MENU

西洋VS東洋?! 死後に罪人が行く地獄の階層を解説

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

東洋でも西洋でも罪を犯した人間は死後に地獄に行くと信じられてきました。
しかしその地獄は同じものなんでしょうか?
今回は知っているようで意外と知られていない、東洋と西洋の地獄の階層の違いを紹介していきます。

目次

西洋の地獄はダンテ『神曲』で解説されていた

まずは西洋の地獄の紹介。13世紀~14世紀イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリの代表作『神曲』は、地獄篇・煉獄篇・天国篇の3部構成であり、特に地獄編に比重が割かれています。
原題はイタリア語で『La Divina Commedia』、即ち「神聖なる喜劇」。
本作の主人公は作者と同名の青年ダンテ。

ある夜森に迷い込んだ彼は、そこで古代ローマの詩人・ウェルギリウスと出会い、地獄・煉獄・天国を巡る旅に出ました。
ウェルギリウスはキリスト教の布教以前に死んだ為、洗礼を受けてない者が留め置かれる辺獄(リンボ)にいました。
その後ダンテと合流し、冥府の渡し守カロンが漕ぐ船に乗り、地獄の門へと辿り着きます。「この門をくぐるもの 一切の希望を捨てよ」の銘はあまりに有名。

東洋と同じく、あの世とこの世を分け隔てる川が出てくるのに注目してください。東洋では三途の川、『神曲』ではギリシャ神話由来のアケローン川です。
さて、地獄は最上部の第一圏から最下部の第九圏までの九層で構成されていました。

  • 第一圏 辺獄(リンボ)
  • 第二圏 愛欲者の地獄
  • 第三圏 貪食者の地獄
  • 第四圏 貪欲者の地獄
  • 第五圏 憤怒者の地獄
  • 第六圏 異端者の地獄
  • 第七圏 暴力者の地獄
  • 第八圏 悪意者の地獄
  • 第九圏 裏切者の地獄

第九圏の裏切り者の地獄(コキュートス)では、キリストを売ったユダ、神に盾突いた魔王ルシフェルが永遠に氷漬けにされ、カエサル暗殺の首謀者であるブルートゥスとカシウスがルシフェルに嚙み砕かれていました。
西洋では裏切りこそ最も重い罪なのです。

コキュートスに到達したダンテとウェルギリウスは、その後巨大なルシフェルの背を降り、天国の前段の浄めの場所・煉獄を目指しました。
ここは「天国に行けず、地獄に堕ちるほどでもない死者が滞在する場所」とされ、試練によって罪を浄めたのち、天国に入るのが認められました。

ダンテ・アリギエーリ

残酷!自殺者の宿命

キリスト教は自殺を罪と見なす為、死後は第七圏・暴力者の地獄に堕ちると『神曲』は説きます。
暴力者の地獄における暴力は他者のみならず、自己に対する暴力も含みます。即ち、自傷や自殺も罪なのです。
故に自殺者は自殺者の森で醜い人面樹に変えられ、地獄の怪鳥アルピエに啄ばまれる責め苦をうけます。

聖書における地獄の解釈

『神曲』はダンテが聖書の記述を脚色した話であり、オリジナル要素が多分に含まれます。ならば聖書はどうでしょうか?
聖書における地獄には二種類の表記が存在します。それがゲヘンナ(地獄)とハデース(冥府)。
ゲヘンナは改心せざる罪人が堕ちる永続的な地獄、ハデースは最後の審判まで死者が待機する場所。前者が終身の刑務所、後者が拘置所と言えばわかりやすいかもしれません。
最後の審判が終わり次第、用済みになったハデースは消滅します。
地獄は場所を指すのではなく、愛や信仰と無縁な霊魂の状態を指すとする説もあります。
ゲヘンナの別名は火と硫黄の池。「地獄には消えない火が燃えている」とカトリックは提唱しますが、この炎は地上の火と性質が近く、罪人に凄まじい肉体的苦痛を与えるそうです。拷問を担当するのは悪魔たちで、階級が細かく分かれています。
使徒マルコ曰く「地獄では蛆が尽きることも、火が消えることもない」らしく、壮絶な光景が目に浮かびます。

