この話は私が小学校2年生の時、お父さんが海外出張のお土産で買ってきた外国製の可愛らしい女の子の人形。
でも当時の私は、人形には全然興味が無なかったのです。「ありがとう」と受け取ってはみたものの、勉強机の本棚の上に人形を乗せてブロック遊びを始めました。
お父さんは「女の子なのに、どうして人形で遊ばないんだろう?」と、不思議がる程だったそうです。
あれから
時間が経ち、私は5年生になっていました。
スポーツに興味を持ち始め、地元の少女サッカークラブに入会して、毎日夜遅くまで練習に励んでいました。
ある日、両親が町内会の会合で帰りが遅くなるので、居間で用意された晩ごはんを1人で食べていたときです。誰もいないはずの子供部屋から、「ドサッ!」と物音が聞こえた。
びっくりして恐る恐る部屋をのぞくと、勉強机の本棚の上に置いてあったはずの人形が、ひっくり返って床の上に落ちていたのです。それだけならまだしも、うつ伏せで落ちていた人形がぐるりと寝返りって私を見つめます。
人形の表情は笑っているようにも驚いるようにも見え、人形の口元も動いて何かをうったえかけているようです。
怪談話などを、全く全然信じていなかったのですが、さすがに怖くなってしまい、居間の隅でブルブルと震えていると両親が帰ってきました。
泣きながら、今までの事を話したのですが、全く取り合ってくれません。
母は人形を拾い上げ、元の位置に戻しながら「落ちただけじゃない」と笑ったのでした。
どうして
翌日、どうしても納得行かない私は、クラスの友達に人形のことを相談しました。
友達は怖がってはいるものの、人形がきっと寂しい思いをしているんだろうという結論になり、「思い切って、人形と一緒に寝てみるとか、うんとその人形に優しくしてみるといいよ!」とアドバイスしてくれたのです。
しかし人形遊びに興味が無い以前に、こんな気持ち悪い体験をした後では、人形に優しく接する気にはなれません。
その後も人形は同じように本棚から落ちたり、見つめてきたりと恐怖は続く。
夜も眠れなくなり、ややノイローゼ気味になってしまい、お母さんになんとかしてほしいと頼み込みます。
両親も私の様子がおかしい事から納得し、人形を処分する事になった。
人形の行末
結局人形は、お父さんが事情を話した職場の友人が引き取る事になったのです。
「かわいい!って言って、人形持って言っちゃったよ!」と、とても残念そうに言ったのが、すこし心に残っています。
職場の友人の家に言った人形は、そこの家の娘に大切にされ、奇妙な現象は起きていないようです。
お父さんが言うにはその人はちょっと変わった人で、本当は不思議な事が起きる事を期待していたようなのです。
ただ一つ気になること・・・その後、職場の友人には幸運な事が度々起き、会社でも彼が企画したプロジェクトが大当たりして、みるみる出世してしまったとか。
もし人形を大切にしていたら・・・?
※画像はイメージです。
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