろ?」と煽られた俺は「ビビってねーし」と強がってしまい、心霊スポットに行くと賛同してしまいました。
するとなし崩し的に、女性陣もC男の押しに負けてしまい、心霊スポットに行く事になりました。

陽気に心霊スポットへ

C男のいう心霊スポットに向かうにつれて、山道に変わり街灯も全くなくなり、窓の外は暗く寂しい感じになりました。そのせいなのか会話も怖い話になり、おのおの知っているとっておきの話を順番に披露していったのです。
普段は行く事のない心霊スポット、怖い話がとても新鮮で「なんか夏らしい事してんな・・・」とポツリと恥ずかしい一言を言い出したC男にみんな爆笑したものです。

目的地に到着すると、そこはその陽気な感じを壊すような雰囲気のあるダムでした。
夜なので当たり前ですが、人気もなく街灯もありません。俺たちは改めてC男に先輩から聞いた、この心霊スポットの話を聞くことにしました。

このダムは・・・

C男が聞いた話では、このダムは自殺の名所で何十人と死んでいる。
肝試しに来た人たちは、幽霊を見たり、エンジンがかからなくなったりと心霊現象が起こる。

淡々と語られる話と雰囲気に飲まれてしまい、誰も車から降りません。
次第に「帰ろうか?」という流れになった時、不意にB子が「あそこに人いない?」とダムの方を指さしました。
俺たちは
「こんな時間に来てる人なんて居ないよ」
「B子の見間違いじゃない?」
「怖がらせようとしてるのみえみえだからと」
等と怖さを紛らすように少しふざけながら、B子が指さす方を見ると本当に人が2人いました。

そこに見えるものは?

C男は「おい!マジでいるじゃん」と何故か興奮し、「ちょっと見に行って見ない?」と言い出しました。
俺は強く反対し、援護してもらおうとA子、B子の方を見ると、2人は遠くに見える人をスマホのカメラでズームして見ようとしていました。
するとB子が「何これ凄いんだけど!」とテンションがあがってきます。

「何が凄いの?」と聞くと、スマホのカメラの機能で、肉眼では見えにくい星空が物凄く綺麗に写るというのです。
その画像を見たA子も「スゴイ!スゴイ!」と大はしゃぎ、C男はチャンスとばかりに「すげぇ映えてんじゃん」と褒めちらかして、「水面と星空、合わせたら最強じゃね?」とダムの方に行くように仕向けだしました。

ダムに向かう

C男の口車で、映え写真を撮りたいという気持ちが盛り上がり、仕方なくダムの方に行く事になってしまいます。
駐車場からダムに近付くと、ダムの監視小屋らしき建物の脇に細めの階段があり、その先には心もとない古めのつり橋があったのでした。

私たちが見た人は、つり橋を渡った先にある河川敷に居るようで、ちょうどその辺りが撮影するのにベストなポイントのようです。つり橋を渡り始めてすぐ、A子とB子はパシャパシャと写真を撮って、時折「はいはい、今行くから待って!」とか「そんなに引っ張んないでよ!」と言うのです。私は意味が解らず「お前ら誰に言ってんの?」と聞くと、二人揃って「あんたらだよ!」と言いながら、2人はスマホの画面から目を離すと「え?いつそこまで行った?」とキョトンとしていました。

私たちが渡っているつり橋は、ギリギリすれ違えるぐらいの細さなので、そんな危険な事はしません。それに私とC男は3mぐらい先を歩いていたので、A子、B子を引っ張るなんて無理な話。その事に気が付いた二人は「なんで?なんで?」と怖がりながら小走りで近付いてきました。

C男は2人に「つり橋のワイヤーかなんかが服に引っ掛かったんだよ」とフォローしましたが、B子は「私は(早く来いよ)っていう男の人の声も聞こえたもん」と半泣きでした。その後、4人一列で手を繋いでつり橋の半分ぐらいまで来た時。B子が中島の方を指さしながら「あ!?人見えたよ」と。

指してる方を見ると河川敷で、男女2人が水遊びをしていました。
私はみんなに「こんな時間に2人で水遊びっておかしくないか?」というと、「こんなにはっきり幽霊ってみえるの」「全員見える幽霊っているの?」と私の話は聞いてもらえませんでした。

幽霊なのか?

つり橋から10分ほど歩いて、藪を抜けると目の前がパァーと開けてダムの河川敷にたどり着きました。
A子は「さっきのカップル?どこ行ったかな?」と辺りを見回すも人影は見つけられません。
C男は面白がって「さっきの幽霊だったりして?」と脅かそうとしましたが、女子2人は「はいはい」とスマホで撮影会を始めてました。
私は少しだけ気になるところがありましたが、場の雰囲気を壊さないよう黙っていました。

しばらくすると、川のから「こんばんはー」とかすかに聞こえてきました。全員に聞こえているので、幻聴や幽霊ではないことが分かりましたが、声が聞こえても姿が見えません。
少し辺りを見渡していると川岸から10メートルほどの所から、男女ペアが泳ぎながらこちらに向かって来て、「一緒に泳がない?」と誘って来たのです。

