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時に世界を風刺する?「フロントミッション ガンハザード」ご紹介!

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「フロントミッション」とは、合併以前のスクウェア(現スクウェア・エニックス)がリリースした、スーパーファミコン時代におけるシミュレーションRPG。
昨今では「(ターン制)ストラテジー」と呼ぶ方が通りが良いかもしれません?の傑作であり、以降ナンバリングタイトルが4作、派生タイトルも複数作られるという根強い人気を誇った作品です。

現代戦からの進化・発展を印象付ける骨太な世界設定に根差した物語の中で「ヴァンツァー」と呼ばれる兵器が戦場を闊歩する「有り得ざるリアリティ」を見せ付けた一作目から、ゲームジャンルを「アクションRPG」へ一新し、紛争地に身を投じて戦い抜く「パイロット」の物語としたのが、今回ご紹介する派生タイトルにして第二作となった「フロントミッション ガンハザード」です。
発売から25年余り、ゲームハードの性能で言えば数百倍で効かない程に差が付いてしまった現在から見返しても、その表現力や存在感において確かな完成度を持った作品です。

目次

作り込まれた厚みのあるストーリーが時代を経ても色褪せない!

世界は長く続いた争いの歴史に見切りを付け、各国協調の元に資源とエネルギー問題の解決へ向けた軌道エレベーター「アトラス」の建造に着手する。しかし、あまりに巨大すぎる事業は困難を極め、計画を躍進させるものと期待された奇跡の技術である「常温核融合」が、皮肉にもこれ以上の疲弊を望まなかった各国にエネルギー問題の「解決」をもたらしてしまいアトラス計画は頓挫。

世界は再び分裂の道へ回帰していった・・・「世界を一変させる技術」によって「変わった世界」というSF的でもあり、歴史の皮肉とも言える文脈から静かに、しかしドラマチックに「ガンハザード」の物語は幕を開けます。

クセのあるキャラクターと詰め込まれた創意工夫

キャラクターデザイン及び作中ストーリーボードの印象的な表現は、スクウェア(当時)の作品において既に代名詞的存在となっていた「天野喜孝」氏の手に拠るもの。ハードなミリタリーセンスに「人型メカ」というSF的エッセンスが取り込まれたアヴァンギャルドな世界を違和感無くまとめ上げています。

主人公はパイロットとして歩行戦車「ヴァンツァー」を駆り、緑地の平原から雪山、砂漠にジャングル、破壊された都市部から果ては機械化された要塞(?!)まで、ドットで描き出されたスプライトとは思えないあらゆる戦場を駆け回る事となります。

スーパーファミコン時代の「十字キー」と「8ボタン」という限定された操作方法ながら、戦場を縦横無尽に駆け回り、搭載された銃火器を取り替えての大立ち回りは「ロボットアクション」の大原則として抜群の爽快感を感じさせてくれます。
この搭載される各種兵器について、ゲーム中では弾道や炸裂性等といった性能においてのみ語られる文脈にも、裏付けとなるビジュアルや口径、センシングやプロダクトデザイン等の設定が説明書などにおいて語られているという「演出」もまた、物語世界を一層魅力的に感じさせるものとなっていました。

中には「上空からの攻撃に対し脆弱性を見せがちな地上兵器として、弱点を克服すべく対空用途に限定した対空速射砲」という実に渋い兵器も存在し、慣れてくるとこうしたクセのある強力な兵器を使いこなす楽しみもありました。

直観をビシバシ刺激するサウンドと演出

これらの武装を使いこなし、一癖も二癖もある敵を相手取って駆け抜ける戦場を彩るサウンドは「植松伸夫」「光田康典」両氏による、今なお語り継がれる伝説的コラボレーションから生み出されたものです。

スーパーファミコン時代における「ゲーム音楽」が作り上げた表現において一つの極致とも言えるサウンドで以て、戦場というカオスから生み出されるドラマは、現在にあってもその表現において遜色はありません。
また「アクションRPG」とジャンル分けされているように、時に銃火を交え、時に共闘し、ある時は交渉も気さくな会話もするというドラマティックな物語も本作を構成する重要な要素となっています。

各国政府要人から前線で共闘する工作員まで多種多様な人物が交錯する物語にあって、特に傭兵の狂気と残虐性を一身に背負った悪役「ビショップ」は、その強烈なビジュアルと「ヒャアガマンできねぇ!ゼロだぁ!」という名(迷?)ゼリフと共に、本作における語り草となっています。
ネットミームとしても浸透してしまった感のあるセリフですが、是非本作で実際に現れたシーンを見て、その衝撃を味わって頂きたいと思う次第です。

大胆な仮定を打ち込みながら世界情勢を鋭く冷徹に見渡して構築された物語・・・現在において見返したくなる完成度に驚くべし!

