巨大ロボット漫画ジャンルを切り拓いた漫画界の巨星「横山光輝」氏。
20世紀末、かの巨星の光を受けて育った子供達が、その尊敬と憧れとその他の全てを叩き込んで作られた魂のトリビュート作品が「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」です。
それは日本アニメ界が限界に挑戦した結果生まれた、一つの奇跡だと言えるものです。
7話完結に7年の歳月を要した圧倒的クオリティ
本作は1992年にOVA第一巻がリリースされて以来、最終第七話のリリースにまで実に7年に渡る製作期間が要されました。
デジタル作画などの技術的な補助が少なかった時代という事もあるでしょうが、それ以上にこの事実を実感させるのが、全話に渡って一瞬の妥協すら見られない圧倒的クオリティで放たれる映像と音楽です。
巨大でぶっとい手足のロボが、異形のロボをぶん殴っては街が崩壊していき、その傍らで超人達が息も吐かせぬ丁々発止を繰り広げるという、スケールも違えば速度も緩急織り交ぜられた凄まじい大立ち回りが埋め尽くす波乱の展開。
これを全て手書きのアニメーションで描いていたと言えば、要した製作時間にも納得と言えるものでしょう。
加えて、その物語を質量すら感じる荘厳な響きで彩る音楽が、執念とも言える途轍もないクオリティで作られた代物です。
そのクラシカルな曲調は「ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団」全面協力の上に書き下ろされた7曲を用いるという、オペラ作品もかくやという作り込み。
これだけの熱量を注ぎ込まれて作られた作品だと知れば、今なお伝説として語られ、この作品に触れた多くの人を虜にするその魅力にも納得というものではないでしょうか。
クロスオーバーとはこうやるのだと言わんばかり!「横山光輝」キャラ大集合!
本作の魅力と言うか、凄みと言える部分が「横山光輝」氏の漫画作品に登場したキャラクターがこれでもかと登場しては、原作に勝るとも劣らない超人技を惜しみなくぶつけて行く所でしょう。
世界観のベースになるのはタイトル通り「ジャイアントロボ」であり、超人達は各々「国際警察機構」と「BF団」に分かれ、世界の趨勢を求めてぶつかり合います。
戦闘はその頂点たる「九大天王」と「十傑集」を筆頭として、部下構成員を織り交ぜた目を見張る大立ち回りを繰り広げます。
そのメンバーと言うのが、主人公の草間大作とジャイアントロボはもちろんの事「水滸伝」に「鉄人28号」、果ては「魔法使いサリー」ちゃんまでという幅広さ。
もちろん、横山作品として最も著名な「三国志」からもあの人物が登場しています。
それを目にしたあなたはきっと「げぇっ」と言ってしまうでしょう。
そして、これらのファンダム要素を多数盛り込みながら、オリジナル作品としての見せ方を徹底しているのがこの作品を伝説とまで言わしめるものと言えるでしょう。
横山光輝のファンが、持てる知識と愛情を一切惜しみなく注ぎ込んだが故の輝き。
ファンダムやクロスオーバーのお手本とも言える名作、是非一度ご鑑賞あれ。
(C) ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日 光プロ/東芝エンタテイメント/フェニックス・エンタテイメント
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