あなたは海外旅行の経験がありますか?
その際ネックとなるのはホテル選び、万が一にも事件や事故に巻き込まれないように泊まる場所は慎重に決めたいですよね。
今回はアメリカのホテルで起きた、不可解極まる女性の失踪事件をご紹介します。
カナダ出身のエリサ・ラムが突如失踪
エリサ・ラム事件は2013年2月19日に発生した事件。
被害者のエリサ・ラムは中国系カナダ人で、バンクーバーのブリティッシュコロンビア大の学生でした。享年21歳と非常に若いです。
エリサ・ラムの変わり果てた死体はアメリカ合衆国ロサンゼルスの下町に存在する、セシル・ホテル屋上の貯水槽で見付かりました。
ホテルの水の味がおかしいことに気付いた客の苦情で従業員が貯水槽を調べた所、中に浮かんでいるエリサ・ラムを発見したのです。
彼女の死を一躍有名にしたのは、エレベーター内に設置された防犯カメラがとらえていた奇行でした。
エレベーター内の奇行・・・エリサ・ラムは何から逃げ隠れしていた?
エリサ・ラムは失踪から死体発見まで、1週間ほど行方不明になっています。
死体が発見されたのは2月19日ですが、2月1日には彼女の姿を最後に映した防犯カメラの映像が公開されました。その内容が物議を醸します。
カメラはエレベーターの後方、エリサ・ラムを見下ろす位置に設置されていました。画質はお世辞にも良いとは言えず、不自然に歪んでいる部分もあります。
しばらくするとエリサ・ラムが現れエレベーターに入り、操作盤のボタンを押した後に隅に後退。
その後なかなかドアが閉まらずにいるのにじれてドアに接近、頭を出して廊下を観察します。視線の先に何がいるのか、カメラからフェードアウトしていて詳細は定かではありません。
やがてエリサ・ラムは複数のボタンを押し、挙動不審な行動をとり始めます。
エレベーター内を落ち着きなく見回したかと思えば壁にもたれ、また廊下を確認し壁に張り付きと、まるで何かから逃げ隠れしているようです。
彼女が変な動きをしている間もドアは開きっぱなしで、ひしひしとプレッシャーを感じます。
エリサ・ラムの奇行はさらにエスカレートし、耳の上に両手をあてる・手を揺らす・二の腕をこするなど動揺を示し始めます。
ドアの外に出たエリサ・ラムは両手を奇妙に動かし、まるで手話のように私たちの目に見えない「何か」とコミュニケーションしていました。
遂にエリサ・ラムは廊下の左側へと立ち去り、それ以降完全に消息を絶ってしまいます。
この映像はYouTubeをはじめとする複数のサイトにアップされ、エリサ・ラムの死の直前の奇行に関する、様々な憶測や考察が飛び交いました。
エリサ・ラムは精神疾患を抱えていた!幻聴や幻覚に苛まれていた可能性
現在有力な説として囁かれているのは、エリサ・ラムが幻聴や幻覚に苛まれていた可能性です。
エリサ・ラムは当時双極性障害と抑鬱症を患っており、治療薬としてウェルブトリン、ラミクタール、セロクエル、エフェクソールを飲んでいました。
もともとの症状に加え、薬の過剰摂取が原因で妄想が加速した疑いも捨てきれません。
さらに彼女は短期間家出していた事もあるそうです。
2013年のエリサ・ラムは精神病の悪化を理由に大学を休学しており、不安定な状態でした。ロサンゼルスへの一人旅は気分転換の為だったのでしょうか。
余談ですがエリサ・ラムは2010年に、「Ether Fields」(エーテル・フィールズ) と題したブログを始めています。
その後約二年間書き綴ったブログの中で自分の精神障害を告白、闘病の苦しみや将来の不安を吐露しました。
2012年1月に更新されたブログには病気の再発により講義を落とした事で落ち込み、「道に迷ってしまった」と書いています。
エリサ・ラムの精神状態の危うさを踏まえ、ロサンゼルス警察は彼女の死を自殺と断定しました。
数々の未解決の謎!エリサ・ラムはどうやって貯水槽に入ったのか?
しかし自殺で片付けるには、エリサ・ラムの遺体の状況は不自然でした。
警察の解剖の結果、エリサ・ラムの死因は溺死と判明します。ならばどうやって屋上に行ったのでしょうか?
セシル・ホテルの屋上、ならびに屋上への通路は施錠されており、従業員だけが鍵を持っています。故に一般客の立ち入りは不可能、力ずくでこじ開けようとすれば警報装置が作動します。
盲点としては避難通路を使うことで警報装置を回避できますが、カナダからの一般人旅行者が、そんな通路を知っているでしょうか?
さらに不可思議なのは貯水槽の問題。
貯水槽には蓋がされており、女性の細腕で持ち上げるのは困難です。よしんば開けるのに成功しても、入り口の径とエリサの体の幅が合いません。彼女は一体どうやって貯水槽にもぐりこんだのでしょうか?
エリサの死体が全裸だった事も「強姦されたのではないか?」と邪推を呼びました。
これに関しては貯水槽内に水流が発生するため、自然に服が脱げたのではとする説が有力です。
ちなみに肛門部には皮下出血があり、性的暴行の可能性を強める根拠となりました。
他に気になる点としては、エリサ・ラムの体内から彼女が服用していた以外の薬物……シヌタブとイブプロフェンが採取されたことです。
エリサ・ラムは薬物の副作用で何者かに追われている被害妄想に取り憑かれ、それから逃げようと屋上にきたのでしょうか?
あるいは幻覚というのが間違いで、本当に姿の見えない何かが実在するのでしょうか。
シリアルキラーが滞在したセシルホテルの陰惨な歴史
実はセシルホテルで不審な事件が起きるのはこれが初めてではありません。
セシル・ホテルの創立は1920年代。
当時はビジネスホテルとして営業されていましたが、1930年代の世界恐慌の煽りを受けて経営が傾きます。
以降は周辺地域の治安が悪化し、ホームレスや犯罪者の定宿になりました。
宿代がお手頃なことから海外旅行者の一部には人気だそうです。
セシルホテルでは過去に陰惨な事件が起こっています。
まずは1964年、「パーシング広場の鳩女」ことゴールディー・オズグッドの強姦殺人。
彼女はセシルホテルの一室で無惨な死体となって発見されましたが、犯人は未逮捕のまま迷宮入りしています。
18歳の少女をブラジャーの紐で絞殺した殺人鬼ジャック・ウンターベガー、「峡谷の侵入者」「ナイト・ストーカー」の異名をとるリチャード・ラミレスもセシルホテルに滞在していた時期があります。彼等はセシルホテル宿泊中に数々の殺人を犯したのです。
偶発的な事故に近いですが、セシルホテルから飛び下りた自殺者が通行人に激突して死なせたケースも存在し、もとから死と縁が深い場所でした。
エリサ・ラムの最期にもセシルホテルの呪いが関わっているのでしょうか?
まとめ
以上、世間を騒がせたエリサ・ラム失踪事件を解説しました。現在もエリサ・ラムの身に起きた出来事を考察する有志は絶えず、 Netflix は『事件現場から: セシルホテル失踪事件』を制作しています。
こちらはエリサ・ラムの家族や知人、セシルホテルの関係者へのインタビューも交えた非常に見ごたえがあるノンフィクションドキュメンタリーに仕上がっているので、興味がある方はぜひご覧ください。
アメリカでは都市伝説化しており、セシルホテルに泊まる人も増えているそうです。
※一部の画像はイメージです。
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