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未完の大作!ぶっちぎりダークSF群像劇「堕天作戦」とにかくヤバい!

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不死の男、人間と魔人、魔法や竜を用いた会戦に、果てはロストテクノロジーの遺産・・・これらの設定が全部詰め込まれた漫画、と言われたら皆さんはどんな作品を思い浮かべるだろうか。
今回ご紹介する『堕天作戦』(著:山本章一)はこれら全ての設定が誇張なく全部盛り。まさしく闇鍋的な作品だ。
残念ながら一旦商業連載が終了し、惜しまれつつも根強く愛される本作。今日はその魅力をとことん掘り下げていきたい。

目次

不死の男が巡る世界の秘密とは?ジャンルごった煮ダークSF

今回取り上げるのは、山本章一氏によって小学館のマンガ配信アプリ『マンガワン』および『裏サンデー』にて連載されていた漫画『堕天作戦』。舞台は荒廃した未来の地球と思しき惑星だ。ここでは人と人間の亜種である魔人が長年争い、文明は崩壊。すっかり荒れ果てた世界が広がっている。

そんな世界のとある前線で、魔人軍に囚われた人間の兵士アンダー。彼がこの物語の主人公。一見なんの取り柄もなく、無気力な兵士に見えるアンダーだったが、彼には隠された能力があった。なんとアンダーは死なない人間ーー不死者だったのだ。物語は、不死者アンダーがある人物との出会いで生きる気力を取り戻すところから始まる。世界の謎に挑むアンダーの旅を描きつつ、人と魔人両者の各陣営の思惑が絡まり合いながら進んでいく群像劇。これが本作のベースだ。

さて、先ほど作中での種族構成について、人間、魔人というくくりを紹介した。物語の根幹をなすこの二つの種族、両者は対立し長年争っている……のだが、本作での両者の関係はそれほどシンプルではない。人間と徹底抗戦する魔人もいれば、人間と進んで手を組む魔人もおり、なかなか混沌とした状況が広がっていて、単なる種族間対立と割り切れるものでなく、一筋縄ではいかない。この複雑な両種族の関係性が本作の見どころのひとつ。

また魔人は「魔法」(一種の超能力)が使えるため、文明が破壊された作品世界では一見人間より有利だが、寿命が約30年と短く、世代交代のサイクルの長さと元々持っている技術力(ただしそれらがほぼ使用不能)は人間側が有利……といったふうに、パワーバランスが複雑に入り組んでいて戦況が読めないのも本作の特徴だ。

パワーバランスをぶち壊す存在「魔竜」

さらに、こうしたパワーバランスをぶち壊す存在、「魔竜」も忘れてはならない。一種の生体兵器である「魔竜」は魔術や科学の制御をほぼ受け付けず、自身が認めた騎手のみに心を許す特殊な兵器。作品世界でほぼ唯一の航空兵力である彼らは、戦場では凄まじい力をもち一頭で他陣営への抑止力となるほど。

この魔竜は物語が展開する上で大きなキーのひとつとなるので、読む際は心に留めておいてほしい。
また、本作の「魔竜」はその名前からあまり想像できないビジュアルと形態をしている。先例がないわけではないが、結構衝撃的なデザインだ。気になった人はぜひ、自分の目で確かめてみよう。きっと驚くはずだ。
この竜の他にも、本作にはSFとも剣と魔法のファンタジーとも、ミリタリーものともつかない設定がガンガン出てくる。また登場人物たちも、荒廃した世界にあってしたたかでありつつ、繊細な感性をあわせ持っていて、各キャラクターの動きから目が離せない。

言ってしまうと設定盛りすぎな作品なのだが、不思議と物語に破綻は見られない。
一見バラバラの設定がうまくコントロールされているので、複雑な設定や人間関係がスッとあたまに入ってくる。一見とっかかりにくいが、読み出すとするする読める。そして、読み始めるとグイグイ引きこまれる。『堕天作戦』はそんな漫画といえるだろう。

未完の大作?でも大丈夫!今からでも『堕天作戦』を楽しもう

さて、そんな『堕天作戦』だが、非常に残念なことに現在連載はストーリーの途中で一旦終了。電子版の配信もすべて公開終了となっており、現在発行されている紙版の書籍を入手するしかない状態だ。既刊に関しては、少し手間がかかるが在庫を探して入手してもらうしかない。現状『堕天作戦』はやや、「履修」へのハードルが高い作品に残念ながらなってしまっている。

だが、一方で喜ばしいニュースも。先日本作の公式Twitterで、同人版としてコミックスの再版と作品の一応の継続がアナウンスされたのだ。(堕天作戦公式Twitter : @datensakusen)
あやうく未完の大作となるところだった本作にとって、このニュースは嬉しいかぎり。裏サンデー連載版とは少し形態が変わってしまうが、この機会にぜひ作品を追いかけてみてみてほしい。

(それはそれとして、現在刊行されている商業紙版は装丁がとても美しい。ちょっと難しいかもしれないが手に入れて本まるごと楽しむのもおすすめだ)

今回紹介した『堕天作戦』は、一見バラバラな闇鍋に見えて練り込まれた世界観、そしてしたたかでありつつ複雑な心のひだを持つ登場人物たち。それらが複雑に絡まり合って唯一無二の魅力を放つ作品だ。
危うく未完の大作となりかけた本作だったが、形態を変えて復活。まだまだ作品を楽しめるチャンスが得た今は、作品に触れる絶好の機会と言えるかもしれない。

この記事を読んで気になった人はぜひ、本作にチャレンジしてみてはどうだろうか。

著:山本章一
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堕天作戦 (C) 山本章一 小学館

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