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名作か迷作か異形の戦争漫画「ディエンビェンフー」は不思議とおもしろい

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ゆるキャラのようなキャラデザ、ハードな暴力表現、そしてラブストーリー……。今回ご紹介する漫画『ディエンビェンフー』は、はっきり言って簡単には説明しづらい作品だ。

ベトナム戦争を舞台に、ゲリラのヒロインやグリーンベレーの精鋭が死闘を繰り広げる本作、ジャンルとしては戦争アクション漫画にカテゴライズされるのだろうが、素直にそうとも言い難い。なぜなら本作は、恋愛、戦争、暴力、アクション、人間ドラマ、ありとあらゆるジャンルの要素がはちゃめちゃに配置され、それらが不思議と調和を保っているような作品だからだ。

漫画界の奇才、西島大介が描く摩訶不思議な戦争絵巻『ディエンビェンフー』。名作か迷作か。今回はその魅力に迫ってみたい。

目次

戦争、バトル、恋愛、人間ドラマ『ディエンビェンフー』はカオスが魅力

「二人はまだお互いを知らない」。
印象的なフレーズと、主人公とヒロインと思しき人物が爆発によって吹き飛ばされる衝撃的なシーンから始まる漫画『ディエンビェンフー』は、ベトナム戦争を舞台に、従軍カメラマンの主人公が一目惚れしたゲリラのヒロインを追って戦場をゆく、その地獄めぐりを描いた作品だ。

一見するとメロドラマのようだが、このメロドラマという土台に、戦争、暴力、異能力バトル、そして繊細な人間ドラマと、漫画のありとあらゆる要素を全部のせしているのが本作の凄まじいところ。その様相はまさにカオスで、読んでいるうちに「何の話を読んでいたのか」と酔っぱらったような感覚に襲われるほど。

そして信じられないとは思うが、なんとこのカオス状態の「ジャンルのごった煮」がラストには序盤で描かれた「ラブストーリー」に収束していく。その鮮やかさはまさに匠の技と言っていいだろう。最初は戸惑うかもしれないが、慣れてくるとむしろ作品世界の混沌っぷりが楽しくなってくる。

このジェットコースター的な性格は人を選ぶが、ハマると確実に楽しい。不思議な作品だが、序盤で投げ出さずに一度は体験してみてほしい逸品だ。

物語だけじゃない?『ディエンビェンフー』はその経歴も波乱万丈

恋愛、戦争、人間ドラマ、バトルロワイアルなど、漫画作品の様々な要素を一作にギュッと凝縮した『ディエンビェンフー』。実はこちらの作品、その経歴自体も波乱万丈で、掲載誌の休刊による中断や移籍を何度も経験している。
そのため同一タイトルの単行本が出版社違いで複数存在しており、関係を把握するのがやや難しい。

読む前から読者を振り回すスタイルに苦笑いが浮かんでしまうかもしれないが、まずは双葉社から発売されている新装版と、完結編にあたる『ディエンビェンフーTRUE END』をおさえておけば問題ないだろう。ちなみに双葉社以外からは、一番最初に発行された角川版、残念ながら未完のまま完結となった小学館版がある。どれも微妙に内容や設定が異なるので気になった人は読み比べれば、さらに作品を楽しめるかもしれない。

ご覧頂いたように『ディエンビエンフー』は確実に人を選ぶ作品だ。しかし、他に同じような作品が見つからない唯一無二のスタイルを持つ漫画とも言える。この記事を読んで気になった人は、ぜひ一度そのカオスを一度体感してみてほしい。

著:西島 大介
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ディエンビエンフー (C) 西島 大介 小学館 / IKKI COMICS

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