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FN SCAR とはどんなアサルトライフル?

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FNハースタル社はベルギーに本社を構える老舗にして、且つ名門の銃器製造企業だが、同社が製造を手掛けるFN SCAR(スカー)は、少し悲運なアサルト・ライフルとも言われているのです。これは現FNハースタル社が、国営企業だったFN社だった1991年に経営難からフランスの現ネクスター社の傘下となり、1997年にはアメリカのコルト社からの買収に晒された事が背景にあります。

この買収劇から逃れるために地元ベルギーのハースタルグループの子会社となり今のFNハースタル社に至ったのだが、この時のコルト社との軋轢がFN SCAR(スカー)のセールスに影響したと見られます。FN社は現在の分類でバトル・ライフルに位置付けられる7.62x51mm NATO弾仕様のFALや、その後の5.56x45mmNATO弾仕様のCAL、FNC等のアサルト・ライフルを手掛け、これに続いたのがSCAR(スカー)だったのです。

目次

FN SCAR(スカー)の開発経緯

FN SCAR(スカー)は、「スペシャル・オペレーションズ・フォースズ・アサルト・ライフル」の頭文字がその略称であり、特殊部隊向けを前提とした製品であることが名称からも窺えます。より具体的には、2003年より実施されたアメリカ特殊作戦軍による新型アサルト・ライフルのトライアル用に製造されたもので、FNハースタル社の5.56x45mm NATO弾用のCALやFNCの系譜に連なっているのです。

アメリカ特殊作戦軍とは、「ユナイテッド・ステイツ・スペシャル・オペレーションズ・コマンド」の事で、SOCOMと呼称されている陸・海・空・海兵隊4軍の特殊部隊を統括する組織。よってこのアメリカ特殊作戦軍によるトライアル用に製造されたFN SCAR(スカー)は、アメリカ軍標準のM-16やM-4カービンと操作系部品の配置がほぼ同様で見た目にもそれらとの類似点が多いようです。同じくトライアルに参加していたH&K社のXM8のような近未来的なイメージはなく、あくまでオードックスな形状であり、デザインを含め概ね高い評価を獲得したと言えるでしょう。

そのため2004年4月にアメリカ陸軍の第75レンジャー連隊に600丁の5.56x45mmNATO弾仕様のSCAR-Lが導入され、翌2010年5月にはSCAR-Lを米軍名MK16、7.62x51mm NATO弾仕様のSCAR-HをMK17として採用されます。
しかし翌月にはアメリカ特殊作戦軍はこの決定のうち、MK16(SCAR-L)の採用を取りやめると発表し、順調に見えたFN SCAR(スカー)は思わぬ事態に遭遇する結果となりました。

この事態は当時アメリカ軍へのM4カービンの納入を生命線としていたコルト社が、自社の存続をかけて政治工作を成功させたものとも言われ、FN SCAR(スカー)の有用性に疑義をもたらすのでした。

FN SCAR(スカー)の概要・仕様

前述の様にFN SCAR(スカー)には、5.56x45mmNATO弾仕様のSCAR-L(米軍名MK16)と7.62x51mmNATO弾仕様のSCAR-H(米軍名MK17)の大きく2種類があるが、今後は6.8mm弾への対応も予想されます。

それぞれの名称であるLは「ライト」、Hは「ヘビー」の頭文字であり、使用する5.56x45mmNATO弾と7.62x51mmNATO弾の口径及び大きさを指し示す記号として用いられています。

SCAR-L(米軍名MK16)、SCAR-H(米軍名MK17)共に折りたたみ式の銃床を備え、銃身長の短い順にショート、スタンダード、ロングの各々3バージョンがあり用途に応じた選択が可能。標準のスタンダードバージョンはSCAR-L(米軍名MK16)で、銃身長355mm、全長635mm~899mm、重量3,290gで、SCAR-H(米軍名MK17)が銃身長460mm、全長711.2mm~965.2mm、重量3,580g。

口径の異なるSCAR-L(米軍名MK16)、SCAR-H(米軍名MK17)共に構造が同一である事は当然だが、可能な限り部品の共用化もなされており、汎用性の向上とコスト削減を両立させています。
また、マガジンのリリースボタンや射撃モードの切り替えレバーは左右両利き用に設計されており、チャージングハンドルも分解設定することで左右を選択することが可能です。

■ 上:SCAR-L(5.56×45mm) 下:SCAR-H(7.62×51mm)
Arbal01, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

FN SCAR(スカー)の採用

FN SCARは元々アメリカ特殊作戦軍のトライアルに対応して製造されたアサルト・ライフルでしたが、一連のキャンセル騒ぎ等もあり、そこでは主流になること無く翻弄される結果となったのです。但しFNハースタル社の地元ベルギー軍では現行のFNCを代替する予定でSCAR-Lの導入が進められており、ドットサイトで14インチ銃身、小型のフラッシュ・ハイダーを備える仕様に改められています。

またフランス陸軍ではSCAR-H(米軍名MK17)をベースにこれをセミオート狙撃銃にしたSCAR-H PRを2020年1月に採用を決定したとされ、分隊支援用の選抜射手用に2,600丁を調達する見込みとも言う。
これ以外にもSCAR-L(米軍名MK16)をペルー軍やフランスの特殊部隊が、SCAR-H(米軍名MK17)をスロベニア軍の特殊部隊やリトアニア、ポルトガル軍等が採用していると伝えられています。

FN SCAR(スカー)の種類

FN SCAR(スカー)には、標準のSCAR-L(米軍名MK16)やSCAR-H(米軍名MK17)をベースとした複数のバリエーションが、用途に応じて試作または開発されています。先ず5.56x45mmNATO弾仕様のSCAR-L(米軍名MK16)には、HAMRと呼ばれる海兵隊仕様の分隊支援火器バージョンがあり、ボルトの閉鎖をオープンとクローズドに自動で切り替える機能を持ちます。

また替わりダネとしては、銃身長を6.75インチに切り詰めスライドストックや折りたたみ式のサイトを装備したPDWタイプのモデルも試作品として存在します。
7.62x51mmNATO弾仕様のSCAR-H(米軍名MK17)には、前述の様にフランス陸軍採用のセミオート狙撃銃・SCAR-H PRがあり、これは20インチの長銃身でマークスマン・ライフル化させたものであります。

featured image: English: United States Navy SEALs, Public domain, via Wikimedia Commons

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