今回は、ハードボイルド小説の大家でもある大藪春彦先生の作品であり、名優・松田優作の演技が栄えた映画「蘇える金狼」を紹介したいと思います。
あらすじ
物語は、激しい豪雨の振り落ちる夜明けの街の片隅からはじまります・・・
現金輸送中の警備員を襲い、拳銃にて惨殺し1億円を強奪した、世間を騒がすほどの殺人事件。
大企業・東和油脂経理部の社員である朝倉哲也は何時もの様に出勤し、そつなくに勤務をこなしていましたが、彼こそがこの事件の犯人だったのです。
番号が控えられた現金ゆえに大っぴらに使えない為、現金をヘロインに換金する為に麻薬販売の元締めでもある市会議員の磯川と接触します。若造と自分を見下す磯川に一歩も引かず、麻薬取引を成立させた朝倉は、ある無人島で取引を開始しますが、そこには磯川が放った刺客が控えていたのです。
裏切りを予測していた朝倉は刺客たちを暗殺していき、ヘロインと1億を手に巨万の富を得ていきます。
やがて東和油脂の内情を知り、さらなる暗躍を始める朝倉ですが、破滅も近づいてくる・・・
みどころ
悪を成して成り上がり、そして最後は儚く終わってしまう朝倉の人生を演じる松田優作の演技は、本作最大の見どころとも言え、アクション俳優としての彼のカッコ良さに、筆者は惹かれていました。
松田優作の真似をして、髪型をぼさぼさにした記憶もあり、彼のアクションを真似してけがをしたりと、今を考えれば実に恥ずかしかったです。
特に筆者が好きなのは、松田優作の独特の拳銃の撃ち方でした。両足を開き、腰を沈め、両手で構えた拳銃を撃ち放つと、劇中で見せる凄みのセリフ回しの次に、松田優作の圧巻のアクションに見惚れたものです。
大藪晴彦先生の小説作品の中でも、この蘇る金狼は非常に読み応えのある作品であり、ハードボイルド小説としての表現もさることながら、拳銃を細かくに手入れする描写など、拳銃に対する細かな描写の部分に、独特の読みごたえを感じていたものです。またリアリストな程に善悪の在り方を書き、映画と小説共に、悪を成して巨万を得るも最後に破滅を迎えてしまう、そんな儚き悪の瞬きを感じさせてくれる名作。是非にオススメしたい。
蘇える金狼 (C) 1979 角川映画
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