一般生活での非常用製品としてはもちろんの事、野外でアウトドアを趣味とする人ならば、いざという時に強力な明るさを提供してくれる懐中電灯を一つくらいは準備しているでしょう。
近年では懐中電灯にもLEDライトの使用が標準的となり、かつての発熱電球と比較するならば、格段に明るく、また照らすものがより鮮明に見えるその白色光を非常に心強いと感じる事も多いと思われる。
しかしそうした実用的な懐中電灯の域を遥かに通り過ぎた、寧ろ簡易的な熱源に分類する方が適切ではないかとすら思える究極の一品、それがWicked Lasers社製の 「Flash Torch」という製品です。
「Flash Torch」と言う名の究極の懐中電灯
Wicked Lasers社が発売している「Flash Torch」は、極端な話しハンドガンの世界で例えるならばデザート・イーグルのような存在の懐中電灯で、「人が手に持てる最大の光量」に挑んだ究極の製品。
「Flash Torch」は4,100ルーメンと言う膨大な光量を実現しており、この明るさは自動車のヘッド・ライトの明るさが凡そ3,000ルーメン前後とされていると聞けば、自ずとその強力さが分かってもらえるでしょう。
Wicked Lasers社は香港に拠点を構えている企業であり、「Flash Torch」のような懐中電灯以外にも、携帯型の強力なレーザーや置き型のレーザー照射装置を製造・販売している事が確認できます。
「Flash Torch」の仕様とバリエーション
「Flash Torch」は、全長が293m、最大幅が63mmの大きさで重量は630グラムと軽量であり、この軽さと堅牢さを実現する為に通常航空機の素材に用いられるレベルのアルミニウムで製造されている。電球には12Vで100Wタイプのハロゲン球が採用されており、これによって4,100ルーメンの大光量を実現すると同時に、約2,000時間の長時間寿命を確保し、交換頻度を下げる事に成功しています。
電源には本体内部に4ケの18650リチウムイオンバッテリーを搭載しており、使用するモードによって駆動時間は異なるが、凡その目安としては満充電で約20分から80分の連続使用が可能です。
使用モードは弱・中・強の3段階から選択することが可能なスイッチを備えており、本体最尾部のボタンによって点灯と消灯を切り替える方式であり、本体のカラーはブラック1色のみとなっています。
最大光量は2,300ルーメンと若干低下はするものの全体を小型化した「FlashTorch Mini」と呼ばれるバリエーションもあり、携帯性を重視するならばこちらを選択するのもありかもしれません。
「Flash Torch」シリーズが最強の懐中電灯と喧伝される理由
前述のように「Flash Torch」が4,100ルーメン、「FlashTorch Mini」でも2,300ルーメンと非常に強力な光量を誇る「Flash Torch」シリーズだが、インターネット上では「最強の」と言うフレーズが目に付きます。これは本来の懐中電灯としての明るさを超えて、その光量を発揮するパワー・熱量によって、紙や樹脂などの可燃性物質に火をつけたり、キャンプ用の金属製の鍋等を加熱し、簡易な調理にも使用可能とされる為です。
多くのインターネット上の動画でこれらの行為を実践している場面を視聴する事が出来き、丸めた紙屑や紙幣に点灯させた「Flash Torch」シリーズの先端を押し付ける事で容易に火を起こす様子かアップされています。
また地面から上向きに立て点灯させた「Flash Torch」シリーズの上に、キャンプ用の金属製の鍋等を載せて加熱し、そこでスクランブル・エッグや目玉焼きを調理するほどの熱を発している映像等も確認できるでしょう。
こうした映像から正に「最強の」と言う形容詞が本来は懐中電灯である筈の「Flash Torch」シリーズに与えられている訳だが、確かに見為た目のインパクトが強くこれが広く喧伝されている事は頷けます。しかし冷静に考えればキャンプ等には、こうした用途の簡易コンロやバーナーなど、もっと使いやすく且つ安全な専用の器具が存在しており、敢えて「Flash Torch」シリーズにこうした機能を求める必要性は薄いですよね。
あくまで副次的か、緊急時に仕方なく用いる程度である筈のこうした用途を前面に打ち出している事こそ、過大にタフなアイテムとして「Flash Torch」シリーズに持たせるイメージ戦略と見るべきでしょう。
「Flash Torch」シリーズの実用性
「Flash Torch」シリーズを実際の懐中電灯として使用している動画を見る限り、確かに通常の懐中電灯よりも照射範囲も広く、光量の多い白色光によりかなり鮮明に暗闇を照らす事が可能に見える。しかしあまりの光量であるが故に、暗闇で水面等に向けて照射した場合などでも、使用者自身がその反射をまぶしいと感じている程であり、かなりオーバースペックな光量である事が窺えます。
状況によっては直接この光を人が目にする事はかなり危険であり、反射を考慮するならば使用者自身もサングラス等で目を保護しながらでなければ、安全に使用する事には困難が伴うでしょう。従って「Flash Torch」シリーズの光量を用いなければならない程の状況は、日常生活において発生する可能性は限りなく低く、寧ろ武器の一種として目くらましに使用される危険性を心配した方がよいかもしれません。
「Flash Torch」シリーズの日本での入手
「Flash Torch」の気になる入手方法だが、2021年10月18日現在、Wicked Lasers社のホームぺージ上では199ドル(約22,700円)で購入できるとボタンの表示があるが、実際に日本から購入出来るのかは不明。この画面をよく見ると199ドルなのはこれまで紹介してきた100W・4,100ルーメン版であり、299ドル(約34,000円)で250W・12,000ルーメン版も存在している事が確認できます。
これ以外にも「Flash Torch」100W・4,100ルーメン版を日本へ輸入、通信販売されている会社もあり、そちらでは28,315円から35,444円税込みと表示されており、かなり高額な感があることは否めません。
懐中電灯としての性能・用途を突き詰めれば無論、これらよりも遥かに安価で簡単に入手できるものが多いと思われるが、そうとは分かっていてもある種の「ロマン」を掻き立てられてしまう事もまた事実でしょう。
featured image:(C) Wicked Lasers
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