これは、私が担任をしていた、自衛隊員のお父さんを持つ子の悲しいお話です。
A君とお父さん・・・
今からだいぶ昔、あの時、私はある男の子A君の先生をしていました。
A君のお父さんは自衛隊の方で、地震の時に復興を手助けしたり、行方不明者を探したり活躍しいて、A君はそんなお父さんがかっこいい、僕も大きくなったらお父さんみたいになりたいと言っては、はしゃいでいたものです。
冬になって、A君のお父さんが体調を崩し1週間ほどお休みをされたそうで、お母さんの方から「父(旦那)が体調不良なので、もしA君が熱が上がったりしたら連絡をください」と連絡がきました。丁度寒い時期だったので、学校でも体調管理などを気を付けるようにしていますとやり取りをしたのでした。
1週間後には、お父さんは体調が少しよくなっていたのですが、またぶり返して仕事を早退して、A君はお父さんが体調悪いと心配そうにしていたのを今でも覚えています。
飛行機が墜落した・・・
しばらくした日の事でした、A君のお父さんが勤務する駐屯地を出発した飛行機が墜落し、隊員の方がお亡くなりになった事故のニュースで知りました。
私は「その駐屯地って、A君のお父さんのいる所だ」と気が付き、A君のお父さんの安否を心配したのです。
すると次の日、お母さんから「自分が体調悪くならなかったら同僚は死なずに済んだのに・・・と酷くふさぎ込んでいる。」というのをこっそり聞きました。
本来であれば、その飛行機にA君のお父さんが乗る予定だったそうです。しかし、体調不良がぶり返して同僚の方に代わってもらい、その同僚さんが亡くなられた隊員さんだということでした。
人生って解らない・・・
私は何も言葉を返せなかったのですが、もしA君のお父さんが体調悪くならずにその機体に乗っていたら、A君は幼くお父さんを亡くしてしまうことになります。
ほんの少しの事で、ある人が亡くなって、ある人は生き残って・・・。
ご冥福を祈りながら、神のみにしかわからない匙加減があるのだと思いました。
今では、A君のお父さんも元気になられて、亡くなられた同僚の方の分までしっかり自衛隊のお仕事に取り組まれているそうです。
※画像はイメージです。
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