実は掘り下げるほど深い存在!?ファンタジーでお馴染みのゴーレム!

気がつけば、もう12月ですね。年末年始が近づく度に感慨深くなります。
大晦日の準備はもちろん、クリスマスの予定や仕事の調整などで慌ただしい日々が続くものです。
そんなふうに多忙だと「誰か力になって」と思ったことはありませんか?
古今東西、労働を肩代わりしてくれる存在を夢見たことは今回ご紹介するゴーレムが証明しています。

目次

ゴーレムってなに?

とりあえずゴーレムとは何か、それについておさらいしましょう。
ゴーレムとはユダヤ教の伝承で語り継がれている泥人形で、ヘブライ語で「胎児」をはじめ、「不定のもの」や「形のないもの」という意味を持っています。

この段階でよく指摘されるのが旧約聖書に登場するアダムです。
聖四文字がつくりだした人類最初の男アダムもまた、「粘度の塊からいのちを吹き込まれて生まれた」とされています。
といっても自由な意志を持っていたアダムとは異なり、ゴーレムは命令を理解することはできても、その製造方法も運用もかなり厳しいです。
伝説によれば、作り手(ユダヤ人)は特定の祈祷と断食を行った後で粘度もしくは膠で人形をつくります。

この人形に向かってシェムハムフォラス(神の名)を語り続けることで、人形はいのちを持ち、家事や労働が可能になるそうです。
また別の伝説によると、山で掘り出した土を新しい泉水でこねて、人型をつくります。
この時人型の部位ごとにそれぞれ呪文を唱え、なおかつ時計回りに人型のまわりを巡ることで、人形はゴーレムになるというわけです。
ここでのポイントは時計回りにすること、もしも間違えたらゴーレムは土くれに戻ると伝えられています。

またゴーレムといったら額の「真理(emeth)」ですね。
最初のeを消すと「死んだ(meth)」となり、ゴーレムは土くれに戻るとされています。
つまり額の文字はいわゆるバッテリーというわけです。

どうしてこんな機能があるのかと言えば、ゴーレムが大きくなるからだそうです。
最初こそは小さな人形ではあるものの、日に日に大きくなり、その大きさに伴って強さも増していくと言います。
それに対して恐怖を抱いた作り手(ユダヤ人)たちはゴーレムに死をもたらしたというわけです。

チェコのゴーレム・ヨッセル

もしも世界で有名なゴーレムを挙げるとするなら、チェコのヨッセルでしょう。
16世紀、まだチェコが「ボヘミア王国」と呼ばれていた頃、レーウという律法師(ラビ)が国に仕えていました。
このレーウというユダヤ人は国王ルドルフ二世の王城に出入りし、皇子たちをはじめ、ユダヤ人たちからも王国の人々からも尊敬された人物です。
さて。レーウはある日、モルダウ河の泥をすくってゴーレムをつくりました。

「ヨッセル」と名付けられたゴーレムはレーウに従い、掃除や薪割りなど細々とした仕事をこなしたそうです。
ただレーウはヨッセルの扱いについて1つの決まり事をしていました。
それは週末の安息日(サバト)を迎えると、必ずヨッセルの「シェム」を取り除いていたことです。

「シェム」とは前述で触れた「真理(emeth)」と同じもので、ゴーレムの台の部分に金属片(シェム)を隠しているとされています。
こうしてヨッセルは土くれに戻し、また復活させていましたが、レーウがある安息日でシェムを取り除くことをうっかり忘れました。
そのせいでヨッセルは凶暴になり、レーウが慌ててシェムを取り除くまで暴れに暴れたと言います。

チェコの舞台で生まれたロボット

チェコと言えば、ロボットの生誕地でもあります。
というのも1920年、チェコの作家カレル・チャペックが戯曲「ロボット(R.U.R)」にてロッサム社の労働力として生まれました。
人間と瓜二つではあるものの、声も動きもぎこちなく、無表情なうえにこちらをジッと覗き込んでくるロボットとして登場します。
つまり現代のアンドロイドの原型というわけです。(戯曲の内容によれば、どうやらバイオロイドのようですが)

いずれにしても「カレル・チャペックがどうやってロボットを考え付いたのか?」といったら、電車に乗った時、車内に箱詰めになった人々を見て「人形のようだ」と思ったそうです。
その時に「人間を個人ではなく、機械にしたらどうだろう」と思いついたカレル・チャペックはそのまま人工の生き物「ロボット」を生み出しました。
この人工の生き物に関しては、ゴーレムからもアイディアを得ているとカレルは残しています。

しかし名前だけはどうしても納得できず、画家である兄ヨゼフ・チャペックに相談したそうです。
カレルは「ラポル」という呼び名も考えていたものの、悩む弟にヨゼフはこともなくカンバスに向き合いながら「ロボットにしたら?」と告げました。
こうして「ロボット」はロボットになったわけですが、元々は「ロボタ」というチェコ語です。
意味は「辛い労働」、「領主が領民に課した賦役」となります。

アンドロイドとロボットの違い

ところで日本で「ロボット」といったらアンドロイドに親しみを抱きますが、海外ではあまり好ましくないそうです。
その理由は宗教となります。
海外の宗教はキリスト教(カトリックとプロテスタント)が主流となっているのは、皆さんもご存知の通りです。
キリスト教の聖典は新約聖書ではあるものの、ユダヤ人が聖典としている旧約聖書も敬っています。

聖書では「人類は聖四文字が生み出した」ものだとされているため、「人間を生み出すのは神の御業」だと考えられており、そのため人間が人間そっくりなものを生み出すことに抵抗を覚えるらしいです。
現に海外のアニメや漫画ではサイボーグであっても、少し武骨ですよね?
ロボットはともかく、ゴーレムは聖書を踏襲しつつ、聖四文字の御業を実現していないあたり(自由な意志を持ったゴーレムの創造)、宗教の重みを感じられます。

※画像はイメージです。
eyecatch source:Vinson Tan ( 楊 祖 武 )によるPixabayからの画像

参考:池内紀「幻獣の話」

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