東洋の地獄は鬼の天下

次は東洋に移ります。東洋の地獄は仏教が発祥で、仏教世界における最下層に位置します。
別名奈落迦(ナラカ)ともいい、これは舞台下の空間をさす演劇用語、奈落の語源です。
閻魔大王に代表される官僚制度は、インドの民間信仰が中国の道教と混ざってできたもの。もともと閻魔はいませんでした。
日本で地獄が認知されたのは平安時代、末法思想の流布と大きく関係しています。
死後、すべての亡者は三途の川を渡り、7日ごとに閻魔大王をはじめとする十王の7回の審判を受けます。
この裁判で罪人と判決が出た者が、それぞれの罪に応じた地獄へ振り分けられます。
地獄に落ちる程でもない亡者は、餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道のいずれかに送られ、輪廻転生の順番を待ちました。地獄も六道の一種なのです。
以下、階層が浅い順に並べます。

等活地獄

人殺しが落ちる地獄。鬼の獄卒が監視する中、亡者たちが鉄爪で互いを引き裂き、骨になるまで戦いを繰り広げます。

黒縄地獄

泥棒が落ちる地獄。獄卒によって熱した鉄板に縛り付けられる他、灼熱の鉄斧で縄目状に切り裂かれます。炎の鉄山に登らされたりも。

衆合地獄

子供を虐待した者や浮気者が落ちる地獄。鉄の臼と杵で磨り潰されたり、巨大な山同士に挟み潰されます。

叫喚地獄

人殺し・泥棒・浮気者・大酒飲みが落ちる地獄。茹だった大鍋で煮られ、骨の髄まで食い尽くされます。

大叫喚地獄

人殺し・泥棒・浮気者・大酒飲み・ほら吹きが落ちる地獄。熱した鉄の針で体中を刺し貫かれます。

灼熱地獄

人殺し・泥棒・浮気者・大酒飲み・ほら吹き・異端者が落ちる地獄。灼熱の鉄棒で全身滅多打ちの末、肉団子のように捏ね回され、鉄板で焼かれます。

大灼熱地獄

人殺し・泥棒・浮気者・大酒飲み・ほら吹き・異端者、および尼僧や子供を強姦した者が落ちる地獄。炎の刀で全身の皮膚を削がれ、そこに液状の熱鉄を注がれます。

阿鼻地獄

親殺しなど人殺しの中でも特に罪の重い者が落ちる地獄。18人の獄卒が司り、巨大な砦や鋭い刀の林、鋼の猛犬や異形の牛が存在します。
鉄の瓦が終始降り注いで罪人の肉と骨を砕き、猛烈な飢餓に駆られ、自分の体を食べ始めます。

まさに阿鼻叫喚の地獄絵図ですね。
地獄は我々が住む世界の4万由旬下に位置し、縦・広さ・深さは各2万由旬。
最下層の無間地獄は最も罪が重い者が落ちる場所で、親殺しなどが該当します。ここに辿り着くには二千年間も壮絶な業火の中を落ち続けなければいけません。

地獄に行った平安時代の役人・小野篁

ダンテの『神曲』はフィクションですが、日本には地獄と現世を行き来したと語り継がれる、実在の人物がいます。
それが平安時代初期の役人にして歌人、小野篁(おののたかむら)。『万葉集』に収録された「わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと人には告げよ海人の釣舟」の作者です。

史実に語られる小野篁は文武両道の役人である一方、目上に屈さない反骨精神をもってして「野狂」と呼ばれました。
彼には不思議な伝説が多くあり、昼は朝廷で働く傍ら、夜には地獄の官吏を務め、閻魔大王の前に知り合いが引き出された時はこっそり口添えして甦らせたとか。

地獄通いのきっかけは親不孝を働き、弔いを疎かにした母の陳情の為でした。
閻魔大王に裁かれてる母を何とか助けようと弁護した際、その衷心と手腕が評価され、亡者の弁護人として取り立てられたのです。
地獄と往復に用いた黄泉がえりの井戸は六道珍皇寺の庭内に実在しているので、興味がある方はぜひ見学してください。

東洋の地獄と西洋の地獄の違い

以上、東洋と西洋の地獄の差異を解説しました。
面白いのは洋の東西問わず、地獄の構造の方が詳細に描かれてること。平和で秩序だった天国は、人々の好奇心や想像力を刺激しないのでしょうか?

「たとえ現世で逃げおおせても、悪人は必ず懲らしめられる」……因果応報を求める我々の願望が、教訓に代えて地獄を生み出したのかもしれません。

ノーブランド品
¥23,970 (2023/07/15 14:05時点 | Amazon調べ)

※画像はイメージです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

どんな事でも感想を書いて!ネガティブも可!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次