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グアム怪談

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それは二番目の子供の友美の結婚式が夏にグアムであって直ぐのことであった。何、別に豪華にしようとしたわけではない、その方が経費節約になると言う子供達の合理的意思からである。まあそんな海外の印象がさめやらないころに、友美が彼氏をつれて遊びに来たのだ。2月の初めにも二人はグアムに行っていた。その時、案外安いホテルに泊って不思議な経験をしたそうだ。

僕とママと友美と彼氏のマー君は夕食も終わり、ゆっくりとくつろいでアイスコーヒーを飲んでいた。自然に会話の流れはそちらに向かった。
「じゃあ話します」友美は僕とママを交互に見ながら、話して良いのかどうか了解をとるような態度を装いながらも、突然話し出した。

安いホテルだったけれど、海に近かったので、マー君に取ってもらったの。実際はホテル自体もそんなに古くなく、海岸に近くて便利だし、プールもあったの。それにレストランもイタリアのバイキングで二人ともこれは当たりだと思って、昼間は泳いだり、ジェットスキーに乗ったり、思い切り遊んだの。それで夜は疲れて早い目に休んだわ。

すると……夜中にヒタヒタと足音がして何となく目が覚めた。夢を見ているのかもしれないと思ったけれど、よく耳を澄まして聴いてみるとやっぱりヒタヒタと歩く足音がしている。でも、泥棒なら起きて見つかると殺されてしまうかもしれない、と咄嗟に思ったの。それで寝たふりをしている事にしたの。でも、携帯を盗られるの大変だから、薄眼を開けてテーブルに手を延ばしたわ。テーブルの上を探るけれどなかなか携帯に届かない。

もう少し、もう少しと、手を延ばしたわ。すると……足音がこちらに向かってくるの「ヒタ、ヒタ」と。私はそのままの姿勢でずっと寝たふりをしていたわ。すると、やがて足音は去っていった。
私はやっと携帯を掴んでベットの中に持ち込み、両手で持って盗られないようにじっとしていた。また足音が戻ってきたら大変でしょ。そうすると、そのまま行ってしまったみたいで、朝日が射してきたわ。

マー君に言っても、ぐっすり寝ていて全然気付かなかった、って言うの。荷物は一応チェックしたけれど、何も盗られていなかったわ。でもね、やはり怖いわ、不思議ね……海幽霊とかもネ。
たまたま友達にこの話をしたら、友達も同じ経験したって、その同じホテルだったのよ!

ママは「エー」と、信じられない顔をして固まっている。親を驚かしてどうするんや、と突っ込みを入れたがったが、ママと友美はマジに怖がって、盛り上がっていたのでやめておいた。

僕は一人面白く話を聞いていた。このホテルはもとかするとヤバイホテルではないだろうか? それとも怪談話をひろめてホテルの売り上げを上げようとしているのだろうか? まあ僕の想像もこの程度である。この話のポイントは友美にとって大事なのはお金や彼氏より、友達とメールする携帯であった、という事だろう。

僕はそんな人の心を奪ってしまう携帯という妖怪が怖い。でも、暗闇の中寝たふりのまま、背筋を延ばして携帯を取ろうとしている友美の姿を想像すると、少し心の中で笑ってしまった。絶対顔には出さなかったけれど。

ペンネーム:工藤不羅
怖い話公募コンペ参加作品です。もしよければ、評価や感想をお願いします。

※画像はイメージです。

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