登山やキャンプ・・・アウトドアであまり会いたくないヤツ、一番ヤツに近付いたあの日の恐怖。
キャンプ一家
我が家はキャンパーで幼少より北海道中のキャンプ場や海岸、湖畔などありとあらゆるロケーションでテントを張る生活をしていたため、ヘビやら鹿やらワシやらトドやらに・・・そんなモノにイチイチビクつく家族ではありません。
網走湖のキャンプ場では顔洗ってる横を普通にオス鹿が横切る、海岸ではキャンプ前に置いておいた食料をちょっとのすきにキツネに取られる、道東の海岸の美しさに見惚れていたらクジラの死骸が現れる、なんて日常茶飯事でした。
キャンパーを恐怖に陥れるモノ
しかし、そんな私達ベテランキャンパーを恐怖のどん底に陥れる、それは最強のファイターことヒグマです。足早い、泳げる、木登り、崖上がるの得意等と、出会うともはや逃げる術は無いのは皆さんご存知でしょう。
ある日、計画が上手くいかず登山の途中で日が暮れてしまい、あまり知らていない山に泊まった事がありました。翌日、下山した街のお店のおじさんが、「キャンプしてるの?どこ泊まったの?」と言われ、山の場所を言ったら「だめだ、そこは。熊が最近出てるから。」と言われました。泊まる前に言って欲しいなあ、そういう事は。
なんて事はあるけれどキャンプでヒグマと出会った事は一度も無いんですよね。ドライブ中もありません。彼らは利口で人を避けると言われているのが良くわかります。
しかし、私はかつてヒグマと近づきすぎた事があります。
苔の洞門
近年の台風で崩れ今は入る事が出来なくなった、支笏国道沿いにある神秘の場所、苔の洞門という場所があります。昔樽前山が噴火して出来た自然の回廊状の地形で、約30種もの苔が緑美しく壁を覆っていました。
壁は何メートルもあり、トンネルの様に進んで行くと、空から降り注ぐ日光に照らされ苔が光り輝いて、まるでファンタジー映画に出る様な場所です。
初めて友人とそのお母さんの3人で、ここを訪れました。リュックを背負い、一番奥にあると言う、石が積まれたケルンが沢山ある広場を目指しました。おやつやジュースも沢山持って鼻歌歌い、トンネルの美しさに目を輝かせながら歩きます。
当時は人が沢山来ていて、狭いトンネル部分は人待ちをしなくてはなりませんでした。どれぐらい歩いたでしょう。ケルンが姿を現し、楕円形の広場の様な所に出ました。そこも苔が美しい高い壁で覆われています。
一息つこうとした時
私達は景色の美しさに喜び、一息つこうとリュックをおろし、ジュースを出そうとした途端、派手な色のジャンパーを着た3人程のおじさんが広場の奥に向けて声を上げていました。
「熊が出た!早く戻って!」
彼らは銃をかまえています。黒光りした銃は初めて見ました。
「え?ジュースは?」
私は当時全くヒグマの恐ろしさがわからず立ち尽くしていました。するとおじさんの一人が、早く逃げて、と私達をかばうように後ろに下がってきました。
脱出
これはただ事ではない・・・だれでも感じられる恐怖。
皆押しあいながら後ろの人にも知らせながら退却、逃走します。
高い壁に阻まれて、横に逃げる事ができない洞門、身の振り構っている余裕がなく、苔で手が足が滑る、滑る。本来は苔は天然記念物で触れてはいけなかったのですが・・・。
なんとか無事に脱出できましたが、あの時、体全体で私達をかばってくれたハンターの方達には今でもお礼が言えていません。しかし、あの瞬間が一番ヒグマに近かった時間で、もしもの場合は確実に命の危険があります。
それからキャンプをしても、ヒグマの恐怖は今も強烈に残っていて、あまり彼らの生息地を脅かさない様に気をつけています。
※画像はイメージです。
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