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日本的美意識をまとって再臨せし世界的復讐譚!「巌窟王」をご紹介!

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「待て、しかして希望せよ」「復讐するは我に有り」・・・。
あまりに有名なフレーズを世に投げ掛けた世界的復讐譚「モンテ・クリスト伯」が、とびきりサイケデリックに煌びやか、グロテスクですらある他に類を見ない表現で以て再構築された一作です。

人の道に背を向けながらも、人としての矜恃、在り方を貫徹せんが為と孤高の悪に全てを捧げる・・・。
禍々しきが故に人の心を捕えて放さない世界に冠たる復讐劇の金字塔に、幾多の時と場所を経て絢爛豪華な映像表現によって新たな姿を与えたのは「シン・ゴジラ」や「シン・エヴァンゲリオン」において圧倒的な存在感を放つデザイニングを送り出している「前田真宏」氏。
19世紀末のアートシーンを思わせる景観が陽炎のように揺らめく幻想宇宙を舞台に、若き感性と復讐者の意志が交錯して燃え盛る物語をご覧下さい!

目次

黄金を銃に、知性を毒に、刺し貫くは復讐の剣!濃密なドラマの影で火花を散らす「熾烈な暗闘」に圧倒される!

時は何時とも知れぬ頃、大宇宙を海原に数多の星を渡るとも人の性が変わる事無く、絢爛たる闘争と栄華を極めた果ての退廃と鬱屈、そしてその影に踏み台としてきたあらゆる汚濁を押し込めて、一時の煌びやかな饗宴に酔いしれる。
目を覆う程の豪奢なカーニバルを背景に、流麗にして威風堂々たる足取りを以て…それは観客たる我々も含めた衆目を一挙に虜とする、異相の紳士が降り立つ・・・という、語り部としての主人公たる「アルベール」少年をして「運命の開幕」を思わせる圧倒的な映像で物語は始まりを告げます。

この第1話冒頭の映像をして、その凄まじき描写の迫力に圧倒される事間違い無しの本作。
復讐譚という、全体を通して複雑な人間関係と、気付かれる事無く対象へと侵食していき、対象の運命を破壊していく緻密な物語が展開する一方で、映像として圧巻の迫力と破滅へと転がり落ちていくカタルシスを絶妙のバランスで以て構成する事により、1話毎に驚くような展開と目を奪われる構成によって飽きさせる事が決して無い作りとなっています。

本作の構成として、既に世界的に有名な原作を持つ事から「モンテ・クリスト伯(伯爵)」こそ「復讐者」である、という「最大のネタバレ」を前提としている中にあってこれを「目新しい」展開とする原動力となっているのが、主人公として据えられている「アルベール」の目線です。

原作とは微妙に異なる人間関係を軸に、その瑞々しい感性で以て、彼自身をも渦中に置く残酷な運命を、而して華麗に「陥れ」ていく物語の展開にきっと「目を奪われる」事でしょう。

人間ドラマを主軸に置いた展開故、ミリタリーやSFガジェット的な要素は若干抑え目の作品ではありますが、要所要所において満を持して登場するこれらの要素にも手抜きの無いデザイニングとアクションが光る「格好良さ」満載の作品となっています。その結末を油断せずに「見届けて」頂きたい1作です。

煌めくは”ネオ”アール・ヌーボー?!日本的美術意識が繰り出した怪しい輝きに満ちる「蠢く美」に魅了される!

本作は宇宙へと漕ぎ出した人類世界というSF的世界観で以て、原作におけるナポレオン戦争前後の世界を構成したという、所謂スチームパンク等の世界を思わせる「パンキッシュ」な世界観を形作っています。
第1話冒頭から、その圧倒的迫力を以て目を釘付けにされるであろう豪華絢爛なカーニバルから始まり、その異様ですらある「蠢くような紋様」の異質感には驚かれるかもしれません。

この衣装や背景のテクスチャ、或いは背景を彩る絢爛豪華な衣装には、伝統的なアートワークが蠢くように張り巡らされており、絢爛豪華な風情の中に何処かしら呪的な魅力を加えるデザイニングとなっています。
巨大な船が音も無く宇宙の暗闇に漕ぎ出していくような超技術が普及した世界の中で、そのデザイニングや様式には古式ゆかしいとすら言えるこの「不釣り合いな調和が生み出す安定感」と言える「美的センス」もまた、本作の大きな魅力と言えるものになっています。

それは欧州へ伝来した東洋趣味が高じる事で、芸術性を大きく刺激していった「アール・ヌーボー」の世界にSFの骨子を取り込んだとも言えるような幻想世界を構築しており、相反する世界観が蠱惑的な調和を生み出した「酔いしれる」ような映像美を生み出しています。
この幻想的で妖艶とも言える魅力に満たされた「視覚」に、目の覚めるような刺激を加え、リズム感を強調していく音楽が、本作の魅力を更に高めるものとなっています。

この「映像」と「音楽」の刺激体験を端的且つ最高に感じさせてくれるのが、エンディングテーマである「You Won’t see me coming」と共に流れるエンディング映像でしょう。
本作「巌窟王」という作品の持つ、魅力的なエッセンスを一点に凝縮したと言える映像は間違い無く一見の価値有りですので、興味を持って頂いた方はまずエンディング映像をご覧になると、作品の魅力へいっぺんに引き込まれる事請け合いです。

締め括り

締め括りとして、本作「巌窟王」を取り巻く作品が「面白い関係性を描いている」と感じた話題を紹介致します。
本作は19世紀の作家アレクサンドル・デュマ(1世、の意味で大デュマとも呼ばれます)の作品「モンテ・クリスト伯」をその原点とし、この世界的に大人気を博した作品が明治期の日本で翻訳・紹介された際のタイトルが「巌窟王」であり、今日日本でこの名が知られる事となりました。
他方、この世界的名著は欧米においても多くの人に読み継がれ、幾多の作家に創作意欲を掻き立てるイメージ源となり、
その一作が名作SFである「虎よ!虎よ!」です。

実は本作「巌窟王」の監督である「前田真宏」氏が元々アニメーションとして作る事を希望していたのはこの「虎よ!虎よ!」であり、著作権等の事情によってストップが掛かった所、原典である「巌窟王」…「モンテ・クリスト伯」へと先祖返りする事で、完成に至ったという経緯が語られているのです。

この煌びやかで極彩色、パンキッシュでロマンティシズム溢れるSF色を帯びた世界観が、数奇な運命を漂泊し、波濤を越えて魂を燃やし尽くすように信念を貫徹する「エドモン・ダンテス」という物語に重なって見える…そんな思いを抱いてしまう作品の経緯も魅力の一つだと言えるものです。
長編故読み応えがありますが、世紀を越えて読み継がれる作品ですので、興味を持たれたら是非一度挑戦して頂きたい作品です。

出演:中田譲治, 出演:福山潤, 出演:平川大輔, 出演:井上喜久子, 出演:小杉十郎太, 出演:中村千絵, 出演:矢島晶子, 出演:中原麻衣, 出演:稲田徹, 出演:土門仁, 監督:前田真宏
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登場人物から背景まで「圧巻」の一言に尽きる大スペクタクル。分けても名優「中田讓治」氏演じる伯爵=巌窟王その人は、当時学生だった筆者に初めてのDVD全巻購入を決意させた罪深き格好良さです(実話)。

©2004 Mahiro Maeda・GONZO/KADOKAWA

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