さて今回紹介したいアニメ作品は、1987年に放映された「機動戦士ガンダム」とは違う形の新しいリアルロボットアニメ作品として発表された「機甲戦記ドラグナー」。
「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」や「銀河漂流バイファム」を手掛けた、故・神田武幸監督のSFロボットアニメとして、「機動戦士ガンダム」に続く、新しい形のロボットアニメとして製作された作品でした。
当時、サンライズ系作品は「機動戦士ガンダム」の富野由悠季監督の作品が支流でしたが、ガンダムシリーズをリニューアルしたロボットアニメとして再出発させる為に、「銀河漂流バイファム」で著名になっていた神田武幸監督に白羽の矢が刺さり、「機動戦士ガンダムZZ」の後番組として本作はスタートしました。

「機甲戦記ドラグナー」のコンセプトとして、ガンダムの世界観の持ち味を活かしたまま、新要素となる世界観。それは電子戦を用いた現代的な戦闘と、レーザー兵器ではないレールガンなどの実弾兵器を用いた戦闘、ニュータイプの様な特殊な存在がいない、宇宙にある国家が地球に独立戦争を仕掛けると、新しい形でのアニメ作品になる予定だったのです。
しかし、この年代はロボットアニメ作品の黎明期とも言われ、SFロボットアニメ作品が大きく衰退し、翌年ではサンライズがロボットアニメから撤退し「鎧伝サムライトルーパー」を発表する事となると、「機甲戦記ドラグナー」は不遇の時代を迎えてしまいます。
機動戦士ガンダムからのサンライズ系のメカデザインを担当していた大河原邦男氏も、時代の歯車が合わなかったと言うぐらいに、この作品の発表された年は非常に厳しい時代でもあったのですが・・・
筆者は、この「機甲戦記ドラグナー」を推しております。

あらすじは、西暦2087年。
月面にて建国された国家・ギガノス帝国が、地球連合に対しての自由と独立を求め宣戦布告し、人型兵器であるメタルアーマーを使い、地球進攻を開始し、地球圏約7割を統治下として納め、地球連合の敗退は時間の問題だった・・・
そんな中、戦火から免れていたスペースコロニー「アルカード」にて住むケーン・ワカバは、ギガノス帝国軍の襲撃に遭遇し戦火の中、避難していた彼は、瀕死となったギガノス帝国軍の諜報員にディスクを手渡され、新型兵器である「ドラグナー」のパイロットとして登録され戦う事になってしまう。
と、当時の筆者は初代「機動戦士ガンダム」を思い出すかのような、この展開に燃えていたものです。

ストーリー初頭は、ケーン・ワカバ、タップ・オセアノ、ライト・ニューマンの3人を取り巻く今までにないコメディー調ではあるが、リアルでハードな戦争物であったのですが、中盤にかけてキャラクターデザイナーに芦田豊雄氏が参加し、世界観からやや外れたような「グン・ジェム隊」の登場や、メカにも当時人気のNHKドラマ「独眼竜政宗」をモチーフにしたと思われる「ギルガザムネ」が登場します。賛否両論あると思いますが、筆者としては・・・

そして後半になると、ギガノス帝国軍の「ギガノスの蒼き鷹」と呼ばれ主人公のライバル役でもある、エースパイロット「マイヨ・プラート」の復讐劇がメインのように描かれ、主人公が交代したかのようにさえ思ってしまいます。

しかしアニメの視聴率は芳しくなく、プラモも売れ行きが悪かった・・・何故に人気が出ないのかと首を傾げていたものです。筆者は、メタルワーカーの翼が生えた戦闘機の様なフォルムが好きで、実弾が飛び交う戦場、ドラグナーの存在感、その演出に惚れていたのです。
後にビデオ化されず10年以上の時間が経てLDが発売され、2005年にはDVD-BOX化されます。
出る時代が遅れてしまったのか、それとも早かったのかと、不遇の扱いを受けた「機甲戦記ドラグナー」はガンダムを始めてみた子ども心を思い起こさせてくれる不朽の名作とも言えます。

(C) 1987 機甲戦記ドラグナー 創通・サンライズ
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