1960年代・・・アメリカはカリフォルニア州にて「MB Associates」社こと「MBA」社が設立しました。
この会社は世界初の拳銃を手掛けた会社として知られる事となり、あの「007」シリーズや、日本の「こち亀」などにも登場する、傑作銃を出す事となります。
その銃の名前は
ジャイロジェット・ピストル!!
この銃は、それまでの拳銃史において、新発想と新感覚を持って発表された、世界最初のロケット弾を発射することの出来る拳銃として開発されたのです。
さてロケット弾を発射する拳銃と聴いて驚く方もおられると思いますが、この拳銃は51口径の固体ロケット弾丸を発射し、薬きょうを使用しない、ケースレスな拳銃として無反動と音も立てない隠密性なども期待されていたのです。
ロケットによる高速の貫通力が期待され、当時はアメリカ軍に試験導入され、次世代の未来志向型の拳銃として世に出ましたが・・・春は長くは続きませんでした。
まずこの拳銃は
弾丸を打つ際に反動が少なく安定した狙いを持つことが可能と売り込みがありましたが、反動が少ないと言う事は、加速が弱い事を意味していました。
ロケット推進力で、徐々に加速し、目標的に向かって着弾する為には、的の距離の計測が必要となってしまうと、実に使い勝手の悪い拳銃でした。
基本拳銃とは、近接戦を想定して使われるものです。
中距離なども想定内ですが、遠距離ともなるともはや拳銃ではなく、アサルトライフルの範疇となります。
拳銃とはあくまでも近距離を想定し、アサルトライフルは中距離に遠距離と、それぞれの役割があるのです。
拳銃なのに接近戦においてはまったくに威力がない拳銃と、実に使い勝手の悪い拳銃。
現に接近戦においてはヘルメットを貫通できず、壁はおろかベニヤ板も貫通できないと、接近戦にまるで向かない拳銃だったのです。
50m以内での射撃ならば
マグナム弾並みの威力でコンクリートブロックすらも貫通できる破壊力がありましたが、この拳銃は、当たりづらく、狙いづらい拳銃としても有名でした。
まず風の影響をもろに受けてしまい、徐々に加速するロケット弾丸故に、風に揺らされ、的から大きくは慣れてしまう致命的な問題点などもありました。
でもこの拳銃を語る上で、最大の問題点でもある本体価格と銃弾の値段も忘れてはいけません。
当時においてはあまりにも高価な値段で100$!
日本円にすれば3万6千円
今にすれば安いかもしれませんが、1960年代の日本のサラリーマンの年収は、ヒラは1万円ぐらいで、お偉いさんの月給で多くても3万ぐらいでした。
にも関わらず、この拳銃はあまりにも高価過ぎたのです。
婚約指輪ではないんだから、こんなお高い銃を手に入れて、ドンパチ出来るわけもなく、また特注の弾丸の為に、本来出回っている弾丸が使えないと、問題点は止む事はありませんでした。
そして拳銃本体にも
致命的な構造的な欠陥があったのです。
それはあまりにも脆すぎる事。
構造上、ロケットの熱を逃がす為に穴が開き過ぎている拳銃ゆえに、落としてしまえばすぐに破損してしまい、うっかり踏みつけてしまえば、そのまま踏み壊してしまう等、拳銃としてあまりにも強度がないと、良い所がない失敗作として、すぐに米軍は不採用と決めてしまったのです。
会社側はだいぶ自信があったみたいで、ジェイロジェット・カービンやジャイロジェット軽機関銃に22ジェットマグナムなども計画していたみたいですが、それは表舞台に出る事も無く、歴史の闇に消えてしまい、拳銃マニアの珍銃として扱われるようになってしまったのです。
人類史で最初で最後になってしまったロケットピストル。
でも一応はフィクションの中では活躍し、未来の銃撃戦を飾ってはいます。
そんなジャイロジェット・ピストルの活躍を見たい人は、「007は二度死ぬ」を是非にご鑑賞ください。
劇中の丹波哲郎ことタイガー田中が使用している拳銃として活躍しています。
「ジャイロジェット・ピストル」の画像は、コッタさん のブログ、GUNs & MOVIE LOVER よりお借りしました。
ありがとうございます。
コッタさんの手によりフルスクラッチされたモデルガンです。
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