当初は網走刑務所の「のっぺらぼう」との接触、次にウィルクがアシリパに託した金塊の在処の暗号を知る樺太と舞台を変えてきた「ゴールデンカムイ」。ここに来て函館の地に金塊を巡る冒険が収束しようとしている。
週刊ヤングジャンプに連載中の人気漫画「ゴールデンカムイ」は、主人公のひとりアシリパが父・ウィルクが隠匿した金塊の行方を追いながら相棒の杉元と共に成長して行くという冒険譚として描かれてきた。
第一部のクライマックスとも言うべきは、「のっぺらぼう」となっていたウィルクの収監先である網走監獄襲撃であり、ここではアシリパ・杉元らはキロランケや土方歳三らと共闘し、同じくウィルクを追って来た鶴見中尉らの陸軍第七師団と壮絶な「のっぺらぼう」争奪戦を繰り広げた。結果は「のっぺらぼう」は死亡し、パルチザン時代の矜持を失っていなかったキロランケがアシリパや白石を連れて、「のっぺらぼう」同様に死亡したと思われた杉元を残し、樺太へと誘った。
第七師団に拘束され傷の手当てを受けた不死身の杉元は、アシリパの奪還を企図して敵であった鶴見中尉と一旦手を結び、鯉登少尉、月島軍曹らとともに樺太に渡った。樺太でウィルクから託された入墨人皮に隠された金塊の暗号を思い出したアシリパは、それを尾形に察知され窮地に陥るも、杉元らが駆けつけて事無きを得た。
杉元・アシリパらの再会も束の間、金塊の在処を突き止めようと画策していたキロランケは鯉登少尉・月島軍曹らとの戦いに敗れ舞台は再び北海道へと戻る。しかしそのまま帰国してもアシリパを鶴見中尉が利用する事は避けられず、杉元は再び自分達だけで金塊探しを続けるため、鶴見中尉らの元から逃走、またしても土方歳三らと共闘する事を決意。入墨人皮に隠された金塊の在処が函館の五稜郭だと、杉元・アシリパ・土方陣営が気付くのと同時に、鶴見中尉らもしれに気付き、五稜郭で両陣営がぶつかり合う展開となりそう、と言うのが直近のストーリーだ。
このまま進めば両陣営の戦闘は避けられない状況だが、第七師団と言う現役の軍隊に対して、五稜郭でかつて戦った経験があると自負する土方らには、勝算もある様子。他に類を見ない近年希に見る快作だけに、一読者としては遂に終焉を迎えるのかと期待と残念さがせめぎ合っている。
(C) ゴールデンカムイ 野田サトル 集英社/ヤングジャンプコミックス
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