8月某日、それはいつもと変わらない日常のはずだった。
東京・銀座に忽然として現れた異世界への門、その中から次々と現れる異界の軍勢。
物語の主人公で幹部自衛官である伊丹耀司と自衛隊の活躍によって、一時は軍勢を門の向こうへ追い戻すことに成功したが・・・といったあらすじだが、まず異世界×自衛隊という異色の組み合わせに強く興味を惹かれました。
今回はGATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えりの第一話を視聴した感想を自衛隊の話をはさみつつ元自衛官の目線で語りたいと思います。
元自衛官、現職時の思い出と感想
はじめに見どころの一つとして、元自衛官の3等陸曹が作者ということもあり、自衛隊の描写が細かく面白い!
例えば駐屯地の隊員食堂や勤務隊舎の内装など実際に現地へ赴き綿密な取材していることがわかりますね。
駐屯地によって異なりますが隊員食堂のテーブルの上には献立表やふりかけ、七味唐辛子やソースといった調味料が置いてあったりします。そして、有名な話ですが自衛隊では金曜日には決まってカレーが出ます。
駐屯地では食事が唯一の楽しみだったので、自分の好物であるラーメンやハンバーグなんかが出た日にはテンションが上がってましたね。食事は部隊の指揮へ顕著に影響が出るのでとても大切です。
門の向こうへ突入するシーンでは部隊が集結し出陣式が行われ師団長の訓示があります。大きな演習や災害派遣でも行われる光景です。
出撃前に「サクラ連絡する。マルヒトより送れ」と通信点検を実施している場面もありました。このように実際でも、無線の通信点検や導通点検はSP(発進点)通過時刻前に必ず行われます。
自分が中隊へ入りたての新兵の頃、通信点検時間に間に合うよう車両無線機の符号を頑張って入力していた頃を思い出します。
突入シーンを観察
突入シーンの特地派遣部隊を観察すると、特科の自走榴弾砲の支援を受けた74式戦車と普通科部隊が先行する図というのが見て取れます。ちなみに普通科と戦車が一緒になって戦うことを普戦共同前進といいます。この場合は戦車が先行するので戦車先導による共同前進ですね。敵に対戦車火器の脅威や障害がある場合は普通科先導による前進をします。
アニメでは触れられてませんが、人工衛星やネットワークがない特地では最先端のハイテク兵器では宝の持ち腐れになってしまうため退役処分間近の74式戦車を引っ張り出して編成したことや、敵兵士の甲冑や盾を貫通するには5.56㎜小銃ではややストッピングパワー不足と判断して旧式だが7.62㎜弾を使用する64式小銃を装備し、日本とは植生や地形が異なる特地仕様に迷彩服を変更した点など、原作ではアニメで語られない詳細がわかるので読んでみるのもおすすめです。
最後に
舞台である異世界の設定もオーソドックスなファンタジー世界というような感じで、登場する自衛官達の日常もコミカルな感じで描かれているのでがっつりミリタリー物というわけではなく多くの方に楽しんでもらえる作品なのではないのでしょうか。また陸上自衛隊をここまでメインとした題材にする作品は少ないので嬉しかったですね。
(C) GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 柳内たくみ・アルファポリス/ゲート製作委員会
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