「あああああ!!!卒論嫌だあああ!!外出たいいぃ!!!」
研究室に響き渡る突然の絶叫・・・異常者でも見るような目つきで振り返る同室の人々。
そう、コロナ禍でほぼ一切の外出を禁じられていた大学生活四年目、遂に抑圧への抵抗キャパシティに限界を迎える事となる。
元来、野外アクティビティなどしない、つまるところの「引きこもり」的体質を持つ、年中無休、365日、四六時中ゲームをやっても壊れない私でも、あまりのインドア生活に精神が崩壊というか、生物としての本能に抗えなくなったのである。
人間は日の光を浴び、動かないと死んでしまうのであると実感した時、何を思ったのか同室の人たち、ゲーム仲間、竹馬の友、先輩方に声をかけ、勢い任せに10万円を浪費しamazonで装備をポチり、人生初のサバゲーに臨むことになるのである。
初心者、サバゲーのやり方を習う
FPSゲーム仲間の大学の先輩にキャリーされつつ、初のサバゲーに臨む日の朝。
「先輩、サバゲーで勝てる立ち回りって、何ですか?」
「オマエ、ハシル、ウツ、アイテ、シヌ」
「ええ??」
車内で交わされたサバゲーについてのアドバイスは、初っ端から微塵の参考にもならないものであった。
実際、「撃って当てる」というのは、我々FPSゲーマーにとっては三度の飯よりも身に染みついた行為。
現実的にいえば
とはいえ、現実のサバゲーはそこまで単純ではない。信頼できるのは「自身の目」のみ。
ゲームでは考えなくてもいいような自分の体力、気候、気配、射線に細心の注意を払わなければならない。
そして何よりも、「弾が当たった時の痛さ」を知らないのが最大のネックであった。
そう、痛いのが怖いのである、この20代。
今日までマトモに怪我をした事のない平和人間が、もののふひしめく戦場に足を踏み入れる訳である。用心の一つして当然だろう。
なのに、私の先輩ときたら「突っ込んで撃て」と、なんだアンタバーサーカーかと突っ込みたくなる。もののふたる誉の欠片もない。
そして、そんなにも突っ込めない理由がある。
私のメインアームはVSR-10、つまりセミオートのみの「スナイパーライフル」なのだ。
既にゆるくない
今回お邪魔したのは、千葉県千葉市若葉区にあるサバゲーフィールド「SEALsサバイバルゲームフィールド」さん。
詳しい事は分からないけれど、屋外フィールドとしては中々大きい方らしい。
あれよあれよ連れられて、車から荷を下ろし準備を整える。
日ごろから整理整頓ができない人間の、なんにせよ人生初の屋外サバゲーなわけで、家にあった適当な服を見繕って着込んだわけだが。
カジュアルすぎて草ですね。動きやすさと通気性を重視したオタクの格好。弱そう。
そういえば筆者は腐ってもFPS歴10年近くのプレイヤーである。FPSの腕には相当の自身があり、このゲームでチャンピオンやらドン勝するつもり・・・だったわけである・・・が、そんなユルイ考えを、誰一人として許してくれなかったのである。
敵が一人も見つからない
ブリーフィングの後、なんだかんだとゲームが始まり、まず感じたのが「ゴーグルめっちゃ曇る!」という事。
防曇コーティングをしていた筈なのだが、滅茶苦茶にゴーグル内が曇る。いや、ホンマに周りが見えん。
そして「ズボンの裾から枝が刺さる」ことも痛かった。
長靴とか裾を縛ってる人が多い理由が始まってから分かったが、時すでに遅し。
そしてなにより「敵が見つからない」点が何よりもエグイ。
初心者である事を差し置いても、とにかくブッシュを見ても「人がいない」。
スナイパーは気付かれない地点から人を撃ってなんぼの筈、そもそも人が見つけられないとは。
これがB〇だったり、C〇Dだったり、A〇EXなんたらなら、スポットフレアやら偵察機がいる訳だが、現実では残念ながらそんなものはないわけである。
初サバゲー、思わず叫ぶ私の第一声は「敵をスポットしてくれ!!」になったわけである。
軟弱か。
総論・・凸って撃ては真理
結局約八時間だろうか?フルでゲームに参加した。
一度もやられることはなく、たまたま一キルだけした、人生初の駆け出しサバゲーは終了したわけである。
感想としては「不完全燃焼、もっとキルしたい」が正直なところだろう。
冒頭の先輩の「凸って撃て」というのは、実は何よりもサバゲー初心者に向けた言葉だった事に、帰りの車内で気付いたわけである。
何よりも初心者は、「撃たれた痛み」、「実地の体の動かし方」、「相手を倒す喜び」を知る。
この三点を何よりも体験できるのが「凸って撃つ」ことだったのである。言葉の意味を理解し、私は先輩に感謝した。
私「凸って撃つ、この単純な方法の奥には、こんな意味が込められていたんですね!」
私「自分、全然気づきませんでした。ありがとうございます!!」
先輩「え?特にそんなこと考えてないんやけど・・・?」
前言撤回である。
私の先輩は紛れもなくバーサーカーだ。
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