いわゆるスピンオフは数多くありますが、とにかく熱く破天荒な「男塾」のスピンオフは原作の雰囲気を色濃く受け継いでいますが、そんな中にも架空戦記的面白さを宿したものがあります。
あの江田島塾長の半生記
それは、「天下無双 江田島平八伝」です。

(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
その名の通り、「男塾」の塾長として名高い「江田島平八」の生誕から若い頃の奮闘を描いた半生記になっており、激動の時代を生きたというだけでなく、随所に塾長らしさが出ている快作となっています。
江田島塾長は、江田島中将の忘れ形見として、小さい頃から尋常ではない武勇伝を繰り広げていくわけですが、軍の特別コースに十代前半で入れられ、そこでえげつないほどの責めに耐え抜き、やがて軍務に貢献するようになっていきます。

(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
江田島平八伝とは
言いがかりに応じるべく毛沢東を日本に呼び寄せ!
潜水艦を魔改造! 米軍ロボと決戦!

(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
男塾の常軌を逸したスパルタの数々の源流を、その特別コースのメニューに見ることができたり、まさに竹を割ったような前向きさがある江田島の性格が原作をほうふつとさせたりと男塾ファンからしても、かなり「分かっている」感が嬉しい外伝になっていますが、本作の特徴は、戦時下を描いているだけあって、架空戦記として極めて熱い物語になっているところにあります。

(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
江田島塾長が戦争を駆け抜ける
真珠湾攻撃を成功させるべく暗闘を繰り広げる江田島たちが、敵の魚雷をとてつもない方法で回避したり、潜水艦を二十一世紀的に魔改造してしまったりと、とにかく痛快かつ破天荒な展開が目白押しです。

(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
半ば言いがかり的な要求を受けて、中国共産党の毛沢東を連れてきたり(「男塾」的世界観のためか、毛沢東もまた達人だったりします)、米軍肝いりのロボット兵器とタイマンを張ったりといった、強烈な展開が目白押しですが、何しろ主人公があの江田島塾長ですから、悲壮感はまったくありません。

(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
とは言え、戦争の愚かしさや難しさなどにも踏み込んでおり、単なるエンタメには終わらず、塾長が何故男塾を作ったのかという点を想像させる部分があるなど、深い要素も少なくなく、テンポも良かったりするので、かつて「男塾」にハマった方ならミリタリーファンにも大満足の一作になっているのではと思います?
(C) 天下無双 江田島平八伝 宮下あきら オースーパージャンプ/集英社
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