私はすぐに「水着を持って来てないので無理ですね」と答えると、男女ペアの女が「私たち二人とも裸で泳いでますよ」といいました。するとC男はスケベ根性丸出しで「男はパンツで入って、女はブラとパンツで入ればいいじゃん!」といいながらすでに自分は脱ぎ始めていました。

私は「そこは深くないんですか?危なくないですか?」と質問しましたが、男女ペアは「大丈夫ですよー。涼しいし星空がすごく綺麗に見えますよ」といった瞬間、A子とB子はスカートとズボンをめくりあげて、ギリギリ濡れないところまで入っていきました。

気になるカップル

私以外の3人は水辺でワイワイ楽しんでましたが、私は何故か入る気がせず、疑問がたくさん出て来て、私は男女ペアに質問しました。
「ここまで何できたんですか?」
「脱いだ服はどこですか?」
「この河川敷きに何時ぐらいに来たんですか?」
しかし男女ペアから返ってきた返事は「もう少しこっちで泳ぎませんか」でした。

何一つ私がした質問の答えになっていませんでした。私は直感的にC男に向かって「すぐに上がれ!帰るぞ」、A子とB子にも「早く戻れ!」と叫びます。男女ペアはそんな私を見て「怖がらなくていいのに君、面白いね」と拍手をしました。
その光景を見て確信し、「早くしろよ!置いてくぞ!」と怒鳴り急いで車に戻ります。

かからないエンジン

パンイチで走って付いてくるC男は「お前は何をそんなに怒ってんの?とりあえず服を着たいんですけど」といいましたが、私は「黙って走れ」とだけ言ってA子の手を握り走りました。

逃げるように走る私たちの後ろから、「戻っておいでよー、一緒に泳ごうよー」と歪んだような男女ペアの声が響きます。
声を無視し、A子の手を強く握りしめながらつり橋を渡り始めると、後ろからついて来ているC男が突然叫びました。

「ウソだろ!後ろ見てみろよ!!」
見たくない気がしましたが、私は振り返りました。そこには川の中から数本の手が手招きしていました。
私たち全員「ワァー」と叫びながら、車まで戻ってきましたが、定番のようにエンジンがなかなかかかりません。
「早くエンジンかけろよ!」「早く車出してよ」と叫ばれても、車はキュルキュルいうだけでエンジンがかかりません。

車内で騒いでいるといきなり車の窓を
(ドン!ドン!)(ドン!ドン!)
と強く叩かれ・・・私は終わったと思いました。

しかし窓の外に居たのは普通のオッサン。
オッサンは大きな声で
「落ち着きなさい!バッテリー上がってるだけだから!」としきりに叫んでいて、なんだか落ち着きを取り戻しました。

救われたオッサンは

私たちの元に現れたオッサンは、自殺者や駐車場などで悪さをする人が多いため、監視小屋で常駐している警備員でした。
オッサンの話では、私の車はずっとヘッドライトが付いていたらしく、バッテリーが上がっただけだと説明してくれ、私たちみたいにバッテリーが上がる人が多いからとすぐに直してくれました。

簡単にお礼だけ言って、この場から逃げるように立ち去りますが、帰り道はとても静かでした。
しばらくして、C男がポツリと私に「なんかお前は気づいてたよな?」と聞いてきました。
私は、「あのさ、おかしいなって思ったのは、こんな山奥なのに人しかいない事。普通、車か何かでくるだろ」
ここまで言うと、3人の表情は余計にこわばります。

さらに私は説明を続けます。
「あと、河川敷に行くまでの道、すごく草が深くて人が通った形跡がなかったんだよ。そしてあの二人、体が以上に青白くなかったか?」
C男は震えながら「お前の勘違いじゃないのかよ」と言ってきましたが、私はC男に言います。
「最後にあの女、拍手しただろ?そん時、手の甲で拍手したんだよ。聞いたことあるだろ。裏拍手・・・」
とまで言うとみんな黙りました。

次の日

次の日の昼間、オッサンにお礼をするのにC男と監視小屋に行きましたが、そのオッサンは居ませんでした。
監視小屋にいた他の警備員に、昨日の出来事を説明したのですが、このダムは夜間の警備員は居ないといわれます。

そんな事はないと私たちが食い下がると、ダムの職員が少しだけ話してくれました。
「昔、このダムにも夜間警備員がいたんだけど、暴走族がたむろようになって中止した。理由は暴走族の集団暴行でその時に警備員が亡くなってね。その警備員が幽霊が出るって話は聞いたことあるけど・・・」
この職員がウソを話していなければ、あのオッサンの事だと思います。

駐車場の隅には、夜には気がつかなかったのですが大きな石を見つけ、そこには「慰霊石」と書かれ、自殺者や亡くなった人の慰霊のために置かれていることが看板に書かれていました。なのでオッサンにと持ってきたお茶菓子はそこに置いてきました。

帰り道の車内でC男と話しました。昨日の出来事は誰に話しても信じてもらえない、だけど河川敷で遊んでた男女ペアは私たちをあの世に引きずり込もうと絶対にしていた。あのペア以外も私たちを引き込もうとしていたけれど、あのオッサンだけは私たちを助けてくれました。
それだけが今も不思議でしょうがありません。

※画像はイメージです。

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コメント一覧 (1件)

  • 亡くなってもなお警備員としての使命感を失っていないのか。合掌。

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