戦場に理由や道理が不在となる事は多々あれど、真に「故無き」戦争が無いのもまた事実。
物語とは言えその「常道」を外す事無く、現実の世界情勢を足掛かりに物語としてのエッセンスを取り込む事で、大胆不敵な「歴史」物語を象ってみせるのが「フロントミッション」シリーズの大きな魅力と言えます。

本作「ガンハザード」では、同シリーズにおける基本構造となった「太平洋エリア」「欧州エリア」「南北アメリカ大陸エリア」の3方面構造から外れ、20世紀から21世紀にかけての大きな紛争要因であったエネルギー問題に解決の道筋を得た結果、皮肉にも各国が「自由に紛争を出来るようになってしまった」状態となっています。
故に世界各国は大規模地域連合の枠組みを強固にしていない、冷戦後の世界に範を取った「分裂と融和」が方々で道を模索する中で物語は進行して行きます。

この世界モデルでは、紛争に直接的な関係性を持たない他国や他地域の介入が厳しく制限を受ける事となり、地域における小規模な同盟や軍事教練等を通じた支援以外の手段として「傭兵」という存在を通じた紛争調停が重要な手段となっている状況が描かれています。
主人公が単独で武装を調達しては、様々な戦地へ赴いて任務をこなすという「アクションゲーム」の論法で以て世界各地の紛争地を駆け抜ける設定と見事なマッチングと言えるものであり、ヒロイックなストーリーの中に「荒んだ現実の風」を織り込んで見せた秀逸な文脈です。

そしてこの物語の上で今、改めて見返して見たくなると言えるのが「世界各地」の「紛争地」を渡り歩くという事で見えてくる「世界地図」の存在です。あくまでSF的な観点を盛り込んで作られた「フィクション」であるという事を強く前提とはしますが、それらの紛争はいずれも荒唐無稽と片付けてしまうにはあまりにも「人間くさい」理由で繰り広げられる。
綺麗事で塗り固められたイデオロギーと切実な実情、そしてやっかみや欲望に「暴力という一押し」が加わるという、今となっては「何処かで聞いた事がある」うそ寒さを感じてしまう物語です。

独自の大国という設定

他の「フロントミッション」シリーズにおいては3大連合には与しなかった独自の大国という設定上、大きく取り上げられにくかった「ロシアの一部地域」が主要な戦場として「2箇所」ピックアップされているというのも見所の一つと言えます。

旧ソ連、或いは現在のロシアも「連邦制」という枠組みを採用した国家である事までは日本でも知られる事ではありますが、それが「複数の国が更に一つの大きな国を形作っている」という理屈や理念。果てはそれが紛争という形になってしまう「イデオロギーの衝突」を引き起こすという「文脈」は理解し難い所だと言えるでしょう。

本作はそこに「傭兵」である一方で「自身も国を追われた」という経歴を持つ主人公の目を通した「文脈」で以て、そうした物語を描き出しています。
現実に根差したルポでも無ければジャーナリズムでもない、あくまでエンターテインメントとしての範疇ではありますが、その作り込みが持つ説得力は一見の価値有りと言うべきものです。

プレーするには

本作はWiiバーチャルコンソールにおいても配信されていたという実積があるのですが、残念ながら2019年にサービスが停止されて以降は再びプレイする事が難しい状況となっています。
Switchでの配信などを期待する声も少なくはない名作ですので、再び登場する事を期待したい作品です。

重火力を満載して並み居る敵に孤軍奮闘、あらゆる戦場を愛機と共に駆け抜けるというメカアクションの大原則に、今見ても美麗な表現と爽快なサウンドに乗せて展開されるパワフルなストーリーが忘れられない一作です。

(C) 1996 SQUARE ENIX CO., LTD./OMIYA SOFT All Rights Reserved.
ILLUSTRATION (C) YOSHITAKA AMANO

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